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ミニ小説100編 その④

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ミニ小説100編です。その④
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2022年3月の記事一覧

寒いだけ。

寒い。 昼に、ちょいと雪が降った。 本当にちょいと。 視界に一つ二つ落ちてくるぐらい。 そ…

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あのボタンを押したい。

謎のボタン。 三丁目の角。狭い道。その中間地点の下。 偶然見つけた。 なんのボタンなのだろ…

4

コップを撫でる彼女の指。

彼女はコップの飲み口を人差し指でゆっくりと撫でている。 僕はそれを眺めている。 ゆっくり…

5

急な駆け落ち。

彼女が急に言い出したことから、僕達は駆け落ちをした。 スマホの電源を切って、目的もなく電…

6

移動する痛み。

右肩が痛い。 なんかしたっけ? 突然痛い。 次の日、背中が痛い。 移動? 三日目、僕の痛み…

9

友達とカレー。

友達の家。 息子と二人で暮らしている。 息子が小学生。学校に行ってる。 「そうか、色々と会…

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考えるな感じるんだ。【小説】

彼はブルースリーが好きだった。 指たてふせとかやる。 ブルースリーのようなステップを踏んで、華麗なパンチを空に放ち、見下したような表情を浮かべた後、ニヤリと笑う。 「考えるな、感じるんだ」 と、言う。 上機嫌な彼の前に、迎えに来た母ちゃんがやってきた。 「ほら、帰って勉強しな」 「トレーニングをするんだ」 「あんたね、身体鍛えたって、毒盛られて、鉄パイプで殴られて、銃で撃たれて、車に突進されたらどうするの?」 「……」 彼は一瞬考えたような顔をした。 僕は横で、考える

今夜はブギーバック【小説】

退屈の原因が僕自身にある気がしていた。 なにかしら、積極的に、「楽しさ」を求めないと、こ…

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さくら。【小説】

桜の季節。 公園で、桜の近くにござを敷いて花見している奥さんたちと、周りで遊ぶ子どもたち…

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