認知症と大気汚染、排ガス規制の効果、暖炉は車より発がん性高し【最近の大気汚染ネタ】
最近読んで面白かった「大気汚染ネタ」をメモしておくコーナーです。
PM2.5で認知症、アルツハイマーリスクは上がるのか?問題
「最近は認知症になる人が多い!」ってのは周知の事実ですが、「大気汚染って認知症やアルツハイマーのリスクと関係しているの?」ってなことを調べた大規模なデータ(R)が出ておりました。
これはエモリー大学などの研究で、米国の合計2400万人以上のコホートを調べて、全員が住む地域の大気汚染の約5年分のデータと認知症、アルツハイマーリスクの関係を比較・分析したもの。
この研究で調べられた大気汚染物質は、PM2.5, NO2, O3(夏期のみ)でありまして、結果は大体以下のような感じになりました。
各汚染物質の年間平均は、PM2.5で9.3μg/m3、NO2で17.1ppb、O3で42.6ppbだった
PM2.5(3.2 μg/m3), NO2(11.6 ppb)の四分位範囲が1だけ上がるごとに、認知症の発症リスクがそれぞれ、6%, 1.9%だけ上がっていた。O3の濃度が上がるとむしろ発症リスクは下がっていた
同様に、PM2.5, NO2の四分位範囲が1だけ上がるごとに、アルツハイマーの発症リスクがそれぞれ、7.8%, 3.1%だけ上がっていた。
PM2.5濃度が上がるほど、認知症、アルツハイマーとも、リニアにリスクが向上していた
NO2に関しても、特に25ppb以下の低濃度においてリニアな用量反応関係が確認された
だったそう。特にPM2.5に関しては、その曝露量が認知症、アルツハイマーのリスクに関係していたというわけっすね。最近では大気汚染物質が神経変性疾患に関連するってデータは多いんで、やっぱりかーって感じですけども、大規模なデータで改めて確認できたのはでかいですな。
自動車排ガスの改善は大気汚染の問題を軽減しているのか?問題
大気汚染といえば、「最近はどんどんひどくなってる!」「死亡者数も増えてる!」と悪い方向にとらえられがち。
そんな中で新たな研究(R)は、「自動車排ガスの改善って大気汚染問題にどのくらい効果があったの?」ってことを調べてくれております。これまでも排ガスの健康影響とかは広く研究されてきたわけですけど、国の規制や自動車メーカーの技術革新による排ガス削減の「社会的便益」ってのはあまり研究の対象にされてなかったんだそう。
研究チームは、米国内の排ガス量のデータを用いて、2017年の排出量に関する4つのシナリオをモデル化し、2008年の状況との比較を行っております。
その結果を簡単にまとめると、
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