羅生門2ndBattle 平安の女傑vs下人
「んがっ!」
羅生門の中、地上への出口から吹く夜風で老婆は正気を取り戻した。老婆は布切れの一つも纏っていない。ついさっき、突如現れたにきびのある男が身ぐるみを剥いでいったからである。
ガス灯も警察もいない平安京の夜は寒く暗く治安も悪い。すなわち全裸の老婆は今、家路にすら辿り着けない絶体絶命の状況にいた。普通の老婆であれば諦めるだろう。諦めて、餓死か、死体から布切れをかき集めるかもしれない。
しかし、この老婆は違った。この荒れた平安京で皺を重ねるほど生き抜いてきた意地と