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令和コソコソ噂話【健康編】~2022年5月版

「健康」の分野で最近面白かったネタを6つほどまとめておきます!

1. コーヒーでコレステロールが上がる!とはいうけれど、それって淹れ方次第じゃない?

コーヒーがすごい!痩せる!頭がよくなる!寿命も延びる!みたいな話は先日もしたところですが、コーヒーに関する大きな懸念点の一つが「コレステロール値が上がっちゃうんじゃない?」というところ。コーヒーに含まれるジテンペン類の影響といわれてるやつですね。

そんなところで最近の研究(R)では、「コーヒーの淹れ方によってコレステロール値にどんな違いが出るのか?」ってところを調べてくれていて参考になりました。ひとえにコーヒーといっても1000以上の化学物質が含まれてるわけですから、豆の種類や焙煎度、淹れ方など様々な要素によって各物質の摂取量に違いが出るというのは十分ありそうな話ですよね。

これは2015年から2016年にかけて収集されたノルウェーの21,083人分のデータを分析した研究で、みんなには「一日何杯コーヒー飲んでる?」「普段のどうやってコーヒー淹れてる?(フィルター、カフェティエール、エスプレッソ、ポッド、モカポット、インスタント)」といった質問に回答してもらい、その後全員から摂取した血液サンプル中のコレステロール値との比較を行ったんだそう。

で、喫煙・飲酒習慣、運動頻度等を調整して分かったことをざっくりまとめると、こんな感じになります。

  • 全体的に、女性は1日4杯、男性は1日5杯ほどコーヒーを飲んでいた

  • 1日0杯の人と比較して、3~5杯のエスプレッソを飲む人は血中総コレステロール値が有意に高かった(女性で0.09mmol/L、男性で0.16 mmol/L)

  • ボイルド・プランジャーコーヒーの6杯以上の摂取もコレステロール値の上昇と関連していた(女性で0.30 mmol/L、男性で0.23 mmol/L)

  • 1日6杯以上のフィルターコーヒーの消費は女性の総コレステロール値上昇と関連していたが男性では有意な関連は見られなかった

コーヒーの淹れ方だけでなく、ほとんどすべてのタイプで有意な性差が見られたみたい。

研究チーム曰く、

この結果は、コーヒーに含まれる化合物が、複数のメカニズムを同時に作動させる可能性があることを示している。

コーヒーは、世界中で最も頻繁に消費されている中枢神経刺激剤だ。コーヒーの消費量の多さゆえ、小さな健康への影響でも、かなりの健康被害をもたらす可能性がある。

とのこと。別にそこまで気にすることなくない?って感じもする結果だったけど、コーヒーは毎日何杯も消費する飲み物だってことを考えると、決して無視していい数字じゃないかもね、と。

あと、ノルウェー人は比較的大きなカップでコーヒーを飲む習慣があるようなので、今回の結果より少ないカップ数でも影響が出る可能性が高そうって点には注意しといたほうがよさそうですね。

(参考:個人的に最近お気に入りのコーヒー。滑らかな口当たりが特徴で、冷凍で保管しとくと味がキープされるので、そんなにコーヒー飲まないんだよなーって人にもおすすめ)


2.学生ローンは中年になってからの心臓病リスクを高める?

借金が心身の健康にダメージを与える!ってのは多くの研究で示されているところですけど、最近出版されたデータ(R)では、「学生時代の借金って中年期の心血管疾患リスクとどう関連するんだろう?」ってところを調べてくれておりました。

たしかに高い学歴を持つ人ほど心臓や血管が健康!ってデータもある一方で、若いうちから借金してるとCVDリスクが数倍になる!ってデータもあるんで、「借金してまで高額な授業料のかかるいい大学に通えば数十年後の心臓の健康にはどんな影響が出るのか?」ってテーマはなかなか面白いですね。

これは12歳から44歳までの2万人以上のコホートのデータを使用した調査で、学生時代(とそのあと)の借金に関する指標とフラミンガム心血管疾患リスクスコア、CRP(炎症マーカー)との関連を探っております。ちなみに、フラミンガム心血管疾患リスクスコアでは性別、年齢、血圧、喫煙状況、糖尿病、BMI等が考慮されたものとなってます。また、この調査に参加した人たちの平均的な借金額は約25,000ドルで、参加者の内訳はこんな感じ。

  • 37%:学生時代に借金をしたことがない

  • 12%:既に完済した

  • 28%:借金が増えた人

  • 24%:まだ学生時代の借金が残っている人

で、分析の結果はといいますと、

  • 借金の返済が終わっていない人、新たな借金をした人は、借金をしたことがない人に比べてCVDリスクスコアが高かった。面白いことに、借金を完済した人は借金をしたことがない人よりCVDリスクスコアが低かった

  • また、借金の返済が終わっていない人や新たな借金をした人では、借金をしたことがない人に比べて臨床的にも有意にCRP値の上昇が認められた

  • 人種や民族、学位の取得、借金元等の要素を考慮してもなおこの関係は維持された

だったそうで、やはり学生時代から続く借金という錘は中年以降の健康を損なう可能性があるみたい。また、学位の取得によってこの影響は多少低減できたものの、その恩恵も借金をしていない人の方が大きかったんだとか(つまり、借金をして学位を取得した人より、借金せずに学位を取得した人の方がCVDリスクが大きく減っていた)。借金のインパクトおそるべし……。

研究チーム曰く、

(この調査における4年制大学卒業者の平均借金額は25,000ドルだったが、)それ以来、学生の借金はさらに増え続け、若い世代は以前のどの世代よりも多くの借金を抱えている。大学進学にかかる費用を削減し、未払い金を免除するような措置でもとられない限り、学生ローンの債務増加による健康への影響は拡大する可能性が高いだろう。

とのこと。今の中年層が卒業した時に比べて今の学生は借金額がさらに増えてるから早めに対処しとかないと個人の健康のみならず社会的・経済的にもまずい状況になるかもよ、ってわけですね。

まあ日本はまだましな方かもしれませんけど、やっぱり大学進学・卒業にかかる経済的負担は軽くしといたほうがいろいろとメリットがありそうですよねぇ。

ちなみに、ここら辺の議論に関しては東工大名誉教授の矢野先生の著書「大学の条件」って本なんかが参考になるかもしれません。「そもそも大学に行く理由って何?」「逆に何でいかないの?」みたいな問題に経済学的にアプローチしてたりして、「大学」という存在に対して一般的なメディアとは違った視点が身に着けられるはず。


3. お金で寿命は何年延びる?長生きのためにお金より大事な要素って何?

金持ちほど長生きする!ってのは複数の研究で確認されているところですが、最近のデータ(R)では、「資産額で寿命はどのくらい変わるのか?資産より強く長生きと関連する要素って何なんだろう?」ってところを調べてくれていて面白かったです。

これは25歳から74歳の男女6320人を18年間にわたって追跡調査したジョージタウン大学の研究で、資産、教育レベル、職業、収入、親の社会経済的地位、喫煙習慣といった要素がどのくらい死亡率の予測因子として働くのか?ってのを調べてます。

結果、なかなか面白い事実が判明しまして、

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