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THE LINCOLN HIGHWAYを読んで 2024.3.15

こんばんは。最近はに二兎追うものは本当に一兎も得ることができないんだと身に染みて感じているももこです。

今月読んだ一冊は、『THE LINCOLN HIGHWAY』著:Amor Towlesです。

心に残った文↓

人はみな教育を受けるうちに、羨望は無知であり、模倣は自殺行為であり、良くも悪くも自分は自分でしかなく、また、宇宙は広く、善に満ちているが、滋養あるトウモロコシの種は与えられた地面を汗水たらして耕す者がいてこそ実るという確信に至るときがある。人に宿る力は本来、未知のものであり、自分になにができるかは自分にしかわからず、やってみるまでは自分にもわからない。

THE LINCOLN HIGHWAY p.43

おれはといえば、驚くのは大好きだ。帽子からウサギを取り出すみたいに人生が意外な方にころがっていくのがたまらない。

THE LINCOLN HIGHWAY p、49

男は笑うのをやめ、真剣な顔になった。
「まあ、人生はそういうもんだろう。ある場所へ行きたがっていると、別の場所へ行かなけりゃならなくなる」

THE LINCOLN HIGHWAY p、186

エメットは人を軽蔑しないように育てられた。他人を軽蔑するというのは、相手を知りぬいていることがまず前提となる、と父親は言ったものだ。相手の境遇、意図、公私両面での行為をしっていれば、判断ミスを恐れずに、相手の性格を自分の性格と照らし合わせて判断することができる。

THE LINCOLN HIGHWAY p、241

たいていの人間はなにかを求めることが習慣化している。明かりをつけてくれとか、もっと時間をくれとか。車に乗せてくれとか、金を貸してくれとか。ゆるしを求める連中さえいる。だがウーリー・マーティンはどんなこともめったに求めなかった。だから、彼がなにかを求めたときは、それが重要なのは明らかだった。

THE LINCOLN HIGHWAY p、281

母さんがこの世を去ったとき、おまえはまだ十二歳だったが、すでに母親とは正反対の性格だった。わしがそのことを心配すると、母さんは忍耐よ、と言ったものだった。エド、わたしたちの娘はたくましい精神を持っているの、それは娘が一人前の女性になるとき役に立つはずだわ。わたしたちがやるべきなのは、あの子をあまりせっつかないことよ

THE LINCOLN HIGHWAY p、333

更生農場での生活は知性を鈍らせるように仕組まれている。おれたちは夜明けに起こされ、暗くなるまで働かされる。食べるのに三十分、やれやれと落ち着くのに三十分、それから消灯。セントラルパークの遮眼帯をされた馬じゃあるまいし、目の前の次の二歩以外は見ないことになっている。

THE LINCOLN HIGHWAY p、353

おれはモーリスを気の毒に思った。大人であるには思慮が足りず、子供であるには無邪気さが足りない。黒人であるには黒さが足りず、白人であるには白さが足りない。モーリスは世間に居場所を見つけることができないらしい。おれは彼の髪をくしゃくしゃにして、いつかはすべてうまくいくようになると力づけてやりたい気持ちになった。だがそろそろ行く時間だった。

THE LINCOLN HIGHWAY p、365

だがおれが言おうとしているのは、まさにそれなんだ、ビリー。戦争で学んだことがあるとしたら、それは完全に見捨てられた瞬間ー誰も、創造主ですら助けにきてくれないと悟った瞬間ーこそ、人がへこたれないで生き続ける力を見いだすときだということだった。主は天使たちの讃美歌や、角笛を吹き鳴らす天使ガブリエルとともに、立ちあがれと呼びかけるわけじゃない。ひとりぼっちで忘れられた存在だと意識させることによって、立ち上がれと呼びかける。本当に見捨てられたと感じてはじめて、人は次になにが起きるかは自分次第なのだという事実を受け入れられるんだ。

THE LINCOLN HIGHWAY p、394

友好的であれ、だがけっして下品にはなるな。どんな人の話にも耳を傾け、自分のことはべらべらとしゃべるな。人の非難をよく聞き、自分の判断はさしひかえろ。そしてなによりも、自分に忠実であれ。これを守れば、夜が昼に続くがごとく、誰にたいしても忠実にならざるをえない。さらばだ、息子よ。
  

『THE LINCOLN HIGHWAY p、418

夏休みのまっただなかにいる人たちが、そろってどんなにのんびりしているか、見てみるといい。子供たちばかりか大人まで、午前十時のテニスや、真昼の水泳や、夕方六時きっかりのジントニックをあんなに楽しんでいる。ぼくたち全員が夏休みは春分までということにしたら、当然、世界はもっと幸福な場所になるだろう。

THE LINCOLN HIGHWAY p、493

「教授、おれは、この人生で大事なものはすべて、努力して手にいれなければならないと考えている。そうであるべきだ。なぜかというと、努力しないで大事なものが手にはいる連中は、必ずそれを無駄にするからさ。尊敬は努力して得られるものであるべきだ。信頼は努力して得られるものであるべきだ。(中略)」

THE LINCOLN HIGHWAY p、498

けれども動こうとする意志の証拠は聖書だけにはかぎらない。十歳の子供だって、立ちあがって前に進むのが人間の冒険記録のナンバーワンであることを教えてくれる。たとえば、ビリーがいつもかかえているあの大きな赤い本。あれには連綿と受け継がれてきた二十六の物語があり、そのほとんどすべてはどこかへ行く者の話だ。征服のため出発したナポレオン。聖杯を捜し求めたアーサー王。歴史上の人物もいれば、架空の人間もいるけれど、現実だろうと空想だろうと、ほぼ全員が生まれた場所とはちがうどこかへ向かっていく。

THE LINCOLN HIGHWAYp、548


感想↓
この小説は、一種の哲学書に近いなと感じた。(私にとって)
主人公は更生施設から出てきた10代のティーンエイジャー。それぞれが自分の性格と葛藤していて、なによりもその葛藤し合った若者たちが関わり合い、「自分とはなにか」について模索していくようなロードストーリー。
章がどんどん数字が小さくなっていって、旅の終わりからストーリーを読んでいくという新しい形の小説だった。
なかでも、「人は常に移動し続けてきた」というお話がとても心に残っている。
私も最近何かを変えたくて、大阪に旅をした。旅の道中ではとても不安だったし、写真を見返すと一日目はなんだか元気がない表情をしていた。
だけど、やっぱり人を潤すのは人であり、ものでも景色でもないと感じた。
何を見てもこれを一緒に分かち合う人が隣に欲しいと思っていたし、誰かと共有したかった。
旅とは、そのように自分と対峙しながら、本当に自分はどうしたいのかを考えるのものだと思う。


明日はカニを食べに行くぞ!ももこ。

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