ケモブレインについて勉強①
しばらくセクシュアリティのコンテンツが挙げられておらず…ですが、
今日は今勉強しているがんの治療に伴う認知機能の低下について(おそらくみなさんはケモブレインと表現していることが多いのかもしれません)を書きたいと思います。
私も臨床に勤めていたときは、あまり気づくことができていなかったのですが、
病院から出てみると仕事に戻ったときに以前と違うと感じるとか、もはや仕事ができないくらいの支障がきたっているなどの悩みを聞くようになりました。
なかなか書籍がなかったのですが、
ようやく見つけた「がんと認知機能障害 気づく、評価する、支援する 谷向仁編著」を読んでいるところで、私のアウトプットも込めてです。
長い文章にしないであえて箇条書きにしています。
難しい言葉をなるべく減らそうと書きましたが、読みにくいところがありましたら申し訳ありません。
本日の内容のまとめを簡単に書くと
・がんの治療に伴う認知機能障害(軽度~重度まで)を抱えている人がいます。化学療法だけでなく、脳に対する放射線照射、身体的な苦しみなどもその原因となります。
・医療者はこの症状について認知はしていますが、実際に患者さんに症状について確認することができていないことが多いです。これが2次的な心理的負担に繋がっていると指摘されています。
・患者さんも認知機能障害ががんの治療と無関係と考えていたり担当医に相談してもいいかわからないという状態にある可能性が高いと言われています。
(さてどこに相談できるのか・・・)
・現時点で相談できる場所は、まず担当医、そして精神腫瘍医、神経内科医(がんについては詳しくないと思うので連携先となる?)またこの本を書かれている先生は緩和医療科のようなので、緩和ケア科も候補になるのかなという印象です。
ちなみに精神腫瘍医は日本サイコオンコロジー学会が登録精神腫瘍医制度を一覧でだしているので、よければ医師を見つけるときの参考にしてください。
https://jpos-society.org/psycho-oncologist/
(以下は私が「そうなんだ!」と思った内容を少し掻いつまんで書いています)
=======
・がん患者に認められる認知機能障害は総称して「cancer related cognitive impairment(CRCI)」や「cancer fog」と呼ばれている。がん患者の認知機能を長期にわたって調査した報告によると、がん治療を受ける前から約30%に、また治療経過中には75%に及ぶ患者に認知機能障害が認められ、このうち35%は治療終了後も数か月から数年にわたり症状が継続していたという報告もある。
・多くの患者さんが経験しているデータはあるものの、周囲の身近な誰かから指摘されることが稀であること、さらに自覚するこれらの認知症上の数が多ければ多いほど、抑うつ症状の程度が増すことも示している。
・医療者を対象としたアンケート調査によると、がんサバイバーが社会復帰するにあたり、主に医療面においてどのような症状や要因が支障となると考えるかについては75~85%以上「物忘れ」や「不注意/集中力の低下」と回答していたものの、医療者が診療において患者に確認する症状については「物忘れ」「不注意」「集中力の低下」の認知症状についてはすべて30%未満であった。
・CRCIのうち化学療法に伴う認知機能障害は主にケモブレインと呼ばれている。ケモブレインの症状としては、言語性記憶、視覚性記憶、思考の柔軟性、情報処理速度、注意・集中力、視空間認知力、ワーキングメモリー、遂行昨日などの障害が認められるがその機能低下は軽度であることが多いとされている。
・ケモブレインに対する介入はいまだ確立されたものはないが、海外では精神刺激薬、コリンエステラーゼ阻害薬、メマンチンなどの効果が検証されている。非薬物療法としては認知行動療法や認知トレーニングプログラム、補完代替療法的アプローチが検討されている。
・日常診療においては不安や抑うつなどの心理症状とともに認知機能にも関心を示し患者に尋ねてみたり、認知機能障害の背景を探ったり、心理的な支援をすることが大切ではないかと筆者は示唆している。
(←医療者の介入について)
・運動介入(有酸素運動)、ヨガなどで認知機能の改善が認められたという研究結果がある。
・腫瘍医や精神腫瘍医、神経内科医、老年内科医、リハビリテーション療法士など他職種での他方面のアプローチをしていく必要がある。
=====
引用
谷向仁編著 がんと認知機能障害ー気づく、評価する、支援するー 2020 中外医学社