B/SとP/Lは密なカンケイ!?
前回は、財務諸表には2つの書類があり、それぞれに取引要素と呼ばれるグループ名がついていて、書く内容が決まっているというお話をしました。
他にも期間に決まりがあり、それぞれに簿記の世界特有の名前がついているというお話もありましたね。
今回のタイトルにあるB/S・P/Lは、覚えていますか?
有名人のイニシャルじゃないことは確かです。
……。
B/S=貸借対照表
P/L=損益計算書
のことでした。どんなことを書いているのか?を例を見ながら進めていきましょう。
損益計算書(勘定式)を見てみよう
また詳しい内容は理解できなくても、パっと見ただけでも、意外にシンプルだと思いません?
簿記の世界では、記録する際にブログとか日記のように文章で書かないんですね。
具体的な内訳は、【勘定科目】と呼ばれる単語と【金額】を1セットにして記録をしています。
(勘定科目=かんじょうかもくと読みます。)
ちなみに、これは財務諸表だけのルールではなく、日頃の取引全てがこのルールに当てはまります。
またひときわ目を引くのは、赤文字で書かれた当期純利益。
これ、ワタシが目立つように色をつけたのではありません。(笑)
『当期の利益は目立つように書く!』
これが、簿記のルールになっています。
あとは、一番下にある数字。
これは左右それぞれの合計額です。中身がどんな数字であれ、必ず最終行は左右一致するのも簿記のルールです。
では、もう少し細かく上から順に見てみましょう。
①書類名
②お店や会社の名前。 ここでは大阪商店の損益計算書になってますね。
③会計期間。 期首と期末がわかりやすい。
④単位表記。 この損益計算書は、数字の後に円をつけた金額になりますよっという意味です。
例では、単位表記が(単位:千円)、『売上 300,000』となっているので、これは売上が30万円であるという意味になります。
他にも(単位:千円)・(単位:百万円)となっている事があります。
これは、単位以下の表記をカットしているという意味なんですね。
仮に(単位:千円)、売上 300,000とあれば…
300,000千円 → 300,000,000
となります。単位以下のゼロをたくさん書いたところで、数字が読みにくくなるし
「たこ焼きみたいやね。」 by 某野球解説者
と言われるからだと思います。(違)
しかも古い…。
さておき。
実務であれ試験であれ、単位のチェックを怠ると大変なことになるので要注意です。
(…想像しただけで震える…)
日頃からしっかり確認するクセを付けていきましょう。
⑤取引要素。 よく見ていただくと文字の上は2重線になっていて、T字型フォーマットになっていて左右に分かれています。
さ、ドンドンいきます。残りの下半分。
⑥当期純利益。 赤色で書くことを『朱記する』といいます。当期純損失の場合ももちろん朱記します。
では問題。書く場所は?
……………………
右側でしたね。
⑦余白線。 最終行の合計が一致していることをわかりやすく示すために、必ず同じ行に記入するルールがあります。
余白のままにしておくと、何か書き忘れがあるかのように見えてしまうからなんです。税務署や取引先・ 投資家さんなどの利害関係者には、余計な気遣いをさせてはいけません。(笑)
余白ができた場合には、必ず勘定科目欄に斜めの赤線を引きます。
⑧合計線。 横一本線を引くことで、『線より上を合計する』という意味になります。
⑨締切線。 横二本線を引くことで、『ここで終わり』を意味します。
実務では、PC入力だということもあって、朱記まで徹底されていないようですが、知っていると『お主できるな。』とイチ目おいておらえるかも(?)しれません。
なお初級試験はネット試験なので、赤線引いたり朱記することはありません。また、3級以上は記述式ですが、こちらは黒以外の筆記用具は持ち込み禁止なので、こちらも心配無用です。
では次。
貸借対照表(勘定式)にいってみよう
パッと見は、P/Lとほとんど変わりませんが、2点違うところがあります。
まず、真っ先に目に入るのが右下にある赤い文字。
⑩当期純利益。 こちらメッチャ重要です。
この当期純利益の金額は、損益計算書で計算された当期純利益と同じ金額を書いています。
で、これがまさに損益計算書と貸借対照表の関係を決定づける記載になるんですね。
まず当期純利益ですが、これは1年間かけて活動してきた結果得られたものです。
誰に渡す必要もないですし、お店や会社が自由に使えるんですね。ですので、純資産のグループの一員として資本金の下に記入します。
⑪決算日。 貸借対照表は、一定時点の財政状態を明らかにするという特徴がありました。損益計算書とは違い財産を確認した決算日を記入します。
この⑩⑪以外の
書類名、お店や会社名の記入、単位、取引要素とT字型フォーマット、勘定科目・金額1セット表記、左右合計金額の一致
これらは、すべて損益計算書と同じです。
さて、ここまで貸借対照表と損益計算書の例で確認してきました。
最後にもう一度
この2つの密な関係を表す当期純利益について
時系列と一緒に見てみましょう。
P/Lには、『一定期間の収益と費用の差額』を記入していましたので、計算した差額は当期純利益でした。
収益-費用=当期純利益 (マイナスになったら当期純損失)
この算定方法を【損益法】といいます。
一方、B/Sは、『一定時点の財政状態』を表していました。
なので期末の数字は、各勘定科目の数字にプラスして、P/Lで計算した当期純利益を次期以降の元手として経営に使うことができるので、純資産の一員として記入します。
また、純資産のグループは、期首にはもともと資本金以外はありませんでした。ですので、期首と期末の純資産の差額を計算すれば、当期純利益が計算できます。
当期末の純資産-当期首の純資産=当期純利益 (マイナスになったら当期純損失)
この算定方法を【財産法】といいます。
初級では、ここまで理解できたらOKです。
3級になれば、『当期純利益は、B/Sに書くときに名前が変わる…』とか、もう少し細かい話が出てきてより実態に近くなります。また詳しくはその時がきたらベンキョーしていきましょう。
今回はここまで。
お疲れさまでした~。