その人にできる唯一のこと
ある葬儀担当者の方が、おくり化粧をさして「故人さまに出来る唯一のこと」とおっしゃっていたと、先日葬儀をなさったご遺族さまからお伺いしました。
私の所属する会社では、おくり化粧は基本的に葬儀社さまよりご依頼をいただいて動いています。
ですので最終的なお客さまはもちろん故人さまでありご遺族のみなさまなのですが、直接のクライアントとしては葬儀担当者の方となるんですね。
葬儀の打ち合わせの際に担当さまが「おくり化粧はいかがですか?」とご提案され、そこで初めて選択肢として考える機会がうまれるというのが今1番多い状況かとおもいます。
それをもっと直接的に、ご遺族の方々が葬儀社を選ぶように、おくり化粧についても認知を深め選んで頂けるように。というのがこのnoteの元々の趣旨でした。
「おくり化粧」という行い。
葬儀という一連の儀式のなかで、故人さまに直接手を触れご表情を整えたりお着せ替えを行う。
まさに、故人さまにできる唯一のことです。
先日のnoteでも少し触れましたが、棺も骨壷もお料理もお花ももちろんできること、どうおくってあげたいかを考える上でとても大切な要素です。
ただ、そこにいらっしゃる故人さまに対して直接できることとしておくり化粧というのはとても意味があるとわたしは考えております。
だからこそ式全体のプロデューサーとも言える葬儀担当者さまがご遺族の方々に対し、「故人さまにできる唯一のこと」とお伝え頂いているというお話を伺ってより気が引き締まるおもいです。
そんな今日、現場でわたしが考えていたのは「現場で現場のことを考えていてはいけない」ということでした。
まだ上手く言語化出来ていないのですが、言葉を選ばずに言ってしまうとわたしが毎日たつ現場というのは毎回「ぶっつけ本番」のようなものです。
ひとりとしておなじ故人さまはいらっしゃらず、ご遺族さま方もまたはじめての経験。
事前にご性別やご年齢をお伺いしていても、容態や容姿までは現場につくまでわかりません。
そんななかで常にベストをつくす。
必ず全てのご要望にお応えできるとは言いきれませんが、せめて「できることがあってよかった」とおもっていただけるだけのことをしたいとおもっています。
その為にはまだまだやることがあるよね。
ということを改めて実感しました。
一期一会の出逢いに感謝しながら、今後とも精進いたします。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
また、お目にかかれますように。
おくり化粧師 Kao Tan
写真は先日行ったヴァンジ美術館での1枚。
腰元のラインが美しくてみとれていました。
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