離れた間に
コインランドリーに洗濯物を乾かしにいくことがよくある。利用者が持ってきたカゴをそのまま置いていく所がある。私が利用するときも、そうしていた。
初めて利用した店だった。洗濯カゴを置いていて、取り出しに行ったら、カゴの取手の所が外れていた。持ってきたときの状態でなかったので、私が店を離れた間に誰かにされたのだろう。嫌な気分になった。その件以来、違う店でもカゴを置くことはなくなった。
その日は混み合っている感じではなかった。洗濯物を入れに行った時間に、一人利用者がいた。あの人だろうか。
無人の所に物を置いておくと、こうなる事もあると実感した。それまで何もなかったので、その時の運も悪かったのだろう。
私がいない間、何人来たのか分からない。やはり、店に入った時にいた人が気になった。その人は乾燥が終わって、洗濯物を取り込んでいるようだった。どことなく不機嫌そうだったと思うのは、私が怪しいと感じていたからだろうか。
自分には関わり合いのない人と思うから、そのような事ができるのだろうか。機会があったら何かに攻撃してやろうという気持ちを持つ人は、どれくらいいるのだろうか。社会の中では、常識があるように振る舞っていても、ひとつの行為であっても、自分自身が崩れ始めていくことになっていくのではないだろうか。