東京国立近代美術館「ガウディとサグラダ・ファミリア展」感想と見どころ
1.概要
東京国立近代美術館で開催されている「ガウディとサグラダ・ファミリア展」を観てきました。ガウディより先にサグラダファミリアの主任彫刻家・外尾悦郎さんに興味を持ったのですが、外尾さんの著書「ガウディの伝言」を読んでガウディと外尾さんの仕事に取り組む真摯な姿勢に感銘を受けすっかりファンになっていました。今回は大手町でスペイン料理を食べて気合を入れて臨みました!
2.開催概要と訪問状況
展覧会の開催概要は下記の通りです。
訪問状況は下記の通りでした。
【日時・滞在時間・混雑状況】
土曜日の13:30~14:00入場の日時指定券で入場しました。はっきり言ってここ数年見たことのない混雑で隅々まで堪能できたとは言い難いです…。展示を見てグッズを買い終わったのが16:00、常設展を回って16:30に会場を後にしました。
【写真撮影】
「3 サグラダ・ファミリアの軌跡」のみ撮影可(一部作品を除く)でした。
【グッズ】
ポストカードとクリアファイルの種類が豊富でした。ガウディに関連する書籍も色々と販売されていました。コラボグッズも数多く販売されていて、特にセンチメンタルサーカスのアクリルスタンドはおしゃれでした。
3.展示内容と感想
展示構成は下記の通りでした。
サクラダファミリアに焦点を当てつつ、ガウディがサグラダファミリアに至るまでの成長過程が伝わるところが興味深かったです。「2 ガウディの創造の源泉」ではガウディの建築が突然変異ではなく過去のヨーロッパの建築様式やイスラム文化の影響が残るスペインの歴史的背景に立脚したものだということが示されていました。その一方で「すべては大自然の偉大な本からでる。人間の作品は既に印刷された本である。」(展覧会場より)というガウディの言葉からは、先人の影響だけでなくさらに踏み込んで物事の本質に迫ろうとするガウディの姿勢が伝わってきました。
本でガウディ建築のトピックとして「平曲面」、「破砕タイル」、「逆さ吊り実験」などの知識は仕入れていたのですが、実物や模型の展示を通して実感を得られたのはまさに展覧会の醍醐味でした。私は建築というものに途方もなさを感じてしまうのですが(あれだけ大きなものを設計して実際に事故なく組み立てるというのは想像もつきません…)、魔法ではなく理論とエビデンスに基づいてコツコツ作られるものということが伝わりました。論理性もさることながら、「建築の敷地に関連するストーリーをそこに建つ建築のデザインに組み込むことが巧み」(展覧会キャプションより)と解説にある通り文学性(?)が感じられるところもガウディ建築の大きな魅力だと思いました。
※ただこのセクションは左右の小部屋を大勢でグネグネ回る導線となっており、多少見づらかったです…。
「3 サグラダ・ファミリアの軌跡」では完成予想図の模型やガウディ自身が作成した装飾の試作品、建物内の映像などが紹介されていて、サグラダファミリアの世界に浸ることができました。壮麗な外観や彫刻はもとより、内部の柱、ステンドグラス、祭祀具に至るまで考え抜いて設計されていることが分かりました。神は細部に宿ると言いますが、こうした一つ一つの意味付けがサグラダファミリアを「石の聖書」として成立させているんだなと実感しました。個人的には外尾悦郎さんの彫刻が見られて感激しました。自然と合唱の輪に加わりたくなるような、優しい表情と仕草が印象的でした。
4.まとめ
作品の魅力だけでなく、ガウディがいかにしてガウディになったかが伝わる展示でした。かなりの混雑なので、日程調整できる方は平日訪問することをお勧めします。
5.延長戦
私の好きな池田蕉園の新規収蔵品が公開されているということで、常設展も駆け足で回ってきました。それぞれ物思いに耽っているような様子がまさに「帰り道」だなと思いつつ岐路につきました。