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ふと、自分だけとても悲劇な気分に陥るときがあるけれど、蒸し暑さと一緒なのさ。


蒸し暑い時期が来ると、
「蒸し暑い」
と、言わないと、しんどい。

誰もいないところで、ボソボソと、
「蒸し暑い、蒸し暑い、蒸し暑い」

汗がダラダラ。
マスクなんかして、なんなんって感じ。

しかしまぁ、蒸し暑いって言ったところで、蒸し暑さが収まるわけもなく、涼しいところで休むっていうのが正解なわけだけれど、少し速足で移動したとか、電車が来るまでホームで立っているだとか、で、電車内だとか、バス停で待ってるとき、から、バスの車内、で、降りてからの、家までの距離と、蒸し暑い。

換気が大事っていうことで、どこも窓が開いていて、もぁ~としてる。

蒸し暑い。蒸し暑い。
蒸し暑いのが、子供のころから苦手なのだけれど、どうにもこうにも、みんな、僕ほどダメージを受けていないように見える。

見えるだけなのだろうか?
でも、見える。

みんな我慢しているのだろうか?
僕が我慢が足りないのだろうか?

ああ、蒸し暑い。
蒸し暑い。

ふと、子供が隣で言った。
「ママ、蒸し暑い」
ママは、力強く頷いた。

そうか……正直な子供よ。
やっぱりそうなんだな。
我慢してるんだ。
みんな偉い。
みんな偉いのさ。

蒸し暑い。

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奥田庵 okuda-an
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