自分の目で確かめたい

 1人でいるのが好きだ。田舎に住んでいるので、少し都会に行こうとすると遠出になる。大学も家から通える場所だったので、休日になると、貯めたバイト代を使って遠出したものだ。いつもと違う電車や地下鉄に乗るのが新鮮で楽しかった。
 友人に、あるアイドルグループのコンサートチケットを偶然買うことが出来たからと誘われ、コンサートに初めて行った。その後、自分ひとりでも行ってみたいとアーティストのコンサート2回、シティボーイズのライブを1回見に行った。作家の講演会にも何度か行った。
 小野リサさん。歌声があたたかで、のびやか。イメージ通りの方だった。柔らかく笑う方だったように覚えている。お客さんがお洒落で「大人」の雰囲気の方が多く、ずっと緊張していた。トイレに行く機会を逃し、せっかくのコンサート終盤でトイレに行き、もったいない事をしたと後悔。次来る時は、1人でも緊張でガチガチにならず、自然に楽しめるような大人になってからと決めたが、まだまだ、そんな余裕のある大人になれていない。
 シティボーイズのきたろうさん。きたろうさんが海藻になっていたのだったか、ゆらゆら一生懸命ゆれているような様子が思い出される。
 作家さんだと江國香織さん。灰谷健二郎さん。樹木希林さん。河合隼雄さん。聞いたことのある名前だからという理由で、著書をたくさん読んで知っているわけでないのに、とにかく行けそうかなと思うと聞きに行った。姿を見たかったという気持ちがあった。今思うと、自分の目で見ることができて良かったと思う。
 灰谷さんは学校の先生をしてみえたようで、先生と呼びかけたら振り向いてくれそうな印象。樹木希林さんは、物を持つのが好きでなかったのか、靴は1足しかない、というようなことを話してみえた。河合隼雄さんは、にこやかで、分かりやすく優しい口調で話してくださったように思う。
 興味がある人だったら、自分の目で見ておく。雰囲気を自分で確かめたい。そうして、自分自身の思い出とつなぎとめておきたいのだ。ひとりで出かけると、十分に味わえる。この先も、会いたい、見てみたいと思える人が多くできることを期待している。

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