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運用業界だけ変革しても難しい

 2023年4月21日に金融庁から公表された

「資産運用高度化プログレスレポート2023」

を読みました。

 毎年でているレポートの今年度版ですが、すでに多くの方が内容については批評しています。なので、中身についてはさらっと紹介するにとどめます。


 内容については、主に国内の運用会社の課題として

・運用者会社の経営者の在任期間が短い
・経営トップがほとんどグループ内企業からの天下り的な就任である
・ファンドの運用担当者が非開示であることが多い
・ファンドの保有銘柄の開示も不十分
・投資信託の本数が多すぎる
・ファンドラップや投資信託の信託報酬の報酬金額設定が不明確

などが挙げられています。

 主に米国などの外国と比較して、日本の運用会社は…などの指摘が多いのですが、実際に私も運用会社がこうした課題を抱えていることは認めるものの、一方でこうした課題を解決すれば、日本の個人の運用状況が改善されるのかというとそうでもない気がしています。

 もちろん、上記のような課題があることや、それが運用商品の開発に影響があることはあるのだと思いますが、多くの個人の消費者(投資家)は上記のような課題があること自体、あまり認識していませんし、例えその課題が解消したとしてもあまり気にしていないし、投資行動に大きな影響を与えないのではないかと思っています。

 つまり弊社で行っているような、しっかりとした個人向けのアドバイザーが育っていかなければ、上記の問題を解消するだけでは片手落ちなのではないかと思っています。


 米国では、やはり個人向けのアドバイザーがファンドの購入には大きな役割を果たしており、上記のような問題課題を抱えているとアドバイザーから思われているような運用会社、運用商品は基本的にはアドバイザーから選ばれず、結果的に購入されないという構造があります。

 一方で日本では、上記のような課題を抱えている運用会社や商品があったとしても、販売会社が自社で扱うインセンティブ(手数料など)が高ければ、顧客に販売してくれる、裏を返せば、いくら良い運用会社や商品を開発しても、販売会社の協力が得られなければ、消費者まで商品が届かないという構造があります。


 先日、某大手運用会社の役員の方とお話をしたのですが、私の上記の意見とほとんど同じ意見でした。

 また、大手金融グループの中でやっていると、運用会社が課題を解消しようにも、グループとしての制約のある中では、なかなか単独で意思決定することもできずに難しいところもあるようです。

 したがって、金融庁の指摘する課題事項は正しいとして、またそれを是正していかなくてはならないにしても、

1)個人(顧客)の立場でしっかりと考えられるアドバイザーが育つ
2)アドバイザーが個人のことを考えて、課題を抱えている運用会社、運用商品を選ばなくなる、買わなくなる
3)運用会社自身が、商品がしっかり売れるために、しっかりと自社の抱えている課題を解消する

という順番で変化が起きていかなくては、世の中変わっていかないのではないかと考えています。


株式会社マネーライフプランニング
代表取締役 小屋 洋一


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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

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