トンボの持ち方
先日、事務所にオニヤンマが迷い込んできた。
開けっ放しにしていた入口ドアから入ってきたようで、窓も開いていなかったので外にはそこから出るしかない。
しかしトンボにそんなことが分かるはずもなく、ブンブン羽音を鳴らしながら飛び回っていた。
オニヤンマを知っている人は分かると思うが、とんでもなく大きい。
他のトンボならまだしも、あのサイズは羽音も大きい。
さすがに餌も何もない弊社の事務所にずっと居続けさせるのもかわいそうだし羽音も気になるので何とかして逃がしてあげようと窓を開けたが、当のオニヤンマはそんなことに気づくはずもなく、相変わらずブンブン飛び回っていた。
途中ほっといたりなんかもして、けっきょく出ていくまで2時間くらいかかった。
そのときあらためて自覚したのが、虫に触れなくなったということだ。
幼少期の夏休みは、祖父母のもとに帰省して海や山を駆け回っていた。
もちろん虫捕りにも興じ、セミやらトンボ、カマキリなど捕まえまくっていた。
虫かごに入れるために平気で持っていた。
なので、トンボの持ち方は知っている。
左右の2枚ずつの羽を折りたたんで、つまむように一気に持つ。ただそれだけだ。
理屈では分かっているが、どうしてもそのとおりに出来ない。
いきなり4枚の羽をつまめるイメージが湧かず、左右片方ずつから摘まむとバタバタもがかれたときにつまんでいる羽を誤って根元からちぎってしまうイメージが先行して、どうしても先に進めない。
羽が長すぎるのも躊躇する理由だ。
うっかり変なところに当たってしまうと途中で折れてしまうのではないかと思ってしまう。
またトンボは顎が強い。
特にオニヤンマの嚙む力は、昆虫界最強クラスだという。
念のためwikiで調べたところ、噛まれると指から血が出ることもあるらしい。
シンプルに怖い。
いろんなことが瞬時に頭をかけめぐり、触るのに躊躇してしまった。
もちろん向こうも素早いので、そんなに簡単に触らせてはくれないだろうが。
昔に比べるといろんなことが出来るようになった。
しかし同時に出来なくなったこともあったようだ。
今の自分が触れるのは、せいぜいカナブンくらいかもしれない。
セミは瞬発力がすごいから急に飛び立ったりしてびっくりするし、チョウは鱗粉がつくから嫌だ。
今後のために事務所には虫取り網を備品として購入しようと思う。
トンボと人間が共存するために欠かせない、偉大な発明品だ。
カナブンに使うにはもったいない。
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