2024年 12 静嘉堂文庫
自然な光と人工的な光
曜変天目茶碗を見たいと思い二子玉川からバスで最寄のバス停に着いて静嘉堂文庫に行ったことがある。
秋 銀杏が黄葉し紅葉する木々もあり周囲の街並みはとても綺麗なところだった。
静嘉堂文庫へ続く坂道を登りながら道の両端に色づく美しい木々の紅葉黄葉を見ながら東京にもこんなところがあるんだと思った。
曜変天目茶碗は庭が望める大きなガラス窓がある部屋で自然光の中で見た。ガラスの仕切りの中にある曜変天目茶碗は妖しい反射光を放っていた。周囲をぐるぐる回りながら見る角度によって違う反射光を放つ曜変天目茶碗に見惚れた。
春 静嘉堂文庫が丸の内に移転したことを知り丸の内まで出向いて曜変天目茶碗を見た。今度は人工の光の中で見る曜変天目茶碗だった。何だか微妙な感覚で見た。確かに曜変天目茶碗だが自然光で見たそれとは明らかに違って見えた。
世田谷は自然の木々に囲まれた静嘉堂文庫、昔の人も自然光で見た曜変天目茶碗だった。
丸の内は自然には存在しない直線の風景だ。垂直に伸びる直線のビル群と水平に伸びる直線の道路に囲まれている。曜変天目茶碗を展示する場所に相応しいのかな、と思った。
紅葉の美しい遠野からの帰り、自分の目的地に近づくに連れ増える直線の風景に、嫌なところに住んでいるな、と思った記憶が甦るからだ。
見に行くには便利な場所だけど。