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エッセイ#60 「あの魚」
どうも、シンスケです!
全国的に風邪が流行っておりますが、皆さんどうお過ごしでしょうか?
先日、インフルエンザの予防接種を受けに行った際に起きた待合室での出来事。
私はソファーに腰掛けて、看護師さんに渡された体温計を脇にさしてじっとしていると、入口の自動ドアが開きました。
ウィーン。
そこには片手を押さえながら、不安そうな顔をしたベトナム人が入ってきました。一緒に付いてきた隣のお連も心配そうです。
この地域は造船の従業員も多いので、おそらくその関係者でしょう。休日にもなると、集団になって楽しそうに釣りをしているのをよく見かけます。
看護師のおばちゃんが「今日はどうされました?」みたいな事を言っております。
するとベトナムの方は、人差し指を見せながら痛い旨を伝えている様子。ついでに隣のお連れも、身振り手振りしながら一生懸命です。
私は気になりその一部始終を対面側のソファーに座って見届けています。すると、どうやら釣りをしていて魚のトゲに刺された模様。しかも、その魚のトゲが毒針ではないのか?と赤くはれた指を見せながら説明しています。
「どんな魚でしょうか?」
異国の地で魚の説明なんて出来るはずもなく、ベトナム人はもどかしそうです。するとおばちゃんはスマホを取り出して、様々な魚の写真を見せだしました。
「これ?コレ?」
首を横に振りながら、私も何の魚なのか気になりチラチラ見ていると「コレデス」とベトナム人はおばちゃんのスマホを指差しながら言いました。
「あ~コレね」おばちゃんはクスりと吹き出しそうになりながらも、口元を手で隠しながら、受付の奥へと行ってしまいました。
するとその奥の方から、
「あの人、アラカブ(かさご)に刺されただけばぃ。どがんしよーか。軟膏でも塗っとく?」
※長崎県ではアラカブと呼んでおり、毒はありません。
そんな事など知らないベトナム人はとても不安そうです。
すると直に、おばちゃんはベトナム人の不安を払拭する程の笑顔で接していました。
以上、私の脇に体温計が刺さっている間に起きた物語でした。
ーーーおわり