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世界を救うきっかけ。


「俺は、俺の力で世界を救うんだ!」

徹夜で少年漫画を読みふけった翌日、会議の場でなぜかそう断言していた。

軽く拍手が起きて、
「で、次は……」

と、話題が変わった。

夜。

お風呂に入りながら、あー、何を言っちゃってるんだ、恥ずかしいなぁ。深夜、寝ようとしても寝付けず。

で、翌日。
出勤の足取りも重く。

なんで、あんなこと言っちゃったんだっけ?
世界を救う? 俺の力で? なんのこっちゃ。
「心に寄り添ったサービスと利益率に関する話し合い」
だったなぁ。

世界か。救えるかなぁ。世界を救うってなんだろ?
でも、救えたら凄いなぁ。

ふと、散歩されてるミニチュアダックスフンドに目が行く。
雑草の匂いを嗅いでいる。
可愛いなぁ。癒されるなぁ。救われるなぁ。

俺も可愛くなれば、世界を救えるかなぁ。

出社。

「おはようございます」
「あ、おはようございます」
「おはよう」

誰も覚えてないと良いなぁ。
けど、覚えてるだろうなぁ。
まあ、気にしてはないだろうなぁ。
あいつ、ちょっと恥ずかしかったねぐらいでさ。

「……」

でも、ホントに世界を救えたとしたらいいなぁ。




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