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どうも他の人と関心ごとが違うようだ。


異常な暑さも落ち着いて、上着も一枚増えた。
僕はどうも、それほど多くの人が特に関心を持たない事柄について、胸を痛めているのではないかと思い始める。

例えば、しぐさや、目線や、言葉尻や、気候や、声や、音。
それらがどう、自分の身体の中で反応を起こし、生活に影響するのか、そういったことが、とても気になるのだけれど、どうも、「それはまあ、分かるけれど」程度で、多くの人は、結構な割合で、関心を持たないでいられるようなのだ。

多くの人は、より激しい変化を求めているように思える。
唐突に、事件に巻き込まれるだとか、快楽を得られる方法だとか、注目の的になるだとか、金をがっぽがっぽ稼ぐ方法だとか。

まあ、そうかと思う。
退屈な日常で、ささやかな変化に胸を痛めるほど、神経質に過ごせば、もたないだろうと。

日常は義務的なものと置いておいて、ゲームや、お酒や、発散で、とにかくそこから距離を置いて、「楽しみ」たいのだろう。

では、僕がそれを求めているのかと言えば、また違う。
僕は、「ホッとしたい」のだ。

ホッとしたいがために、気に障る要素について、余計な思考を巡らせてしまう傾向があるということかもしれない。

あーあ、と、僕は異世界へと戻り、酒豪対決に勝利し、大金を手にした後、モンスターを切り刻み、言いよる美女を跳ねのけた後、


「ホッとしたいなぁ……」
と、溜息を吐き、眠りについた。


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奥田庵 okuda-an
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