DNTTの新規合成法
練習も兼ねての初めての投稿です。
私の仕事は化学。研究から初めて、事業開発や営業を経験してきました。
これからも、世の中の化学の傍らで仕事をしたい、化学のすばらしさ、おもしろさについての情報を発信したいと思っています。
まずは、最新の公開特許を眺めて、おもしろそうなものをご紹介していきたいと思っています。
第1回目は2020/11/26公開の特開2020-189793 「芳香族化合物の製造方法」です。東北大学および日本化薬株式会社の出願です。有機半導体として有益なDNTT(ジナフト[3,2-b:2’,3’-f]チエノ[3,2-b]チオフェン)誘導体(下図)の合成法に関する特許です。
第1工程は右田・小杉・スティル クロスカップリングです。第2工程は、最近チオフェンラダー化合物の合成によく利用されているEaton試薬を利用しています。
第2工程はEaton試薬によるチオフェン骨格合成です。Eaton試薬とは五酸化りん-メタンスルホン酸溶液の 重量比1:10混合物で、有機合成でポリりん酸(PPA)の代替試薬として利用されています。
この技術で、従来の方法では製造が困難だった非対称なDNTT誘導体を高選択的に合成することが可能となっています。