プチ入院日記📖 手術当日

プチ入院2日目
手術当日

4年前の白内障手術の時のことは
ほとんど覚えてなくて
全てが新しい、新鮮な景色だった。

座面の硬い車椅子で
足早に運ばれていく。

手術室へ続くドアを
くぐり抜けた瞬間の澄み切った冷気。
準備を進める先生、看護師さんのたくさんの足。
規則正しく響く、機械音。

寝台に上がってから手術が始まるまでは
あっという間。

目の前が真っ白になったり真っ黒になったり
ものすごく眩しくなったり
なんの前触れもなく激痛が走ったり

それでも周りの音は普通に聞こえるから。

主治医の先生は、腰痛が酷くて
そろそろちゃんと整形に行きたいらしい。

執刀医の先生は、経験豊富だから
あまりマニュアル通りの手術はしないらしい。

執刀医と、その弟子の主治医の先生は
お互いに信頼し合ってる
良い師弟関係なんだろうと思った。

はい、もうすぐ終わりますからね〜
最後、腫れ止めの注射打っときますね〜
「グサッ」
この一発が最高に痛かった。

その後すぐ、顔につけていた色んなものをとり
はい、おつかれさまでした、起きてくださーい。

いや、そんなすぐには起きられない。

目の辺りが、痛みと違和感でよく分からなくて
自分の目なのに
どうやって開けていいのかも分からなくて

でもなんだか急かされてるような気がして
頑張って起き上がる。

「遅くなってすみませ〜ん」と
看護師さんが言う。
機械的に、次の看護師さんへ
情報共有がされる。

特変はありません。指示もありません。

特になんの言葉もないまま
足早に車椅子で運ばれる。

点滴を外し手術着を脱ぎ、検温をし薬を飲む。

なんだか私って、人間なんだろうか…

今考えたら大袈裟すぎるけれど
余裕のなかったその時の私は
不思議とそんな感覚に襲われて。

痛みも相まって涙が伝う。

それからは、痛みとの戦いで
生きた心地がしなかったけれど

親が来てくれて
たくさん美味しいものを持ってきてくれて

眼球が動かせないから目も見れないし
笑顔もできないし
長いこと話すのも辛いけど

ありがたいなあと、しみじみと思う。

気が張っていたからか
夜は直ぐに眠りに落ちた。

そんな、手術当日。

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