失敗だった?日銀の追加利上げ政策
~政治家のプレッシャーに負けたのか?~
8月に入っての株式相場は大波乱の展開。よもや利上げはないだろうと見ていた有力市場関係者に限らず個人投資家各位は早くも日銀の追加利上げに疑問の声、怨嗟の声を上げているのかも知れません。
今回の実質賃金が上がっていない中での追加利上げは明確に上げる理由に乏しい。本当にデフレからの脱却に確信が持てたというのか?何人かの政治家からのプレッシャーに負けたのではないかとも思える今回の追加利上げです。
7月31日に発表された日銀による追加利上げ(0.1%から0.25%)により為替相場が本日は1ドル=141円台まで円高が進展。トヨタの前提レートが1ドル=145円でしたので、この水準を超える円高に振れてきたため、輸出企業への痛手を予見した投資家の売り一色。円安前提で株式投資してきた投資家の投げが続き本日の日経平均は高値から26%余りも下落するに至りました。
今夜はこれに加えに景気後退懸念で比較的高止まりしてきたNYダウやNASDAQ指数の大幅な調整が予想されますので、まさに恐怖のスパイラル現象が続くことになります。
まあ、この恐怖感があって日本株には投げが続いたとも言えますので、これから深夜の米国市場でさほど下振れがないなら、多少は落ち着く可能性もあります。
長い間の利上げによる米国の景気拡大にようやく歯止めがかかり、リセッション入りが現実に株式市場にのしかかる問題となることは否定できませんのでよほどのことがない限りは一旦の比較的大きな株価調整に至ることは容易に想像がつきます。
雇用統計に表れているリセッション入りを示す明確なデータが株式市場にネガティブな要因として加わったため週明けの米国株には日本株に負けないぐらい波乱の展開が予想されます。ピークから2週間余りで26%の調整はまさにクラッシュの様相。これまでの上昇トレンドに慣れてきた多くの投資家、新NISAで株式投資を始めた投資家各位にも多少は衝撃を与えているものと推察されます。
昨年末からの株式相場は日米金利差を背景にした円安基調の中でメリットを受けやすいインデックスに連動する値がさ輸出関連、半導体関連銘柄主導で上昇が続きました。
昨年末の日経平均3万3464円から3月22日には4万1087円まで上昇。その後一旦、4月19日に3万6733円まで調整を入れましたが、1ドル=161円台までの円安が進展する中で、生成AIに不可欠な半導体企業、米NVIDIA株などの急騰に連動する格好で半導体銘柄が人気を集めたこともあり、7月11日には4万2426円まで上昇。有力市場関係者からは5万円、10万円という強気の見通しが示されるようになってきました。
皮肉にもその直後に日銀による為替介入があり為替相場が円高に振れ始めたことから円安トレンドの中で上昇してきた日経平均は一気に調整することになってしまいました。
米国のリセッション入りで中期的にも弱気の声が出ており、仮に短期調整が一巡したとして、その後の展開についても不透明感が漂っています。ただ現在の混乱が長期に継続することはないと考えられます。
日銀利上げショックとか日銀ブラックマンデーとでも今後語り継がれる可能性はありますが、こうした展開はいずれは落ち着きますので、億の近道読者におかれましても、しっかりと冷静に見守って頂きたいと思います。
(炎)
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