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夏の日の思い出

 お盆が終わって、夏休みも残り少なくなると思い出す事がある。

 確か小学校2年の夏休みだったと思う。
父親の仕事の関係で、その当時、団地に住んでいた僕は、同じ団地に住んでいる一つ下の友達二人と、自転車に乗って遠出しようという事になり、(今考えると、5km以上はあったと思う)出かける事になった。この二人とは、いつも放課後に近所でよく遊んだりしていた。


 夏だから、その日は、3人共半袖のシャツと半ズボンを着ていたと思う。某市の加茂川という少し大きな川の近くまで来て休んでいた。向こう岸まで、大体100メートル近くあったと思うが、流れている川そのものは、20メートルぐらいの幅があったと思う。川の真ん中辺りは、深く、水の流れも速い。川の端の土手に近い辺りは、浅くなっている。上から眺めると深さが10cmぐらいに見えた。
 二人の友達は、カズ君とユキヒコ君で、ユキヒコ君は(利口だから)川の中へ入ろうとしなかったが、僕とカズ君は、少しぐらいならいいだろうみたいな軽い気持ちで、上に着ていたシャツを脱いで少し流れがよどんでいる浅いところから入っていった。
 川の中を歩いていくと、水の深さが、足のスネのあたりから、やがて、腰のあたりまできた。そのあたりで、岸の方へ引き返せばよかったものを、川の中の方へと歩いていたら、突然、深みに入り、川の底から足が浮いてしまった。その当時、泳げなかった僕は、水中で、手と足をバタバタしながら水の中へ沈まないように、必死にもがいた。数分すると、足が川の底にあった大きな石に当たって、石の上に立つことができた。ホッとして助かったと思った。カズ君は、深みに入る事はなかったみたいで、岸に近いところにいた。溺れそうになった時に、偶然川の底に大きな石があったからよかったものの、もしその石がなかったら溺れていたと思う。

夏になれば、よく川や海での小学生の死亡事故のニュースを見る。これだけ猛暑日が、毎日のように続けば、川や海に遊びに行こうという気持ちはわかるけど、学校のプールみたいな感覚で単純に考えていると危険だと思う。それ以来、何度か川や海に行く事もあったけど、少し慎重に考えるようになって、今思うと、いい経験だったのかもしれない。

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