考えるな感じるんだ。【小説】
彼はブルースリーが好きだった。
指たてふせとかやる。
ブルースリーのようなステップを踏んで、華麗なパンチを空に放ち、見下したような表情を浮かべた後、ニヤリと笑う。
「考えるな、感じるんだ」
と、言う。
上機嫌な彼の前に、迎えに来た母ちゃんがやってきた。
「ほら、帰って勉強しな」
「トレーニングをするんだ」
「あんたね、身体鍛えたって、毒盛られて、鉄パイプで殴られて、銃で撃たれて、車に突進されたらどうするの?」
「……」
彼は一瞬考えたような顔をした。
僕は横で、考える