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善通寺

四国は 心なしか時間がゆっくり流れている……気のせいだろうか。  信号さえ変わるのが遅く感じられるから不思議だ。 広い空間に小山がポコポコ出ている……。 その形が穏やかなものばかりだから気もたたない。古い山の形だという。時間に こなれてカドとれたのだろうか。
田んぼに伸びる国道にも農道にも遍路笠が点を打つ……。

五重塔が目に入る。
末広がりの安定した姿には見えない。
立っているというより 大地に根ざしている感じ……突き刺さっていると言ってもいい……。
その奥の誕生伽藍より先の山に夕陽が沈む。

横から差す光が門幕を照らして光の正体を暴いている。

ここには空と海を同時に感じさせるシチュエーションはない。
強いて言えば
五重塔の周りが広く そのがらんとした空間が白波に見えなくもない。
海と空をつなぐ塔が
大師そのもの示現している……

大日大聖 遍照金剛

読経が聞こえる。

幼い子の手をひく者……
老いた親の手をひく者……

厳しい修行をした者も ただの参拝者も
大師は 区別しないと思う。

聾瞽指帰  十住心論 を説いた大師も
民衆の前では ただ水を湧かせた。

歩くことを教えた大師は とりたてて難しい事を言っていない気もしてくる。

ごくありふれた
善き行い まかり通る世

上も 下も 無い お中日に
そんなことを思った。

高くもなく安くもない線香を求めて

また海を渡ってかえった。
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いつかのお彼岸…………。
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#秋分 #彼岸 #お中日 #彼岸中日

#弘法大師 #空海
#善通寺 #お遍路
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