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小説同人誌装丁まとめ2024

2024年もあと1ヶ月ほどで終わりということで、今年出した同人誌の装丁をまとめまして、今年の活動を振り返ろうかなと思います。
今年は同人誌を作り始めて4年目でした。
色々と目標を立ててやってみた年でもあるので、そのあたりを振り返ることができたらなと思います。
よろしくお願いします!



目標設定

去年一年の装丁まとめを作っていて、印刷所が固定になってくると装丁的にも同じような系統のものになりがちだな(これは本当に個人的な反省です)と思ったので、今年は色んな印刷所さんを使ってみて、色んな装丁にもチャレンジして、幅を広げられたり経験を積めたらいいなという目標設定をしていました。
なのでなるべく使ったことのない印刷所さんにお願いするように意識して今年は活動していました。
では装丁について見ていきましょう!

①2024/1/7『ポルトフィーノのあの岬』

上糸:レッド
下糸:ターコイズブルー

・B5正方形変形断裁
・ミシン綴じ製本
・24ページ
・表紙用紙:ファーストヴィンテージ ブルーグレー172kg
・本文用紙:書籍用紙90kg
・PP加工:マットPP
・上糸:レッド
・下糸:ターコイズブルー
・印刷所:おたクラブ様
・デザイン:mm design様

イベントに出ると思い立ってから半月ほどで原稿を作った本。
短いお話だったので折本にしようと思い、ミシン綴じの本にしてみました。
上糸と下糸を、それぞれキャラクターのイメージの色にしています。
片方のキャラクターの思い出話、みたいなストーリーなので、表紙用紙は思い出の中の少し色褪せた風景、みたいなものをイメージして、ファーストヴィンテージのブルーグレーという色を選びました。

短い話なりにコンセプトがしっかりしていて、それを表紙デザインや装丁などにも活かせた本だったなと思います。
mm design様は抽象的なデザインがとても素敵で大好きです。


おまけ①ミニカレンダー

おまけのノベルティとして、レトロ印刷さんでミニカレンダーを作りました。裏にはSSを載せています。
レトロ印刷さんは一色ずつの版を重ねて多色刷りにしていく方式なので、レイヤーを分けて一色ずつのデータにしていくのが結構大変……と思いながらなんとか作ったんですけど、これを本でできたら楽しいだろうな〜と思いました。


②2024/1/7『Love Letters』


・A6文庫
・104ページ
・カバー用紙:マットコート(ユーライト)135kg
・表紙用紙:OKミューズキララ ホワイト170kg
・本文用紙:ソリストSP(ピンククリーム)75kg
・PP加工:ベルベットPP
・見返し用紙:紀州の色上質 厚口 びわ
・印刷所:ワンブックス様
・デザイン:てんぱる様

これも結構唐突に「今までに書いた色んなジャンルの短文を集めて本にするか……」と思いついて、こっそり出した本です。
ワンブックスさんは本文モノクロと本文カラーが混ざっていても同一の料金でやってくれるので、せっかくだからと扉は今回カラーにしてみました。
ベルベットPPをいつかやってみたいなとずっと思っていて、ワンブックスさんだったらそれができるのでワンブックスさんにお願いしよう!というところから装丁は考えていったと思います。
カバーは多分ワンブックスさんのわりと標準的な用紙を使っています。
表紙用紙はOKミューズキララという、金のフレークが入った用紙なのですが、これも前から使いたくて。使えてよかったです。
遊び紙ではなく見返しをつけたのは個人誌では初めてだったのですが、持ってめくった時にかなりしっかりするな、という印象でした。色はめちゃくちゃ合っていてよかった!
本文用紙も厚めのものにしたら見返しも含めるとちょっと硬くて捲りづらいかも、と思ったので(感じ方には個人差あると思います)これは次回は要検討だなと思い、この時の反省点にしたのを覚えています。
カバーデザインは手紙のモチーフで作っていただきました。かわいくてお気に入りです。


おまけ②2024/3/17『落下する速度で踊ろう伴奏は夜』


・A6文庫
・38ページ
・表紙用紙:GAバガスシュガー180kg
・本文用紙:竹紙86kg
・PP:マットPP
・遊び紙:クラシコトレーシング-FS 90kg
・印刷所:プリンパ様
・デザイン:てんぱる様

3月は合同誌を出しまして、その時の無配にしていたものです。
初めて使う印刷所さんで、初めて見る用紙がたくさんあったので、絶対初めての用紙を使おう!と思ってルンルンで選びました。
GAバガスシュガーというのはさとうきびの繊維から作られている紙だそうで、珍しい…!と思ったので使ってみました。ちょっときなりっぽい色味です。
本文用紙はクラフト紙っぽいものを使いたいなと思い、竹紙という茶色の紙を使っています。
遊び紙のクラシコトレーシングは何気に初めて使いました。
ささやかながらかわいい装丁になったんじゃないかなと思います。


③2024/6/30『式日散華』


・A6文庫
・236ページ
・カバー用紙:ビオトープGA-FS ミッドナイトブルー120kg
・表紙用紙:OKフェザーワルツ しんじゅ170kg
・本文用紙:ソリストN 56kg
・遊び紙:新アトモス サファイア90kg
・印刷所:コスモテック様でカバーと表紙の箔押し加工後、ワンブックス様で本文印刷と製本
・デザイン:S_D様

箔押しパターンが4種あります。
①サンセットオレンジ×ホログラムシルバー×グリーン
②ディープオレンジ×フロスト箔×シルキーコバルト
③サンセットオレンジ×ホログラムゴールド×ピンク
④ディープオレンジ×レインボー箔×黒ツヤ

表紙は空押し加工とパール箔です。
最初は箔押しは1パターンだけで考えていたのですが、箔押しの見学に印刷所さんに行ったら数パターン作れるよとのことだったので、せっかくなので…と4パターン作らせていただきました。
ミッドナイトブルーという用紙を使うことに決めた時に、箔押しの方ではサンセットオレンジという、空の時刻にまつわる名前のものを使いたいと思ったので、箔押しのパターンはなんとなく朝・昼・夕・夜のイメージでわけて決めることができました。
こういう時素敵なお名前が冠されているということは素晴らしいなあと思います。
全部使ったことのない用紙にしたので組み合わせ的にどうかなと少し心配でしたが、かわいく仕上がっていてよかったです。
1月の本の反省を活かして本文用紙を薄めのものにしてみたのですが、ソリストNはこのページ数だとこの厚さにしてよかった…!と思える捲りやすさだったのが嬉しく、次回以降はこのソリストNを基準にして本文用紙を選ぶことになりそうです。


おまけ③『人生最良の日』


・A8豆本
・32ページ
・表紙用紙:オリジナルエンボスサンバ クリスタル
・本文用紙:ナチュラル
・印刷所:ホープツーワン様

6月のイベントの無配にした豆本です。
このサイズに4,000字ほど収まっているので無配としてはかなりちょうどいいな……と思いました。
ホープツーワンさんは初めて使う印刷所さんでしたがとても親切でした。
表紙用紙はエスプリエンボスアラレに近い模様のものかなと思います。
豆本ってめっちゃかわいいな……!と思ったのでまた何かの機会に作りたいです。



④2024/8/25『愛を思い知れ』


・A6文庫
・64ページ
・表紙用紙:NPホワイト200kg
・本文用紙:淡クリームキンマリ70kg
・PP加工:マットPP
・表紙印刷:RGBオンデマンドフルカラー
・遊び紙:色上質 サーモン
・印刷所:日光企画様
・デザイン:Design +  ユウキ様

こちらも結構突発的に作りたくなって作った薄い本です。
RGB印刷ってもしかしたら初めてやったかもしれないです。マットPPをかけたのでそんなにパキッとした感じにはなっていませんが、かわいい色味になったのでめちゃくちゃお気に入りです。
本当はキウイグリーンの箔を使いたかったのですが、金額的なあれこれとセットの組み合わせ的に実現できず、その代わりにRGBカラーで真ん中のキウイグリーンの色が発色よく出たらいいなーということでRGBにしたのでした。



⑤2024/9/8『歌集 落星軌道』


・新書
・108ページ
・表紙用紙:OKマットポスト180kg
・本文用紙:淡クリームキンマリ70kg
・PP加工:マットPP
・遊び紙:アートレスクラフトゴールド オボロヅキ86kg
・箔押し:レーザーセレクト(ゴールド)〜75cm2
・印刷所:STARBOOKS様
・デザイン:ダダとド様

初めて出す歌集として作りました。
オレンジのグラデーションのところが箔押しになっています。
遊び紙にオボロヅキというものを使用しまして、全体的に夜の星空みたいなイメージで作ることができて、素敵な仕上がりになったと思います。
デザインが本当に、私のイメージぴったりのものを制作していただきました。


⑥2024/9/8『リメンバー・ユー』


・A6文庫
・38ページ
・カバー用紙:高透明フィルム200ミクロン
・カバー印刷:CMYK+白印刷
・表紙用紙:OKカイゼル白195kg
・本文用紙:コミック紙クリーム
・遊び紙:トレーシングペーパー 星くずし白
・印刷所:プリントオン様
・デザイン:mm design様

2冊目の歌集として制作。
高透明フィルムを使いたくてカバーをつけました。
前面に降る雪と、その下の春のイメージをカバーと表紙で表現したかったので、その旨をお伝えして素敵なデザインにしていただきました。
カバーは白印刷と抜きの透明な部分だけなんですよ。めちゃくちゃ素敵ですよね。


⑦2024/10/27『夜はビロード』


・B6
・150ページ
・上製本 角背
・布張り:バックスキン紫
・本文用紙:
①b7ナチュラル79kg
②スマッシュ77.5kg
③オペラクリームウルトラ80kg
④b7トラネクスト71.5kg
⑤波光80kg
・見返し:ビオトープGA-FS ミッドナイトブルー90kg
・箔押し:26号金(表1、背)
・デボス加工+題箋貼り
・花布:ワインレッド
・印刷所:イニュニック様
・デザイン:OSARU様
・本文デザイン:9Q9H様

これはビロード装の本が作りたい!というところから作った本です。
なかなかビロードそのものと言える布張り用の布がなく、近い質感のバックスキンというものに最終的になっています。
題箋貼りもしたくて、用紙を貼る部分にはデボス加工で窪みをつけています。
あとこの本は短編集なんですが、話の切り替わりごとに本文用紙を変えてみたいなと思って、計5種類、本文用紙紙替えを行っております。
入稿時期に取り寄せられなかったり生産中止になっていたりして、当初予定していた用紙から変更になったものもありますが、それぞれ質感の違う用紙が話に寄り添ってくれているようで嬉しいです。
あと今回は表紙デザインと本文組版デザインをそれぞれデザイナーさんにお願いしていて、本文の方もデザイン的に楽しめるようになっています。



⑧2024/12/1『美しい滅びかた』


・B6変形断裁120mm×120mm
・66ページ
・表紙用紙:星物語 パウダー180kg
・本文用紙:モンテルキア69kg
・PP加工:マットPP
・遊び紙:タント ターコイズブルー70kg
・印刷所:サンライズ様
・デザイン:ちくわ様

正方形の本って、かわいい…!ということを1月の本を作った時に学んでいたので、正方形にしたいな〜という話に合わせてここぞとばかりに正方形にしました。
正方形にすると、ちょっと童話や絵本のような雰囲気になる気がしています。
モンテルキアは初めて使う本文用紙でしたが、このページ数だといい感じに捲りやすく、ちょうどよかったです。
遊び紙もストーリーに沿っていてよかったと思います。
デザインも本当に素敵で、砂のさらさらとした質感が伝わってくるデザインで、それが表紙用紙の星物語の凹凸でいい感じに再現されているような感じになっていてすごく、すごく質感が……伝わってくる……!という嬉しい仕上がりでした。
星物語はフレークが入っている用紙なんですが、表紙自体は全面に濃い色が乗っているのでフレークのキラキラはあまり見えず、表紙をめくった時に初めて表2、3がキラキラしていることで用紙の輝きに気付く、というのもテンションが上がって嬉しかったです。


⑨2024/12/1『hidden under the tulle』


・A5
・16ページ
・中綴じ本
・表紙用紙:トレペ白
・表紙印刷:オンデマンド白トナー
・本文用紙:美弾紙クリーム
・印刷所:日光企画様

12月の2冊目に作った中綴じ本です。
日光企画さんのトレペに白印刷ができるという「透ける本フェア」がやりたくて短い話を書きました。
何か薄い本が作りたいな〜、でもちょっと工夫がほしいな〜、という時などにぴったりだと思います。
トレペに白印刷、めちゃくちゃかわいい!
本文がうっすら透けるので、漫画だったらもっと効果的な見せ方ができるのかなと思いました。



さいごに

ということで今年も色々な本を出しました。
色んな印刷所さんを使ってみて、それぞれに楽しいフェアやセットがあるので、使い分けていくと毎回違った楽しい装丁ができるのでいいな〜と思いました。
ただ、毎回色々な印刷所さんのHPを見て比較して決めるのは、結構大変…!なんですが、最初に装丁と合わせて決めてしまえばあとは楽なので、今後も色々な印刷所さんにチャレンジできたらいいなと思います。
あとさすがに気付いたのですが、色んな装丁をやりたい!と言いながら、私はめちゃくちゃマットPPを……使ってしまう……!マットPPが大好きすぎるため……!マットPPだけは……どうしても……
という感じで、自分の中の変えられないこだわりが見えたという点でもおもしろい一年だったかなと思います。
今年は後半かなりハイペースでイベントに出ていたので、しばらくゆっくりしようかな……と思いつつ、次の予定は1月インテなのでまた日をおかずイベントに出ることになりそうです。

今年も一年お疲れ様でした!
また来年も楽しく本を出したいと思います!
ここまで読んでくださってありがとうございました!
どうぞ皆さまも楽しい同人ライフをお送りください〜!

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