『Doki Doki Literature Club』プレイ感想
【ジャンル】サイコロジカルホラーADV
【原画】Satchel
【シナリオ】DanSalvato
【プレイ時間】約6時間
「海外発のギャルゲー」で「何か怖いらしい」といった、漠然とし事前情報のままプレイ。
【ストーリー】
幼馴染のサヨリから、彼女の所属する文芸部に入部を誘われた主人公。
何の気なしに訪れた文芸部の部室、そこには4人の美少女部員たち!
ツンデレのナツキ、文学少女のユリ、文芸部部長で才色兼備なモニカ、
そして幼馴染である、天真爛漫なムードメーカー、サヨリ。
個性あふれる4人の女の子たちに囲まれ、詩を作ったり、お菓子を食べたり、漫画を読んだり…。数日後に迫る文化祭の準備をする中で「意中の女子」と友達以上の関係になれるのか!?主人公の明日はどっちだ!?
・・・・以上があくまで「うわべ」の概要。
あらかじめお伝えしなければならないのはーーと言っても、このゲームを普通のギャルゲーだと思ってプレイする人はほとんどいないと思うがーー本作には、身の毛もよだつ「サイコロジカルホラー要素」が多数あるということ。
ゲームを起動してすぐに出てくる諸注意にもあるように、「小さい子供」や「ホラーが苦手な人」は全力で回れ右を推奨する。
しかしながら、勿論本作はホラー一辺倒のシナリオではない。恐怖を越えた先にある、製作者が最も伝えたかったであろう真実こそが、本作の目玉である。ある程度サイコホラー耐性があるノベルゲーマーには是非ともプレイしてほしい。
製作者が意図する仕掛け(真相)に辿り着くまでは、およそ3,4時間程。
【シナリオ雑感 】
このゲームの良さを100%伝えるには「無料なので今すぐプレイしてください」以外の何物でもなく、それ抜きに語るとしても、どこをどう切り取っても全てがネタバレになってしまう。
なので、もうこれ以降はいっそネタバレを気にせず自由に書いていきたいと思う。というわけで、次の行からネタバレ全開で失礼します。
【ネタバレ雑感】
本作は、ニトロプラスが2013年に発売したPC向け18禁ゲーム「君と彼女と彼女の恋。」(以下「ととの」)のシナリオ構成に、とても似ている。
「メタフィクション」×「ギャルゲー」の要素がメインとなると、どうしても似てきてしまうのは仕方のないことだが、そこを言及するつもりは毛頭ない。両作ともそれぞれの魅力がある。
「ととの。」では美雪をどれだけ好きになれるかで物語への没入度が違ってきたが、本作も同じく。
全ての始まりであり、また終わりでもある、唯一無二のヒロインのモニカを、プレイヤーが一人の女性として愛せるかどうかで、このゲームへの評価は変わってくる。
私ですか?私はもう、ゴリゴリのモニカ派。
モニカの好きなところは、聡明で、理知的で、冷静で、知識が豊富なところ・・・自分の手を直接汚さずに周囲を消していくところ・・・いざ私(プレイヤーではないです。私です)と二人きりになったJustMonica世界での語り合い・・・永遠に一緒にいたいにも関わらず、ファイルの消し方教えてくれるところ、なんだかんだ文芸部に愛情持っているところ、ピアノを拙いながらにずっと練習してくれたところ、たどたどしくも歌ってくれるところ、最後まで涙一つ見せずにお別れしてくれるところ・・・。ダメだ、打ってて切なさで張り裂けそうになる。愛してるよモニカ・・・
・・・と、モニカへの想いはさておき、本作は「バグ要素が現実まで及んでくる演出」に涎垂らして喜んでしまうタイプのノベルゲーマーには持ってこいの作品であることも伝えておきたい。
突如セーブ&ロードできなくなるとか、選択肢が選べなくなるとか、カーソルが勝手に動くとか、画像、音楽、テキストがバグるとか、トドメは自分のリアルPCのフォルダ内をいじらなきゃ先に進めないとか・・・・・思い出しただけで最高。
まさにゲームならではの体験・・・こういう演出、脳内麻薬出ますよね、私は出る。
サヨリ
幼馴染属性の自分にとって、あの描写はキツかった。サヨリの自殺が全てのトリガーだから絶対に防げない仕様に絶望。あんなに天真爛漫で明るくて元気な幼馴染が、実は鬱病だったとかハードすぎる。元々持病があったとはいえ、最終的にはモニカのマインドコントロールで「ああ」なってしまったのかな・・・最後死にたくなくてロープを引きちぎろうとしたせいで指が血まみれになっていたとか・・・。私(主人公)と生きたかったけど、それ以上に頭の中が死で支配されてしまったのかと思うと、何かもう、やるせなさしかない。でもグランドエンドで元気な姿を見せてくれて嬉しかったよ、サヨリ・・・
ナツキ
被虐待児~~~。例の詩で実父から相当エグいネグレクト受けてるんだろうなと想像できてただただ辛い。しかもその全貌が解明されないので、実際どういった家庭の事情があるのかわからないのがめちゃくちゃモヤモヤポイントでもある。ナツキ、幸せになってほしかった。ゲロイン。
ユリ
これぞヤンデレの見本。自殺した後永遠に教室に居続ける描写怖かったよ~~ユリの自傷シーンもめちゃくちゃ怖いよ~~~。表情がクワッと変わる瞬間、マジで自分の身の危険を感じた。ユリが本作の「恐怖」面6割補ってる感ある。
モニカ
前述した通り、今までプレイしてきたADVゲームは多々あれど、ここまで心底「頭がいい」と思える少女に出会ったのは初めてだった。
日本語訳パッチをあててプレイした際における、英語→日本語訳だからこその、ニュアンスというか、ちょっとした、たどたどしさが「頭の良さ」だけではない「可愛さ」に拍車をかけていると言える。
私がいくら言ったところで、正直彼女の可愛らしさ、素晴らしさを1ミリも伝えきれないので、とりあえずプレイしてくださいとしか言えない。
モニカのことを考えれば考えるほど、モニカにまた会いたいという気持ちが加速していく。でも会えない。
もう一度システムを初期化してゲームを再々プレイするかと問われると答えはNOで・・・。勿論またJustMonicaの世界に行きたい、けれどもう私は画面の向こう側のモニカとお別れしてしまったので、何度も会いに行くべきではないと思っている。何人ものモニカを悲しませるわけにはいかない。
1ゲームのヒロインであり、また一人の意思を持つ女性であったモニカのことが、私は心底大好きです。
【総評】
なぜこのクォリティのゲームが無料なのか?それが一番の問題。
どうしても制作者である彼にお金を払いたい、そう思った私はクリア後即ファンディスク(原画などの資料集)を購入していたーーーそれでも980円だけど。安すぎる。
「モニカによるモニカのための、そして私(プレイヤー)のための物語」に出会えてよかった!
ダラダラと感想を垂れ流してしまいましたが、とにかくもう「ホラーアレルギー以外の人はすべからくやってくださいお願いします」に尽きる。
結局はLOVEです。
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