本宮大社の祭神と本地仏(1)

熊野の神とその本地仏はネットにリストが出ています。しかしこのリストを見ただけではよく分かりません。私も最初はちんぷんかんぷんでした。ですから皆さんもよくわからないかもしれませんが、熊野信仰の基本ですのでお付き合いください。本宮にお参りしますと、境内に三つ大きな建物があります。これらの建物は明治の水害で流出を免れた上四社です。4なのに建物が3?向かって左の横の長い建物の中に、第一殿と第二殿が入っています。その右隣、境内正面にあるのが第三殿、その右にあるのが第四殿。これで上四社(かみのよんしゃ)。第一殿から第三殿に祀られている神を三所権現(さんしょごんげん)といい、本宮、新宮、那智の神が祀られています。第一殿と第二殿の神を合わせて両所権現といいます。第一殿は西御前(にしのごぜん)結宮(むすびのみや)と言い、那智の神が祀られています。第二殿は中御前(なかのごぜん)速玉宮(はやたまのみや)と言い、新宮の神が祀られています。第三殿は証誠権現(しょうじょうごんげん)を祀る証誠殿と言い、本宮の神を祀っています。第四殿は若宮(わかみや)又は若一王子(にゃくいちおうじ)と言います。若宮は三所権現には含まれませんが、上四社として重要視されています。またここで、御垂迹縁起に書かれている証誠権現(縁起では證証大菩薩)、両所権現の名前が出てきます。両所権現の第一殿には那智の主祭神の伊邪那美大神(夫須美大神)が祀られ、本地仏は千手観音、女性の姿で表現されます。第二殿には新宮の主祭神の伊邪那岐大神(速玉大神)が祀られ、本地仏は薬師如来、俗形(男性の貴族)の姿で表現されます。第三殿には本宮の主祭神の家津御子大神(素戔鳴尊)が祀られ、本地仏は阿弥陀如来、僧侶の姿で表現されます。第四殿には伊勢神宮内宮の祭神の天照大神が祀られ、本地仏は十一面観音、女性の姿で表現されます。第五殿から第八殿の中四社(なかのよんしゃ)と第九殿から第十二殿の下四社(しものよんしゃ)は明治の水害で流されてしまい社殿が再建されず、旧社地の大斎原の石祠に祀られています。石祠は二基ありますが、向かって左、東側の祠に祀られています。私は初めて本宮に参拝したとき、この祠は何だろうかと思いました。今ならネットで調べることができますが。今回はここまでにしておきます。中と下四社は「本宮の祭神と本地仏(2)」をご覧ください。なお、上、中、下四社の振り仮名ですが、私が便宜的に付けたものです。実際とは違っているかもしれません。ご了解ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?