賢者は歴史から学び、愚者は経験から学ぶ

人間の脳は本当にどうかしていて、忘れてはいけないことは記憶から消すくせに、忘れたいことは突然鮮明にフラッシュバックさせてくる。

忘れたいことには2種類あり、他人にされて嫌だったことなどの他者由来のものと、自発的に行った結果うまく行かなかったことの自分発信のものだ。
前者については今回吐き出したいこととは趣旨が異なるのでいったん置いておく。
後者が起こってしまう原因としては、メタ認知が出来ておらず自分を俯瞰で見れないためだろう。
想像力が足りないかつ居ても立っても居られなくなり、その結果どんな事態になるかを予測することなく行動に移す。
そのため、後から思い起こすと目も当てられないようなことを平気でしてしまう。
いわゆる黒歴史というもので、ネットで「黒歴史」と検索すると上には上がいることを思い知らされる。
中にはこちらも思わず赤面してしまうようなものもあり、そんなときは投稿者に同情を禁じ得ない。
「やらなくて後悔するよりやって後悔するほうがいい」とよく言うが、やらないほうが絶対よかったこともある。
もしタイムマシンがあるのなら、将来、足をバタバタさせながら枕に顔を埋めて声にならない叫びをすることになるよとあの頃の自分に忠告をしたい。

そんな失敗ばかりの10代20代だったため、高校生や大学生が主人公のマンガを読むと、そのキラキラぶりに目が潰れそうになる。
特に苦手なのは主人公の社会人の先輩だ。
だいたい20代後半とかで今の自分よりも年下だが、言動や外見がシュッとしていてシンプルにかっこいい。
SMAPで言うところの僕の心のやわらかい場所がしめつけられてしまい、次のページをめくるのがひどく重く感じられる。
マンガやドラマにそんな感情を抱くのは明らかに作者の意図からは外れているのだが、こればかりは仕方がない。
見事にコンプレックスを感じてしまうのだ。

なまじ周りに優秀な人が多いかつ自身の成功体験も少ないと、自己肯定感が低い人間が誕生する。
周りと比べてしまい、自分の現状に頭を抱えてしまう。
だがそれは、モデルとなる優秀な人間が周りにいるという恵まれた環境にいたのに何も学ばず、自身の生活に何ひとつ活かさなかった自分が悪いのだ。
他人の話や考えを聞きはするもののその場のコンテンツとしてしか認識しておらず、それを自分にどう重ねるかなんてことを意識してこなかった。
ビジネスマンが経営者の講義を受けるために高いセミナー料を払うのも理にかなっている。
そうでもしないと凡人は身につかないのかもしれない。

何かの本でも、今この瞬間がいちばん若いと書いてあった。
10年後にベッドで足をバタバタさせないためにも、愚者であることを自覚して歴史と周りから学ぼう。

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