オレンジ・イズ・ニュー・ブラックはなぜ面白いか;産獄複合体とは?
ここ2ヶ月ほど、ずっと「Orange is the New Black(オレンジ・イズ・ニュー・ブラック)」っていうドラマを見ていました。
アメリカの女性刑務所が舞台で、主人公パイパー(下の画像のオレンジ色の服の人)を中心に、刑務所内の様子や、周りの囚人たちとの関係性やそれぞれのバックグラウンドを見ていく感じです。
(雑な説明のせいで面白さが伝わらなかったらごめんなさい。)
原作はまさかのノンフィクション回想録、って、noteを書くために調べていたら知りました。リアリティはだいぶ高いんだろうなとは思っていたけど、回想録っていうのは凄まじすぎる。
けど納得しました。
え、あのだいぶ昔にちょっと出てきたあれで今更伏線回収!?!?みたいなことが、ドラマの後半になるにつれて頻出して、最初から考えて設定してるならエグすぎる…と思ってました。だから、事実なら、あーあれがこういう結果になっちゃったかぁって感じ。(ネタバレをしないような話し方をしていたらこんなに意味のわからない文章になってしまっています😅)
まぁとにかく、どんどん面白くなっていくドラマです。
最後までこんなにダレない長編ドラマは類を見ない気がします。
(一番最初はちょっと主人公に腹立つかもしれませんが、主人公も周りの人もどんどん成長して変わっていきます。)
実は、だいぶ前からこのドラマの存在を知っていて、1話を見てやめたり、推しが出てる途中のエピソードだけを見てやめたり、複数回の離脱歴がありました。
けど今回1話からちゃんと見てみて、激ハマりして、シーズン7の完結まで疾走しました。
なんで前まで面白さに気づけなかったのか、どうして今回こんなにも楽しめたのか、はっきりと理由があります;
アメリカのジェンダー・セクシュアリティ研究(学問領域)で学んできたことが映像化されていて、総復習できたから。
元々私はジェンダー・セクシュアリティ研究(以下ジェセクと略す)を日本でも勉強していたので、まぁ全般的な知識はありました。
けどやっぱり、留学先(アメリカのカリフォルニア大学)で、アメリカのジェンダー・セクシュアリティ研究を学んだことで、より、アメリカの刑務所内のドラマが楽しめたんだと思います。
このドラマに、どんなジェセク要素があったのか、思い出せる範囲で書き出してみます;
同性愛
トランスジェンダー
人種
貧困
教育機会
不法移民
基本的人権
ドラッグ
学習障害
FGM(女性器切除)
セクシュアルハラスメント
レイプ
Autonomy(自律性・自己決定権)
Me Too運動
権力構造
Prison Industrial Complex(産獄複合体)
いや、全然ジェンダーとセクシュアリティ以外の要素ばっかりじゃん、って思うかもしれませんが、ジェセクではこのような交差性を踏まえて勉強・分析します。
もはや、ジェセクの総復習のためにこのドラマ作った???って思うくらいなんですが、それってつまり、アメリカの女性刑務所ではジェセクでカバーするあらゆる問題が全て存在しているってことですよね…
🧡🖤🧡🖤
今回、このトピックでnoteを書こうと思ったのは、勿論このドラマの布教目的と、私の感想メモしておきたかったってこともあるんですが、
特に、Prison Industrial Complex(産獄複合体)について、日本語で書いておきたかったからです。
私の履修してる「Sexual Politics and Queer Organizing in the US/アメリカにおけるクィア政治と組織」(ちょっと意訳だけど、まぁ似てるから許してください。「Sexual Politics」に合う日本語を見つけられませんでした。)っていう授業で、Prison Industrial Complexは重要なキーワードの一つで、テストにも出ました。
けどこれ、あんまり日本語での説明がないんですよね。
wikiには、英語をそのまま翻訳した日本語の説明しかありません。
これでもちょっとよくわからないですよね。
私も授業で、英語のテキストを読んでも、先生に説明されてもよくわからなくて、日本語で調べてもわからなくて苦労しました。
なんでこんなに理解が難しいのかって、
Private/For-profit prisons (=私立刑務所?)が日本にはないものだからだと思います。これの説明がまずないと、産獄複合体は理解できません。
私立刑務所とは、つまり、政府機関と契約した会社が運営する刑務所のことです。
このような刑務所は、営利目的になっているってことです。
で、問題は、どのように利益を追求しているのか、ということ。
それが、Prison Industrial Complex(産獄複合体)の話なんです。
オレンジ・イズ・ニュー・ブラックを見ると、痛いほどよくわかります。
どのように利潤追求しているのか、
その追求がどのように囚人たちに影響しているのか、
どのような人権侵害の上で成り立っているのか。
ドラマを見る暇はないけど詳しく知りたいという人は、私のnoteを読んだ後に、この記事を読むことをオススメします↓
この記事では、人種問題に焦点を当てて産獄複合体について説明しています。
わかりやすいので、ちょっと引用します;
この太字にした部分、ドラマだけではわからなかったアメリカ社会の仕組みの部分です。
ドラマはシーズン7までありますが、最初から最後まで、常に産獄複合体の闇を見せてくれます。もはやそのようなメッセージ性を持って、社会に疑問を投げかけるために制作されたのかなって思うくらいです。
…いや、実際にそうなのかもしれません。
ドラマを最後まで見た人にだけ伝わる、できる限りネタバレにならないような言い方を心がけますが…あの人の名前のついた募金、実際に作られています。
ここには、以下のように説明されています↓(Deepl翻訳失礼します。)
やっぱり、このドラマは凄いです。改めて思いました。
🧡🖤🧡🖤
こんなに難しそうな話をずっとしていますが、ドラマ自体はコメディ調で、しょっちゅう泣かせてきますが、軽く楽しめます。
あ、あと、一応注意書きしておきますが、最初の方はR18シーンが多めです。小さな子供とは見ない方がいいかもしれません。
(「最初の方は」って書きましたが、ずっと頻出します。もうどんどん慣れてくるので、気持ち的には「最初の方は」って感じです😅)
私のnoteを読んで、前提知識を知ってから見るのも、とっても面白いと思います。
すでに観た方にとっても、あれってこういうことかーっていう新しい発見があると良いなと思います。
私はRuby Rose(ルビーローズ)を推していたのでこのドラマを知って見始めたのですが、もう今やルビーは関係なく、ドラマ自体の大ファンとなりました。
ちなみにルビーはStella Carlin(ステラ)役としてシーズン3で数話しか出てきませんでした。しかもあっけなく消されます。(あ、ちょっとネタバレ??未履修の人は記憶から消してください)
なんで私にとってこのドラマが面白かったのか、うまく伝わったかわかりませんが、というか産獄複合体以外のことはあんまり説明していませんが…
本当にオススメのドラマです!
あと、私は、救われない系・鬱系のストーリーが大好きです。
同じ好みの人には刺さると思います。
以上、私にとってはオレンジ・イズ・ニュー・ブラックめっちゃ面白かったよーっていう話でした。