誤解という呪い【短編小説】
心の震えへの誤解。
楽しさへの誤解。
成功への誤解。
「誤解?」
「誤解」
ただ、退屈なだけ。
それについて、言い訳を探すという退屈しのぎ。
そして、答えが見出せないまま、枯渇。
という、退屈。
気持ち良くない。
愉快ではない。
勝つとか負けるの誤解。
「誤解?」
「誤解」
「なら、どうしろっていうの?」
「どうしろとかではないさ、ただ、どうしようもないだけさ」
「どうにもならないの?」
「どうにもならないことを受け入れられればどうにかなるのかもしれない」
「どうにもならないのを理解するってこと」
「ああ、またどうせ誤解に苦しめられるからね。けど、別に苦しいことが苦しいだけではないわけでさ」
「哲学?」
「まあ、哲学でも良いさ、でも呪いに、近い」
「呪い?」
「呪いは解くことができるぜ」
と言い、そいつが笑った気がした。
顔を上げると誰もいない。
僕は誰と話していたのだろう。
一瞬風が通り過ぎ、頬にその感触がする。
心地が良い。
それ心地良さがもし誤解だとしても、それはまあ、誤解でもいいと、思えた。
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