かっこいい仕草
恥ずかしながら、ポケットから無造作に小銭を取り出して支払いをする仕草をかっこいいと思っている。
誰の目を意識しての行為なのかは自分でも分かっていないが、ある日なんとなく始めるようになった。
少しくしゃくしゃになった千円札をポケットから取り出して支払い、お釣りをそのままポケットに突っ込んで店から出る。
そのまま別の店に行くことがあれば、そのお金で会計を済ませる。
歩くたびにチャリチャリ音を立てるが、それはそういうものなので仕方ない。
まず前提として、自分は車移動が基本だ。
そしてこれは習慣なのだが、財布はポケットではなくカバンに入れるようにしている。
そのため、コンビニやスーパーに立ち寄った際はカバンから財布を取り、二千円ほど抜いて手ぶらで入店するというスタイルだ。
普段は長財布を使っているが、尻ポケットに入れるのはなんとなく憚られるし、かといって手に持つのも煩わしい。
荷物が少なく手に何も持っていないことをスマートと認識しているのかもしれない。
小さいころ何かの番組で聞いた、V6の森田剛が近所を散歩するくらいの恰好で海外に行こうとし、税関で怪しまれて別室に連れていかれたというエピソードが未だに強烈に記憶に残っている。
自分、というか世間のほとんどの人は、着替えはもちろん充電器や歯ブラシ、移動中に読む本などを持っていくだろう。
日数によってはホテルで洗濯もするだろうが、それでもそこそこの量になると思う。
極論、パスポートと財布さえあればなんとかなるのだろうが、森田剛だから実行できるスタイルだ。
森田剛は紙袋にそれらを入れて持ち歩いていたようだが、自分としては手に何も持ちたくない。
旅行のときはキャリーケースではなくリュックに荷物を詰める。
ケースのコロコロの音がうるさいのは言わずもがななのだが、荷物を手に持って移動すると、そのまま置き忘れた経験が多いからだろう。
傘を電車に置き忘れるのはよくやるが、せっかく買ったおみやげを荷物棚に置いて下車したり、友人の結婚式のために東京に向かう途中、電車にスーツ一式を置き忘れたこともある。
そのときは幸い渋谷に貸しスーツ屋さんがあったので難を逃れたが、そうでなければ「ただ東京に遊びに行った人」になるところだった。
ちなみに式場のホテルで借りられないかダメ元で聞いてみたら、モーニングしかないとのことだった。
親族でもないのにモーニングを着れば、それはもう式場のスタッフさんだ。
話は脱線したが、けっきょく手にものを持ちたくなく、それが「スマート」という認識につながったのだろう。
海外こそ紙袋を手に提げて臨んだ森田剛も、普段は財布ではなくポケットから小銭を取り出しているに違いない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?