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オリエンタルランドのクルーズ船

 金融教育の専門家、遠藤です。今回は投資の話です。


 2024年7月初旬にオリエンタルランドがクルーズ船事業への投資を発表しました。3300億円でクルーズ船事業に投資をする話。
 これは子供たちにとってもイメージしやすい投資案件だと思います。
「オリエンタルランドのクルーズ船事業は成功するのか」
というテーマは小学生の自由研究にも良いと思います。

(注)本記事はオリエンタルランドを推奨する意図は全くありません。リスクもあるからです。


 ディズニーランド、ディズニーシーにとって、どうしても成長の限界に立ちはだかるのが、地面の問題です。テーマパーク事業はネットビジネスと違って、収容人数の限界が成長の壁になります。

 客数×客単価=収益、となるわけですが、客数に限界があるのが悩みどころです。

 ランドとシーの来場者数の推移を見ると、コロナ禍をのぞくと増加傾向にあるものの、よく見ると10年ずつの踊り場が見られます。ブレークスルーするには、工夫が必要そうですね。

参考 オリエンタルランドグループ入園者数
https://www.olc.co.jp/ja/ir/olc/group05.html


 ただ、コロナ以降、単価は上がっています。「客数×客単価」でいえば1勝1敗の状態です。

参考 オリエンタルランドグループ客単価
https://www.olc.co.jp/ja/ir/olc/group06.html


 オリエンタルランドはホテル事業などもやってますが、テーマパーク事業が業績の大半を占めます。「ホテル事業をメインに」というのは、同社らしくありません。

参考 オリエンタルランドグループ セグメント情報
https://www.olc.co.jp/ja/ir/achievement/segment.html


 今回のクルーズ船事業は同社らしい内容です。
 しかも船は土地地面を埋め立てる必要がありません。1隻目がうまくいけば、2隻3隻を増やしたり、移動するテーマパークなわけですから、世界へのビジネス拡大のアイデアも浮かびやすそうです。

 ただ、単純に「集客が思ったよりうまくいかない。」「人件費やエネルギーの高騰で採算が合わない」など、「こんなはずじゃなかった」となるリスクは当然にあります。

 投資額が莫大なだけに、コケたときの衝撃は大きいです。
 もし減損で1,000億円~2,000億円の特損を出すことになると、赤字決算などもありえます。

 普通に考えたら同社のブランド力なら、そこまで心配する必要はないかもしれません。しかし、いざ進水式のときにコロナの流行みたいなことが起きたらたまりません。

 ランドやシーならすでに圧倒的なファンが付いていますので、コロナ禍であっても「落ち着けばファンが戻ってくる」ことが想像できました。2024年6月にスタートした「ファンタジースプリングス」はこちらも大型投資ではありましたが、シーの強さがあるので「大コケ」のリスクは、まー小さいだろうと想像できます。

 クルーズは、ランドやシーとは別のモデルなので、本当にどうなるか、蓋をあけないとわからないと思います。


 私が住む大阪で話題の例の「万博」は建設費用が想定より高騰したことは周知のとおりです。

「3300億円ではまるで足りん!」となったならまずいです。


 小学生の夏休みの自由研究で、「オリエンタルランドの株価予想を楽観シナリオ、中立シナリオ、悲観シナリオで考えてみた」というのは面白そうだなと思います。先生も興味もちそうです。


(遠藤)


[遠藤 功二氏 プロフィール]

 日本FP協会認定CFP
 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
 MBA(経営学修士)

大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。
証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当した経験上、日本には金融教育が足りていないことを確信する。
自己責任が求められる社会で、子供たちが自立して生きていけるよう、お金の教育講座を実施している。子育て世代の親たちと子供たちに、金融の知識を届けるため教育特化のFPとして奔走中。

子育て世代のための金融教育サービスFP君
web:https://fpkun.com
メッセージ:koji.endo@fpkun.com


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)

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