オラフ

インベストメントチェーンのどこかに潜んでいます。世論に忖度することなく、ファクトからみえてくる現実とあるべき理想像を淡々と語れれば、と思います

オラフ

インベストメントチェーンのどこかに潜んでいます。世論に忖度することなく、ファクトからみえてくる現実とあるべき理想像を淡々と語れれば、と思います

最近の記事

コロナ禍におけるオリンピック開催の意義とは?

感染拡大が継続する中で、オリンピックは開催されるべきだったか?東京五輪の開会式が2021年7月23日に開催された。開会式の内容について、ドローンで出来た地球儀など個々の要素で感激させられるものはあったが、全体を通してどのようなストーリーを描き、何を伝えたかったのかがみえてこない、という印象を私は抱いた。 ただ、先日の開会式に一定数の日本人が冷ややかな視線を浴びせている理由は、開会式の内容以上に東京を中心に国内における新型コロナウイルスの感染状況が悪化する中で、五輪を開催する

    • プライム市場再編、TOPIX再編は株式市場に何をもたらすか

      新市場への上場基準や移行プロセスが明らかに2020年12月25日、東京証券取引所は新市場区分への上場基準や移行プロセスを示した第二次制度改正事項の概要を発表した。合わせてTOPIXの指数見直しについても発表されている。 序盤は時価総額の足切り基準に関する未公表の重要情報が投資家にバラまかれて某証券会社が業務改善命令を喰らったりするなど前途多難な船出であったが、第一次制度改正事項で示したスケジュール通り年内に第二次制度改正事項を発表できた運びになる。 数多の変更点があるが、

      • 人材版伊藤レポートに関する雑感

        CHRO設置を語る前に踏まなければならないプロセス2014年に伊藤レポートが初めて出たときは、多くの企業・投資家が「ROE!ROE!」と必死に叫んだり、少し勉強をしたIR担当者がROEから株主資本コストを差し引いて「エクイティ・スプレッドがプラスじゃないと企業価値がうみだされない!」などと話題になっていた。 それに比べると人材版伊藤レポートは、もちろん世間から多少の反応はあったかもしれないが、あの時と比べるとだいぶ冷めている印象もある。内容が抽象的という側面もあると思うが、

        • オーナー企業が孕む「光と影」

          ガバナンスの世界では悪、マーケットでは正義創業者が主要な株主として君臨するオーナー企業は、コーポレートガバナンスの観点からは問題視されることが多い。社外取締役や株主をはじめとするステークホルダーからの監督が効果を及ぼしづらく、経営トップの暴走を止めることが困難であるからだ。2019年の株主総会で大きな話題をさらったLixilの事例はオーナー企業の経営の問題点を浮き彫りにした。 一方、マーケットの視点から見るとオーナー企業は好感されることが多い。たとえば、パフォーマンスが良好

          人権保護の潮流とグローバリズム

          前々回がカーボンニュートラル(Environmental)、前回が政策保有株(Governance)の話だったので、今回はSocialに絡む人権の話をしたいと思う。 労働集約的性質の強いアパレル産業は人権に敏感トヨタ、日立など製造業に分類されるグローバル大企業はどのように利益を拡大してきたか。 利益拡大に貢献してきた施策のひとつに、労働集約的性質の強い作業工程を人件費の安い発展途上国で引き受け、成果物を先進国に輸出することによる原価抑制のスキームがある。21世紀になってか

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          政策保有株への批判と企業の防衛手段

          議決権行使助言会社は政策保有株に厳しいスタンス政策保有株をめぐっては、二大議決権行使助言会社であるISS、グラスルイス共に厳しい立場を示し始めている。最大手の助言会社であるISSは2020年の11月、政策保有株式を純資産の20%を超えて保有する企業について経営トップの取締役選任議案に反対推奨する方針を発表した(2022年2月より適応)。 グラスルイスは2019年の時点で純資産の 10%以上の政策保有株式を有している企業の経営トップに原則反対を推奨するとしており、来年からその

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          脱炭素社会の実現に向けた日本の課題

          「我が国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします」 菅首相は臨時国会の所信表明演説で上記のように宣言した。これまでは2050年に温室効果ガスを80%削減し、2070年までに温室効果ガスのネット排出量をゼロにする方針であったが、その目標を20年前倒しすることになる。 先進国が2050年カーボンニュートラルを目指す理由 日本に先駆けて欧州では、2019年12月に欧州理事

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