274便-OLD Jr.ver-制作ノート
OLD Jr.『HAPPY SAD』の制作記。今回はカンバスの小川タカシくんにアレンジしてもらった「274便-OLD Jr.-」のお話。
今回のアルバムの中では一番古く、2014年くらいにアナ用に作った曲をカンバスの小川くんにアレンジしてもらった。
274便は福岡空港発羽田行きの最終便。
僕は19才~26才くらいまで福岡空港でアルバイトをしていた。
空港は只でさえドラマティックな場所なのに加え、そのこともあり僕は福岡空港が大好きだ。
おそらく今までアナで書いてきた歌詞の半分くらいは空港へ向かう車の中、バイト中に店のコースターに、バイトの休憩室で滑走路を見ながら、そんな風に書いていたと言ってもいい。
でも、ソニーミュージックに所属していたときに、バンド名のことでANA(全日空)にお叱りを頂いてしまったので、飛行機や空港の出てくる歌詞や、それをイメージさせる作品は正式リリースすることができず、274便も無料配信しただけだった。
※ちなみにアナの274便はこちら
そこで、OLD Jr.名義でアレンジしてやっと正式リリース。
この曲は、メモが残っていて2013年6月に福岡ライブの帰りに、空港と羽田に向かう機内で歌詞を書いた。当時は空港に、僕が働いていたお店やバイト時代の知った顔も残っていて、福岡の変わりゆく街を散々見てきた帰り際に変わらない人たちに会ってなんとも不思議な気分だった。
ここ数年で福岡空港はすっかりリニューアルされて、もう当時の店やこの歌詞を書いたベンチも残ってない。福岡空港は、羽田とかと違って市街地から車で15分くらいの街中にある。空港へ車で気軽に行く感覚も福岡独特の風景だと思う。
福岡空港へ向かうシーンや、歌詞に天神と出てくる曲なので、そんな風景を知っている人に頼みたくて同郷のバンド、“カンバス”の小川くんにアレンジを頼んだ。
あなたが星座にでも間違えればいいのに
274便の好きなライン。OLD Jr.バージョンで書き直した部分でもある。
2014年には「あなたが空でも見上げれば」と願っていた僕が、2020年「あなたが星座にでも間違えればいいのに」とちょっとだけ余裕があるとこが好き。
福岡に帰った時はいつも名残惜しくて、少しでも長く福岡に残れるように最終便(274便)をとってしまう。
羽田へ向かう夜間飛行で空から見る福岡市街のネオンはまるで星空のようで、果たしてどっちが空にいるのかわからなくなる。僕は星座の一つでも探すようにあの人の灯す明かりを探す。