【立位姿勢を制御する6つの要素】
《姿勢制御の6つの要素》
前回のメルマガで「姿勢制御の6つの要素」について書いたところ、割と反響がありましたので興味がある方もいらっしゃるかな?と思ったので少し詳しく書こうと思います。
とはいえ、難しい話は余り興味が無いと言う方も多いと思いますので、少し難しい話は有料コラムに書いて、こちらは皆さんが興味あるところを中心に書こうと思います。
《姿勢改善アプローチの歴史》
姿勢の評価がケンダル時代の正中矢状面上に「耳穴」「肩峰」「大転子」「膝やや前方」「踝やや前方」が揃えば良好な姿勢という「ランドマーク」による評価から
近年ではより細かな評価方法として各部位ごとのニュートラルアライメントの評価や「ASTON®」のように構造物として力学的な安定性をより直感的に判断する評価方法
またはAIなどに画像を評価させる方法など
多彩な評価方法があります。
姿勢評価が進化していく一方で姿勢改善のアプローチはそれほど大きな変化はないと言えるかも知れません。
20年ほど前はカイロプラクティックのアジャストメントのように骨配列を瞬間的な外力で変化させる事が出来ると信じられていた事から、関節矯正による姿勢改善のアプローチが主流出来したが筋筋膜の研究が進み、筋筋膜がアライメントに大きく関係している事が分かりアジャストによる姿勢矯正は廃れた感があります。
《マッスルインバランスの修正による姿勢改善》
関節矯正による姿勢改善アプローチが下火になり、その後は「マッスルインバランス」の修正による姿勢改善方法が中心になってきました。
これは「上・下位交差性症候群」に代表される筋・筋膜のアンバランスによるアライメンエラーに対応する考え方です。
下のイラストは上位性交差症候群を著しています。
このような不良姿勢の事をフォワードヘッドポスチャーとも言います。
フォワードヘッドポスチャーとは「頭部前方位姿勢」の事なんですが、簡単にいうと頭が前に突き出ている猫背です。
この姿勢では胸の筋肉が短縮、または緊張します。
すると交差している肩の筋肉(僧帽筋上部線維、肩甲挙筋)も短縮、緊張します。
首の深層筋(インナーマッスル)が弱化すると交差している背中の筋肉(僧帽筋下部繊維、前鋸筋)も弱化します。
このようなケースではこれまでの姿勢改善アプローチの考え方では短縮、緊張している筋を緩め、弱化している筋を刺激すれば更に効果的に姿勢を改善出来ると考えられてきました。
しかし、皆さんも現場で一時姿勢改善した人でもしばらくすると元に戻ってしまう人が多いのに気づいた事はありませんでしょうか?
その理由こそが前回のメルマガで紹介した「姿勢制御の6つの要素」なのです。
《姿勢制御の6つの要素》
人間の「姿勢制御」については、現在のところ科学的には以下の6つの要因で成り立っていると言われています。
・バイオメカニクス的拘束
・運動戦略
・感覚戦略
・空間における定位
・動的な制御
・認知処理
の6つです。
個人的な見解なのですが、マッスルインバランスの修正での姿勢改善では主に「バイオメカニクス的拘束」の一部が改善されるのが主な効果だと考えます。
「バイオメカニクス的拘束」の構成要素は「筋力」「関節可動域」「安定性限界」などになります。
「マッスルインバランス」の修正により筋バランスが改善され、力学的により安定した姿勢を保つ事が出来る事は確かだと思います。
しかし、他の要素に対する直接的なアプローチには余りなっていないと思います。
つまり、マッスルインバランスを修正しても元に戻るクライアントは「運動戦略」「感覚戦略」「空間における定位」「動的な制御」「認知処理」のアプローチが必要な可能性が高いと思います。
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