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雨で思い出す

 月替わりの卓上カレンダーを使っている。スヌーピーのマンガが月替わりで載っている。「You think this is a lot of rain?」大雨の中、女の子が男の子を傘に入れて歩いている。「これを大雨だと思う?」というような問いかけのようだ。
 突然の大雨に遭遇すると、災難のように受け止めてしまう。体も服、靴も濡れる、荷物も濡れる、洗濯物が濡れる。風邪をひく心配もある。視界も悪くなる。悪いことばかり考える。
 学生のころは、雨はそれほど嫌いではなかった。洗濯物の心配や自分の身の回りの事だけ考えていれば良かったからだろう。
 傘を差して歩くと、自分だけの空間が生まれる。いつもとは違う雰囲気を楽しむことが出来たし、シンとした静けさを感じられた。雨の降り方が強くなると、雨以外の音が空に吸い込まれていく気がした。また、家にいて雨の音を聞くと、その1人で過ごす自由な時間をうれしく思った。なぜか、雨の時に本を読むと深く入り込めるような気がしたからだ。
 小学生に入る前だったと思う。祖母と外に出ていた時、雨が降ってきた。祖母は、私に「傘の代わりに」と大きな葉を渡してくれた。蓮の葉と聞いたような気がしたが、本当だったか覚えていない。でも、本当に傘になるような大きな葉で、傘がわりにして歩くのが楽しかった。喜んだ私を見て、祖母も嬉しそうにしていたのを思い出す。
 子供が野球の試合に出たのを見に行っていた。まだ春では季節で、しかも天気が悪い日だった。小雨だったり、やんだり、突然強い雨になったり。親たちは、早く終わらないかとヤキモキしていた。子供達は大雨の中の練習は滅多にできないと、コーチたちから熱心に指導を受けている。疲れて嫌そうな顔の子と、雨に慣れて楽しそうに目を輝かせている子がいた。親も、今日は雨に濡れる日と覚悟すると、文句も少なくなってきた。雨が斜めに叩きつけるように当たる中、びしょ濡れで試合をする子供たちを見る。最後は、水たまりが出来ている中、スライディングの練習をして楽しそうにしていた子供たち。いつまでやっているのだと思った日が、懐かしい。


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