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人への投資

 金融教育の専門家、遠藤です。


 上場企業の方々とお話をすると「人材の確保」という話を頻繁にききます。
 一流の大企業でも結構人が辞めてしまうそうです。
 業界トップでも「外資系に移る」という選択肢があるようで、企業は人を本当に大事にしないといけない時代になりました。

 私自身、邦銀系の証券会社の後、外資系の銀行に転職し、今は金融機関に属さないFPをやっている立場なので、転職する人の気持ちが痛いほどわかります。

 優秀な人材を確保したいなら、第一に企業がすべきことは「社員を育てる」ということです。社員は「この会社にいれば成長できる」と思えばそう簡単には辞めません。「こりゃいかんわ」と思うからやめるのです。

 たとえば、トップ営業マンを例にします。
 彼はどこにいっても通じるので、転職をする可能性が高い人材です。企業としては業績のために繋ぎ止めたいですが、よりよい待遇の会社があったら転職されてしまうことでしょう。

 彼を繋ぎ止めるためには、成長の場を提供することが大切です。

 たとえば、海外赴任。

 転職したからといって簡単に得られる成長の場ではありません。

 早期にシニアに昇進、という手もあります。
 ただ、ポジションを上げれば社員が満足するとは限りません。

 海外赴任や昇進は、その瞬間は嬉しくても、その後の日々になり病んでしまう人はいます。本人の希望や能力に合った適材適所である必要があります。


 システムエンジニアについてはどうでしょうか。
 仮に、1人で5人分の頭脳と技術をもった敏腕エンジニアがいたとします。
 彼に成長の場を与えるなら、たとえばプロジェクトマネージャーなどが思い浮かびます。ただ、マネジメントが好きではない、職人気質のエンジニアも多くします。これでは逆効果です。

 それなら本当に1人で5人分の仕事をしてもらってはどうでしょうか。
 5人チームで開発するシステムを1人で作るようにオファーする。その代わり、給与は本当に5人分払う。というものです。5人分はやりすぎなら3人分でもそのエンジニアの給与は一気に3倍です。3人分のコストで5人で仕上げる仕事ができるなら企業としては安いものです。
 限界に挑戦することで敏腕エンジニアはさらに成長すると思います。


 能力が平均以下の人についてはどうでしょうか。

 これについては社風の変化が必要です。たとえば、毎日元気に挨拶、笑顔の絶えない職場で働いている人がお客様に対して暗い顔で対応するでしょうか。社内が整理整頓されており、毎日掃除から始まる会社の社員が、凡ミスをするでしょうか。

 社風を改善することは良い仕事に繋がり、良い業績に繋がる可能性があります。


 人の能力を生かし繋ぎ止めるためには、相当な工夫が必要です。
 企業を見る際にはどのような人的資本経営をしているのかを見ることが大切です。

 10代の方々は株式投資を学ぶことで一石二鳥を得られます。
 お金の増やし方と、自分が働く際の良い会社選びです。ここでいう良い会社とは人を大切にする会社のことです。良い会社には人が集まり、より成長していくことと思います。


(遠藤)


[遠藤 功二氏 プロフィール]

 日本FP協会認定CFP
 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
 MBA(経営学修士)

大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。
証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当した経験上、日本には金融教育が足りていないことを確信する。
自己責任が求められる社会で、子供たちが自立して生きていけるよう、お金の教育講座を実施している。子育て世代の親たちと子供たちに、金融の知識を届けるため教育特化のFPとして奔走中。

子育て世代のための金融教育サービスFP君
web:https://fpkun.com
メッセージ:koji.endo@fpkun.com


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)

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