連作短編小説「小堀遠州様の教え」『白木の棺』
家康様の喪が開ける間なしに、造営奉行の五味金右衛門様に呼び立てられました。
何やら、中井様の代わりに、五味様が将軍家の造作の仕事を一切任されたそうなのです。
先ずは、中井様の懸案となってとなっていた知恩院の山門の建築に取り掛かるようにと仰せつかったそうです。
主人が、その模型を持って帰って来ましたが、それは見事なものでした。
山門と言うよりは、立派な砦のように見えます。
主人は、東大寺の南大門の修理をしたことがありましたけれども、それに比べると何やら武骨なような気が