2024/07/01「エグい設定」

すごい本だった。


犬のかたちをしているもの (集英社文庫)

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恋人の子を身籠ったらしき謎の女性から
「お腹の子が産まれたらもらってくれませんか〜」と頼まれる激ヤバフィクションであってくれ設定に直面するリアリスト主人公。
周囲の期待と自身の理想は同じものであるはずなのに、それを形にするって何て難しいのか。

田舎と都会、男女、出産と卵巣、いくつもの対比構造に直面し疲弊しながらも思考し選択し後悔し前進する主人公は他でもない読者自身が投影された普遍的な人間だからこそ読んでいて苦しい。この日本社会で他人と生きるって途方もなく歪で苦しいはずなのに、それでも手を取り合わないと生きていけない理不尽さ、関係性の脆さと悲しさを薄ら包むほんの少しの優しい熱で地球は構成されているのかもしれない。

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