見出し画像

いつまでも記憶に残る「ピリオド」 ――ココツキ ラストライブ「WISH」にあったもの

かつて「ココツキ」というVTuber音楽ユニットが存在した。
鈴代ここね、鈴代つきねの2人で結成されたユニット。そこに響かさねが加わり、一時は3人になったものの、途中で鈴代つきねが脱退したことで、2人体制に。
そして、2022年に鈴代ここねが活動を終了することで、ココツキは解散になった。

筆者はそのココツキの特別ファンといえるほどではなく、たまに曲を聴く程度だった。
しかし、常に精力的なスタッフ/メンバーによる広報活動は印象に残っており、媒体で目にするたびに「頑張ってるな、頑張ってほしいな」と心の中では思っていた。

そんな印象を抱くほどに精力的だったココツキが解散すると聞いたときには寝耳に水状態だった。
「なぜ?」「え? あのココツキが?」
口々に仲間内と驚き、話題にあげていた。

そう驚いたからこそ、今までライブを見ることはなかった筆者もラストライブだけはしっかりと見届けるようにした。

このラストライブが実施されたのは2022年、キズナアイがスリープした4か月後。ANYCOLORが上場を控えるなどバーチャルの世も慌ただしい時期だった。
そんなこともあって、筆者もかなり慌ただしくしていたことを覚えている。
しかし、このライブに関しては様々とライブを見ているなかで、2年経ってもキズナアイのラストライブと並んで、ずっと記憶に残っているのだ。

これにはしっかりとした答えがある。
いわゆる「にわか」である筆者にも伝わるぐらい、ファンへの感謝とこれまでの蓄積をしっかりとファンに伝えようとしていたからだ。
これまでのVTuber業界は、ライブ演出や言及する際に、辞めた人間をなかったものとすることも多い。
しかし、ココツキはその場に居ない鈴代つきねの分までしっかりと演出に組み込み、そしてその時代からのファンに愛を示すようなしぐさがいくつも見られた。

筆者が一番感動したシーンがある。それがエンディングだった。
「ピリオド〜WISH Ending ver.〜」をバックにこれまでの活動が映し出される様子。ファンがいるからこそ活動が成り立っていたんだという演出。
Cメロのブレイクで、アンビエントと実写映像を挟む憎い描写。
クライマックス感、漂うバンドサウンドと「終わりだって 笑いあって」といった歌詞が涙を誘った。

クレジットには、メンバーや楽曲に関わった人間だけでなく、鈴代つきねや過去所属をしていたActiv8(upd8)の名前も書かれている。こうしたひとつひとつにリスペクトを強く感じるのだ。

VTuberにはファンはかけがえのないものだということを、いちVTuberを運営してきた人間として感じることは多々ある(自身がその恩返しができてきたかというと話は別でかなり反省している)。

筆者は時が経つことに、ココツキが「凄み」を感じている。
リスペクト、ファンへの感謝、普段からの熱意。
だからこ出来る、この演出。

本当は語り継がれてほしいライブだと、何度振り返っても思うところだ。

いいなと思ったら応援しよう!