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生成AI時代の論文術(1)

生成AI時代の論文術というタイトルで連載をしてみたい.  実際に学術論文を書く作業を報告しながら、生成AIをパートナーに論文を書くとはどのようなことなのかを実践的に報告していきたい.

奥出: 生成AI時代の研究論文術という新書を書きたいのだけれど、構成はどうするのがいいと思いますか?

以上のように聞いた. このChatGPTのアカウントでは論文を書くということ、研究テーマをどうすればいいのかなど半年あまり対話を続けていて、その記録が残っているので、答えはかなり僕の考えに沿ったものになっている.

ChatGPT:

「生成AI時代の研究論文術」新書の構成案

本書の目的は、生成AI(ChatGPT, ChatResearch など)を活用して、研究論文を効率的かつ質の高いものにする方法を体系的に解説することです。特に、文献レビューの自動化、研究ギャップの発見、データ分析、論文執筆支援、査読対応 など、生成AIが研究プロセスの各段階でどのように役立つかを具体的に示す構成にします。


第1部: 生成AIが変える研究論文の世界

第1章: 研究の進め方が変わる時代

  • 生成AI(ChatGPT, ChatResearch, Elicit, Scite, Consensusなど)が研究者にもたらす影響

  • AIが研究プロセス(文献検索、データ分析、論文執筆、査読対応)をどう変えるか

  • 研究者とAIの協働モデルの未来

第2章: 研究論文の従来のプロセスと課題

  • これまでの研究論文の作成プロセス

  • 研究者が抱える課題(文献レビューの負担、データ収集の困難さ、執筆の時間、査読対応のストレス)

  • 生成AIがこれらの課題をどのように解決するか


第2部: 生成AIを活用した文献レビューと研究デザイン

第3章: 生成AIを使った文献レビューの進め方

  • AIを活用した文献検索(Google Scholar, ArXiv, Semantic Scholar, ChatResearch)

  • AIによる論文要約と比較(ChatGPT, ChatResearchの活用法)

  • 研究テーマに関連する先行研究を素早く整理する方法

  • AIを活用して研究ギャップを発見する(AIが示す「未解決の問い」の抽出)

第4章: 研究デザインの策定とAIの役割

  • 研究の問い(Research Question)の設定をAIと議論する

  • 研究の方法論選定(定量 vs. 定性、数理モデル vs. 実験、社会調査 vs. ケーススタディ)

  • 生成AIによる仮説形成の補助(論理的な穴を見つける)


第3部: 生成AIを活用したデータ収集と分析

第5章: AIを使ったデータ収集

  • 既存のオープンデータ(World Bank, Kaggle, OECD, Statistaなど)をAIとともに検索

  • 定性データの収集(インタビューの自動文字起こし、トピック分析)

  • 生成AIを使ってアンケート調査の設計を効率化

第6章: AIによるデータ分析と可視化

  • AIを活用した統計分析(Python, R, ChatGPTのコード生成機能)

  • AIを用いたテキストマイニング(論文・インタビュー・SNS分析)

  • 生成AIによる数理モデルの補助(エントロピー分析、ゲーム理論、シミュレーション)


第4部: 生成AIを活用した論文執筆と査読対応

第7章: AIを活用した論文執筆術

  • ChatGPTを使った論文構成の作成(IMRAD形式)

  • 生成AIによるアブストラクト・イントロダクションの自動生成

  • AIによる論理構造のチェックと改善(Toulminモデルを用いた検証)

第8章: AIと共同執筆する際の注意点

  • AIを活用した文章のリライト(剽窃・オリジナリティの問題)

  • AI生成コンテンツの検証とファクトチェック

  • AIによる参考文献の自動生成とその限界(ChatGPTの「幻覚問題」にどう対処するか)

第9章: 査読対応と論文のブラッシュアップ

  • AIによる査読コメントの要約と分析

  • AIを活用した論文のリバイス方法(指摘されたポイントを整理し、効果的に対応する)

  • 研究者としての批判的思考とAIの補完的役割


第5部: 生成AI時代の研究倫理と未来

第10章: AIを活用する研究者が知るべき倫理問題

  • 生成AIの限界と責任(バイアス、情報の正確性)

  • AIと研究倫理(剽窃・著作権の問題、データの透明性)

  • 生成AIの利用をどう論文に明記すべきか(著者クレジットの問題)

第11章: 研究の未来とAIの進化

  • 研究者はAIとどのように共存していくべきか

  • AIによる新しい学術コミュニケーション(オープンサイエンスとAIの役割)

  • 生成AIの進化と今後の可能性(論文の自動生成、AIによる査読、AIファシリテーション)


まとめ

  • 本書を通じて、生成AIが研究のあり方をどう変えるか を体系的に学ぶ

  • 生成AIを活用することで、研究の生産性が飛躍的に向上する ことを実感できる

  • 研究者はAIをどのように活用し、どのような倫理的課題に向き合うべきか を深く考察する


この構成の特徴

生成AIを活用した研究プロセスの全体像を整理
具体的なツール(ChatGPT, ChatResearch, Elicit など)の実践的な活用法を紹介
倫理問題にも言及し、研究者としての責任を考える
未来の研究スタイルを見据え、AIとの共存について議論


次のステップ

  • この構成をもとに、具体的な内容を執筆する

  • 各章で具体的なツールの使い方や事例を入れる

  • 実際にChatGPTやChatResearchを活用しながら、サンプル論文を作成してみる

この新書は、生成AIを活用してよりスマートに、効率的に研究を進めたい人向けの実践的なガイドになるでしょう。

と答えてきた.このように全体構成を考えてもらうと、その記憶が残るので後の作業がかなり楽になる. 今回のnoteは、そもそも生成AIを論文執筆のアシスタントにするとはなにかを試行錯誤しながら書いてみたい.

奥出: 生成AI時代の研究論文術 - 構成案 【第1部: 生成AIが変える研究論文の世界】 第1章: 研究の進め方が変わる時代 の構成を考えてください.章節項の3層で、項は3つ以上、さらに項は3つ以上のパラグラフからなります。

このように聞いてみた.論文の構成を考えるときにはこの三層構造が基本で、さらに一番下の項のところは3つから5つのパラグラフからなる。この形で構成を詳細化してもらった.

ChatGPT

生成AI時代の研究論文術 - 第1章: 研究の進め方が変わる時代

【1.1 生成AIの台頭と研究プロセスの変化】
1.1.1 生成AIとは何か?

  • 生成AI(ChatGPT、Claude、Bard、Geminiなど)の定義と仕組み

  • 研究分野での活用例(論文要約、アイデア出し、データ分析)

  • 生成AIの能力と限界(情報の信頼性、誤情報のリスク)

1.1.2 研究プロセスの自動化と効率化

  • 文献検索の自動化(Google Scholar, ArXiv, ChatResearchの活用)

  • データ収集の自動化(オープンデータセットの検索、API活用)

  • 自然言語処理を用いた論文の比較・要約

1.1.3 AIと人間の研究者の関係

  • AIは研究者の「補助ツール」か「共同研究者」か?

  • AIを活用することで生まれる「新しい研究の形」

  • 研究の創造性とAIの限界(倫理的問題を含めた議論)

【1.2 研究における生成AIの具体的な活用シナリオ】
1.2.1 文献レビューの効率化

  • 研究テーマに関連する論文を自動収集・要約する方法

  • 研究ギャップを特定するためのAIの活用(ChatResearchの事例)

  • AIが「研究の問い」を支援するプロセス

1.2.2 データ分析とモデリング

  • 生成AIを用いた定量データの処理と可視化

  • 生成AIが支援する数理モデルの構築(経済学、社会学、自然科学の応用)

  • AIによるパターン認識と仮説生成の自動化

1.2.3 論文執筆と査読対応

  • 生成AIを活用した論文の構成案作成

  • 文章校正、翻訳、学術的な表現の最適化(AIによるスタイルチェック)

  • 査読コメントの分析と対応(AIによるフィードバックの活用)

【1.3 研究者が直面する新たな課題と未来の展望】
1.3.1 研究倫理とAIの信頼性

  • AIによる生成テキストの剽窃リスク

  • AIが提供する情報の信頼性とバイアスの問題

  • AI利用の透明性と論文での適切な記述(AIの関与をどう示すか?)

1.3.2 研究の民主化とオープンサイエンス

  • 生成AIが研究の壁を取り払い、誰でも研究ができる時代へ

  • AIを活用した新しい学際的アプローチ(分野横断型研究)

  • オープンサイエンスとAIの相互補完的な関係

1.3.3 未来の研究者とAIの協働モデル

  • 研究者とAIの役割の変化(「研究する人間」と「AIによる知の補完」)

  • 未来の研究チームの姿(AIがサポートする協働型研究)

  • 研究の創造性とAIの限界をどう乗り越えるか

【まとめ】

  • 生成AIは研究のプロセスを根本的に変えつつある

  • 研究者はAIを適切に活用し、新たな研究の可能性を探る必要がある

  • AIの倫理的課題と適切な活用ルールを考えることが求められる

【この章のポイント】
✅ 研究プロセスの変化とAIの役割を整理
✅ 具体的なAI活用事例を提示し、研究者の負担軽減を示す
✅ AIの倫理的課題と今後の展望を議論する

以上が構成である. 10パラグラフあるので、1パラグラフ400字とすると4000字となる。原稿用紙10枚くらいが第1章第1節となる。ちなみに新書は10万字くらいで、これだと一章3節からなるから12000字. 11章まであるから12万字くらいだろうか。まあ普通の新書のサイズとなる.

パラグラフ・ライティング

さて次の問題は1パラグラフはどのくらいか?ということである.パラグラフの構成は400文字だが、400文字というのは、原稿用紙一枚であり、specificationとelaborationが3つ、というのが目安となる.この二つの言葉、非常に大切なのだが、あまりなじみはないかもしれない.

奥出: 英語の論文術の言葉でspecification とelaborationがあります.出来るだけ詳細に説明してください

ChatGPT:

英語の論文術における「Specification」と「Elaboration」の詳細な説明

**Specification(特定化)Elaboration(詳述・展開)**は、論文執筆において重要な概念であり、それぞれ異なる目的と役割を果たします。以下では、両者の意味、目的、使い方、具体的な例について詳細に説明します。


1. Specification(特定化)

(1) 定義

Specification とは、論文や学術的な文章において、概念、用語、主張、仮説などを明確に定義し、誤解を防ぎながら具体性を持たせることを指します。研究の範囲を限定し、曖昧な表現を排除するために使用されます。

(2) 目的

  • 明確な定義を提供する(曖昧さを排除)

  • 論点を具体化し、議論を精緻化する

  • 研究範囲を明確にする

  • 変数や指標の明示を行う

  • 仮説の正確な記述を行う

(3) 使い方

① 用語の定義

学術論文では、**専門用語や概念を仕様化(Specification)**することで、読者の誤解を防ぎます。 例:

In this study, "economic growth" is defined as the annual percentage increase in real GDP per capita, following the World Bank's methodology.

② 研究の範囲の限定

研究対象を特定し、適用範囲を明確にします。 例:

This analysis focuses on the impact of artificial intelligence on employment in high-income OECD countries between 2000 and 2022.

③ 変数やデータの仕様化

実証研究では、変数や測定基準を明確に記述することが求められます。 例:

The independent variable in this study is the Research and Development (R&D) expenditure as a percentage of GDP, while the dependent variable is the number of patent applications per million inhabitants.

④ 仮説の明確化

仮説の仕様化を行うことで、検証可能な形にします。 例:

H1: Higher R&D expenditure leads to a significant increase in patent applications.

(4) 具体例

Before Specification(曖昧な表現)

Companies that invest more in technology tend to be more successful.

After Specification(具体化された表現)

Companies that allocate at least 5% of their annual revenue to R&D exhibit, on average, a 20% higher return on investment compared to companies with lower R&D expenditures.


2. Elaboration(詳述・展開)

(1) 定義

Elaboration とは、論文や学術文章において、アイデアや主張を深く掘り下げ、詳細な説明、証拠、事例を加えることで、議論を強化し、説得力を持たせることを指します。Specification(特定化)と異なり、情報を追加し、読者にとっての理解を深めることが目的です。

(2) 目的

  • 主張を補強する

  • 論理的な説明を加える

  • 事例や証拠を提示する

  • 読者の理解を促進する

  • 研究結果の解釈を詳述する

(3) 使い方

① 背景の詳述

研究テーマに関する背景を詳述し、読者の理解を促します。 例:

The impact of AI on employment has been widely debated. For instance, Autor et al. (2003) argue that technological advancements often lead to job polarization, wherein middle-skill jobs are displaced while low- and high-skill jobs remain relatively stable.

② 理論的枠組みの展開

研究の基礎となる理論を詳述します。 例:

According to Schumpeter’s (1942) theory of creative destruction, technological progress drives economic growth by simultaneously eliminating obsolete industries and fostering new ones. This process leads to significant structural changes in the labor market.

③ 仮説の根拠を詳述

仮説がなぜ妥当なのかを、理論や先行研究をもとに説明します。 例:

Prior studies suggest that firms investing heavily in R&D tend to have higher innovation output. For example, Cohen & Levinthal (1990) demonstrate that absorptive capacity plays a crucial role in translating R&D investment into tangible innovation.

④ 実証データの解釈

結果の意味を詳述し、分析の妥当性を説明します。 例:

The results indicate a positive relationship between R&D expenditure and patent applications (β = 0.45, p < 0.01). This supports the hypothesis that increased investment in innovation fosters technological advancements. These findings align with previous studies (Griliches, 1998), which report a similar trend in OECD countries.

(4) 具体例

Before Elaboration(簡潔すぎる表現)

AI can both create and eliminate jobs.

After Elaboration(詳述された表現)

AI-driven automation affects employment in complex ways. While it has the potential to replace routine tasks in sectors like manufacturing and retail (Brynjolfsson & McAfee, 2014), it simultaneously creates new opportunities in AI development, data analysis, and digital services (Autor et al., 2020). Empirical evidence suggests that AI augments productivity in high-skilled occupations while displacing workers in lower-skilled roles.


3. Specification と Elaboration の違いと関係

項目 Specification(特定化) Elaboration(詳述・展開) 目的 用語や概念を明確に定義し、範囲を限定する 主張を補強し、詳細な説明や証拠を追加する 適用場面 用語定義、研究範囲の明示、変数・データの仕様化、仮説の明確化 背景説明、理論的枠組みの展開、仮説の根拠説明、データ解釈 情報の性質 正確で具体的な情報を提示 追加の説明や事例を通じて議論を深める 「R&D投資とは、企業が技術革新のために支出する資金の総額と定義される。」 「R&D投資は、企業の競争力強化に貢献する。例えば、Teslaは2021年に約15億ドルのR&D投資を行い、革新的なバッテリー技術を開発した。」


4. まとめ

  • Specification(特定化) は、論文の中で用語や変数、仮説を明確に定義し、誤解を防ぐためのプロセスである。

  • Elaboration(詳述・展開) は、主張を補強するために背景情報、理論、事例、データを加えて議論を深めるプロセスである。

  • Specificationが「定義」や「制限」を行い、Elaborationが「補強」や「展開」を行うことで、論文の論理構造が強化され、読者にとって理解しやすいものとなる。

この2つの概念を適切に使い分けることで、より質の高い学術論文を執筆することができる。

5. ディスコース

さて、この二つの要素をただならべてもパラグラフにはならない. 

ディスコース

という考え方がある.簡単に言うと、なにがなにして、かにして、そうしてこうなった、みたいな文章の流れである。

ディスコースの流れを活用したパラグラフ構成:Elaboration と Specification の組み合わせ

パラグラフライティングにおいて、ディスコースの流れ(何が何して、かにして、そうしてこうなった)を用いることで、論理的で説得力のある文章を構成できます。
ここでは、Elaboration(詳述・展開)Specification(特定化) を組み合わせて、効果的なパラグラフを作成する方法を説明します。


1. パラグラフの基本構成

パラグラフは以下の要素で構成されます:

  1. トピックセンテンス(Topic Sentence)

    • そのパラグラフの主題を提示する。

  2. サポートセンテンス(Supporting Sentences)

    • Elaboration と Specification を交互に配置し、主張を補強する。

  3. コンクルージョンセンテンス(Concluding Sentence)

    • パラグラフ全体をまとめる。


2. Elaboration(詳述・展開)と Specification(特定化)のバランス

1つのパラグラフを Elaboration 3つ + Specification 3つ で構成すると、情報の深みと明確さが両立され、論理的な流れが確保されます。

要素 機能 Elaboration 1 トピックの背景を詳述し、読者の理解を助ける Specification 1 トピックの範囲を明確にし、曖昧さを排除する Elaboration 2 具体例や理論を用いて主張を補強する Specification 2 研究範囲や変数の定義を行い、精度を高める Elaboration 3 追加のデータや実証研究を紹介し、説得力を増す Specification 3 研究結果の数値や正確なデータを明示し、結論を導く


3. 具体的なパラグラフの構成例

トピックセンテンス(導入)

技術革新は経済成長を促進するが、その影響のメカニズムについては議論が分かれている。

本論(Elaboration と Specification の組み合わせ)

Elaboration 1(背景の詳述)

例えば、シュンペーター(1942)は「創造的破壊」の概念を提唱し、技術革新が既存の産業構造を変革することで成長を生み出すと主張した。

Specification 1(範囲の特定)

本研究では、特にAI技術が労働市場に与える影響に焦点を当てる。

Elaboration 2(理論的根拠の展開)

過去の研究では、AIの導入が生産性向上をもたらすことが示されている(Brynjolfsson & McAfee, 2014)。企業がAIを活用することで、業務の効率化が進み、新たな雇用の創出につながる可能性がある。

Specification 2(変数の定義と測定基準)

本研究では、AIの影響を「企業の労働生産性の向上率」と「新規雇用創出率」という2つの指標で測定する。

Elaboration 3(実証データの提示)

OECD(2022)のデータによると、AIを積極的に導入している企業では、従業員の生産性が平均15%向上している。さらに、新技術導入企業の40%が「新規雇用の拡大」を報告している。

Specification 3(結果の明示と結論)

これらのデータをもとに、本研究ではAIの導入が経済成長を促進する要因となることを統計的に検証する。


コンクルージョンセンテンス(まとめ)

したがって、技術革新が経済成長に寄与するメカニズムを理解するためには、AIが労働市場に与える影響を詳細に分析することが不可欠である。


4. ディスコースの流れに適合したElaboration & Specification

本パラグラフは、以下のようなディスコースの流れに従って構成されています。

「何が何して(技術革新が経済成長を促進する)」
「かにして(シュンペーター理論とAIの関係)」
「そうして(実証データの提示)」
「こうなった(AIの影響を分析する必要性)」

この流れを通じて、Elaboration(背景、理論、データ)と Specification(範囲、変数、数値)をバランスよく組み合わせ、論理的な議論を展開しています。


5. まとめ

  • Elaboration(詳述) は、背景、理論的根拠、実証データなどを追加し、議論を深める。

  • Specification(特定化) は、研究範囲、変数の定義、データの精度を明確にし、誤解を防ぐ。

  • ディスコースの流れに従い、Elaboration 3つと Specification 3つを交互に組み込むことで、明確で説得力のあるパラグラフが構成できる。

この方法を活用することで、研究論文の質を高め、読者にとって理解しやすく、論理的に構成された文章を書くことができる。

さてこのような手法 パラグラフライティングを生成AIに行わせることが出来る.生成AIを対話で使うときに基本となる方法をプロンプトエンジニアリングという。意味を生成AIに聞いてみた


プロンプトエンジニアリングとは?

プロンプトエンジニアリング(Prompt Engineering) とは、生成AI(ChatGPT、Claude、Gemini、Bard など)に対して適切な指示(プロンプト)を設計し、期待する出力を得る技術 を指します。
これは、AIの挙動を最適化し、効果的に活用するためのスキル であり、自然言語処理(NLP)や機械学習の分野で急速に発展している概念です。


1. プロンプトエンジニアリングの目的

プロンプトエンジニアリングの目的は、以下のようなAIの性能を最大限に引き出すこと にあります。

  1. 正確で具体的な回答を得る(例:技術解説、論文要約、データ分析)

  2. 創造的なアイデアを引き出す(例:ストーリー生成、デザイン案の作成)

  3. タスクを自動化する(例:コード生成、文章リライト、データ変換)

  4. AIの出力を制御する(例:フォーマットの統一、意図に沿ったスタイルの適用)

  5. バイアスを最小化し、客観的な情報を取得する(例:中立的な視点の提供)


2. プロンプトエンジニアリングの基本的な構造

プロンプトは、AIに対する「指示文」です。適切に設計されたプロンプトは、AIの出力の質を大きく向上させます。

プロンプトの基本要素

  1. コンテキスト(Context)

    • 何についての質問なのかを明確にする。

    • 例:「ChatGPTとは何ですか? 簡潔に説明してください。」

  2. 具体的なタスク(Task)

    • どのような回答を求めているか明示する。

    • 例:「ChatGPTとは何ですか? 100文字以内で簡潔に説明してください。」

  3. 出力形式の指定(Format)

    • 箇条書き、表、リストなど、求めるフォーマットを指定する。

    • 例:「ChatGPTとは何ですか? 箇条書きで3つのポイントにまとめてください。」

  4. 制約の指定(Constraints)

    • 言葉の長さ、文体、使用可能な情報源を制限する。

    • 例:「専門的な表現を使わず、高校生でも理解できるように説明してください。」

  5. スタイル・トーンの指定(Tone)

    • 公式な口調、カジュアルな表現、論文調などを指定する。

    • 例:「ChatGPTとは何ですか? 100文字以内で論文調で説明してください。」


3. プロンプトの具体例

あなたのタスクは、**安定したディスコース(議論の流れが論理的で一貫性がある文章)** を持つ400文字以上のパラグラフを作成することです。

#### **【条件】**
- **Specification(特定化)を3つ含める**(明確な定義、範囲の限定、変数やデータの仕様化)
- **Elaboration(詳述・展開)を3つ含める**(背景説明、具体例、実証データや事例の提示)
- **文章の流れ**は、「何が何して(問題提起)、かにして(議論の詳細)、そうして(根拠や事例)、こうなった(結論)」の順序で構成すること。

#### **【出力形式】**
- **1つのパラグラフ(400文字以上)** で記述すること。
- **明確な論理構造を持たせ、適切な接続詞を使用すること。**
- **数値や具体的なデータを可能な限り含めること。**

本書の構成に基づき、上記の条件を満たすパラグラフを作成してください。


4. 専門的な比較を求める

古典コンピュータと量子コンピュータの違いを、以下のフォーマットで比較してください:
| 項目 | 古典コンピュータ | 量子コンピュータ |
|----|----|----|
| 情報の単位 |  |  |
| 計算の仕組み |  |  |
| 応用分野 |  |  |

改善点: ✅ 「表形式」で比較 → 視覚的に理解しやすい
✅ 「項目」を指定 → AIが適切に情報を埋める


5. 高度なプロンプトエンジニアリングの手法

(1)Chain-of-Thought Prompting(思考の連鎖プロンプト)

AIに段階的な思考プロセスを踏ませることで、複雑な問題に対する精度を向上させる手法。

数学の問題を解く際、以下の手順を踏んでください:
1. 問題文を理解し、与えられた情報を整理する。
2. 適切な数式を導き出す。
3. 数式を計算して答えを求める。
4. 最終結果を出力する。
問題:3つの連続する整数の合計が36のとき、3つの整数を求めよ。

メリット: ✅ AIが論理的なステップを踏むため、正確性が向上する


(2)Few-shot Prompting(少数例プロンプト)

事前にいくつかの具体例を示すことで、AIが適切な出力を学習しやすくする手法。

以下の例のように、文章を要約してください。

例1:
原文:「量子コンピュータは、従来のコンピュータと異なり、量子ビットを利用して計算を行う。」
要約:「量子コンピュータは量子ビットで計算する。」

例2:
原文:「AIは、機械学習アルゴリズムを利用し、データから学習してタスクを自動化する。」
要約:「AIはデータから学習し、タスクを自動化する。」

問題:
原文:「ニュートンの運動方程式は、物体の運動を記述する基本的な物理法則である。」
要約:

メリット: ✅ AIが望ましい出力のパターンを学習するため、精度が向上


6. プロンプトエンジニアリングの応用分野

プロンプトエンジニアリングは、さまざまな分野で応用されています。

分野 活用例 研究論文執筆 先行研究の要約、仮説生成、論文の構成案作成 データ分析 Pythonコード生成、データ可視化、統計分析 ソフトウェア開発 バグ修正、コード最適化、APIドキュメント作成 マーケティング 広告コピーの作成、SEO対策記事の生成 教育 自動生成クイズ、授業スライド作成、質問応答システム


7. まとめ

プロンプトエンジニアリングは、AIの出力を最適化する技術
明確な指示(コンテキスト・タスク・フォーマット指定)が高品質な結果を生む
Chain-of-Thought や Few-shot Prompting などの高度な手法を活用すると、さらに精度が向上
研究・データ分析・開発・マーケティング・教育など幅広い分野で応用可能

生成AIを効果的に活用するためには、適切なプロンプトを設計するスキルが不可欠 です。

このプロンプトエンジニアリグをつかって上記で説明したパラグラフライティングを行うように指示を出してみる.

プロンプトエンジニアリング(Specification 3つ、Elaboration 3つ を含む安定したディスコースの構築)

以下のプロンプトを使用すると、ChatGPTに対して明確な指示を与え、安定したディスコースを持つ400文字以上のパラグラフを生成 することができます。


【プロンプト】

あなたのタスクは、**安定したディスコース(議論の流れが論理的で一貫性がある文章)** を持つ400文字以上のパラグラフを作成することです。

#### **【条件】**
- **Specification(特定化)を3つ含める**(明確な定義、範囲の限定、変数やデータの仕様化)
- **Elaboration(詳述・展開)を3つ含める**(背景説明、具体例、実証データや事例の提示)
- **文章の流れ**は、「何が何して(問題提起)、かにして(議論の詳細)、そうして(根拠や事例)、こうなった(結論)」の順序で構成すること。

#### **【出力形式】**
- **1つのパラグラフ(400文字以上)** で記述すること。
- **明確な論理構造を持たせ、適切な接続詞を使用すること。**
- **数値や具体的なデータを可能な限り含めること。**

#### **【テーマの例】(以下のうち1つを選ぶ)**
1. **「生成AIが学術研究に与える影響」**
2. **「シュンペータリアン成長モデルと破壊的イノベーションの関係」**
3. **「プロンプトエンジニアリングの重要性と応用」**

選択したテーマに基づき、上記の条件を満たすパラグラフを作成してください。

【プロンプトのポイント】

「タスクの目的」を明確にする → AIが何を達成すべきかを明示(安定したディスコースを持つパラグラフの生成)

「Specification(特定化)」と「Elaboration(詳述)」の要件を指定 → 各要素を最低3つ含めるように指示し、内容の深みを確保

「文章の流れ」を指定 → 「何が何して、かにして、そうしてこうなった」の構造を維持し、論理的な展開を促す

「出力形式」を指定 → 400文字以上、1つのパラグラフ、明確な論理構造、具体的なデータを含む

「具体的なテーマ」を提示 → AIが適切な内容を生成しやすくなる


【このプロンプトの活用方法】

  1. そのままChatGPTに入力 して試す。

  2. もし 出力が短すぎる場合 は、

    • 「500文字以上にしてください。」

    • 「より具体的なデータや事例を含めてください。」
      などの指示を加える。

  3. もし 出力が不明瞭な場合 は、

    • 「より学術的な表現を使用してください。」

    • 「専門的な語彙を用いてください。」
      と追加指示をする。


このプロンプトを使うことで、安定した論理展開を持つ質の高いパラグラフを生成 することができます。

ということで次回は第1章第1節を生成してみることにする.
【この項 終了)


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