スナックの日常日記/2
本日も東京の場末のスナック
ほうっと息を吐くと白ーくもやもやが見え始めるくらい寒くなってきましたがオープンです。
この場所はほぼ毎日いる第二の家と自分は思っている。きっと誰かのお客様にとってもそうだ。
毎週、一年に一回、数ヶ月に一回、回数はバラバラだけど皆、うちのママに会いにくる。
うちの名物ママはいい意味でママらしくなく、
そして本当のママに近い。
他のお店のママに比べるとものすごくフランクだ。とっても。だからといってふにゃふにゃしているわけではない。
そうだな、わかりやすく例えると
今日あったことを、ちくいち話したくなる感じ。
スーパーの野菜が安くなってたとか。肌荒れしたとか。冬の匂いがしてきたとか。ストッキングやぶれちゃったーとか。
お客様もたわいもなーい話でケタケタと笑って盛り上がってありがとうと帰ってゆく。
でもそんな瞬間が誰かにとっては救いなのだと、ママは言う。いろんなお仕事をなさってるお客様がいて、非日常を楽しんでもらう時間と空間でもあるからだ。
私たちの前ではそんなふうに見えてなくても、
病気を抱えてる方や、仕事に追われていっぱいいっぱいな方。大切な方とお別れした方。
失恋した方。いろんな方がいる。
逆もまた然り、働いている私たちもそうだ。
何か巨大な波が迫っていて、足掻いてもがいてる人もいる。
みんな、みんな表には出さないけど
大きな壁を常に乗り越えて、分かれ道を選び決断し戦っている。
そう思うと常々、お客様がいてこそのお仕事なんだよ。とママが優しく話してくれたのを思い出す。
ママがいるだけでその場がパァッと明るくなる
関西人の私からすると、関東の方ぽくない。な
と思う。ツッコミもボケも。すべてのオールラウンダーだ。
そして割引に詳しい。PayPayや楽天
Amazon、メルカリ。
この方が安い、お得だと教えてくれる。
本当のお母さんみたいだ。
スーパーの特売のチラシに丸をつけて
おひとりさま限定の卵を母と買いに行ったことを思い出させるくらいだ。
そして全てを包み込む優しさもある。
何事も動じず、何かあってもやっちまったー!
くらいでケタケタしている。
足元のシュレッダーを誤作動させて、
買いたてのアウターを噛まれてしまい、
ヨウジヤマモトのビンテージのジャケットにありそうな、すごいフリンジができてもだ。
いつか流行がくるんじゃない?先取りだよ!
とケタケタと笑ってみんなに見せる。
そのフリンジになったのをみた時は
十分くらい笑いすぎて息ができなかった。
涙が出てきて、その日の悩みなんて
どうでもよかったのだと思うくらい。
どうでもよくなった。
そしてこれを書いている自分も、
また思い出して笑ってしまう。肩がガタガタ震えて完全に不審者だ。
なんだろう。
すごくわかりやすくゆうと常に心の中にいてくれる気がする。実際に私も救われている。
そんな名物ママの様子も日記に書き続けようと思う。
ちなみに日本酒を飲みすぎたママは
お客様と急に相撲を取り出すんだそう。
今度是非見てみたいと思う。
そしてその時は、ビデオに収めて
死ぬほどケタケタと笑いたいと思う。
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