短編小説『計算し尽くせないもの』
主人らは、早速設計図の作成にかかりました。
私は、父から宮大工たるものは、頭の中にしかと図面を叩きこんでおくもので、紙に書き込むものではないと教え込まれていました。
誰かに見せる必要もないので、棟梁の頭の中にさえきちんと頭に中に入れておきさえすればいいと言われていたので、正直主人ら仕事を見て驚きました。
主人も、中井正清様のお屋敷に通い詰めて徹底的に教え込まれたのでしょうか、平然としております。
主人は驚く私に、まずは大まかな図面を書いて、縮小した模型を作り、寸法や材