毛に翻弄される人間たち
職場で昼食をとっている時すね毛の話、もうちょっと広く体毛の話になった
隣に座っていたバイトの子はどうやら体毛が濃いことがコンプレックスだったらしい
僕もこの年でハゲるくらいだからそりゃあボーボーで、彼もそれが分かっていたらしく濃いですかー?とか意外ですね!とかの毛における社交辞的な質問もされず気まずいチームメイトとして会話を聞いていた
4人いたのだけれど僕以外みんな脱毛クリームやらブラジリアンワックスやらを使っていて、確かに気にしないこともないけど別に剃りもしないし抜きもしないしカットもしないからめちゃくちゃ驚いた
僕が気にならないのはそれ以上に生際の攻防に、(一度も領土を取り返したことないから防戦一方なんだけれど)気を取られているからとは言えず、豊富なすね毛で毛虫を作って話を聞いていた
みんなが少なからず共感できる、体験をしているから楽しく話せるわけで、僕の髪の毛は勝手に抜けてくれるから楽ですわー、とかクソ寒い自虐をなんてしても笑われもせずに哀れみの目線に焼かれて惨めを晒すことになるだろうからやはりそこは毛虫と戯れていてよかったのだと今思う
毛の大切さを食事と共に堪能した僕たちの間には銭湯帰りにコーヒー牛乳を奢り合う高校生みたいな絆が生まれた