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奇想天外な創作料理に舌鼓【Bubblegum.(バブルガム)】

カルボナーラと聞いてどんなものを想像するでしょう?
お皿の中央にうず高く巻かれたパスタ。
そこに絡むのは滑らかな牛乳(生クリーム)に重厚感あるチーズ。そして加入するだけでグレードを上げる卵の存在感。
ひとたび口にすれば濃厚な味が舌を楽しませ、最後の仕上げに振りかけられたブラックペッパーが鼻から抜ける……。
見た目からして食欲をそそる、あの超ド級の満腹メニューではないでしょうか。

もやしの想像もそんな感じ。
まさかこんなタイプのカルボナーラが存在しようとは……という感じが今回のお話。
さぁってもったいぶっても仕方ありませんのでサクサク行きましょう。

連れ合いはお店を見つけてきた某作家様。
場所は京都。このコロナ禍でもやしの現住所の和歌山からするとなかなかの遠征地です。
少しばかり後ろめたい気持ちを持ちつつも、そこはドアTOドアの精神です。
店に行くだためだけに片道二時間を車で移動……って、もはやただのドライブですね。

さて、えっちらおっちら二時間の談笑を交えて到着したのは京都駅近く。
あるビルの一階にこじんまりと……いいえ、店先に掛かるのれんが存在感抜群でした。
是非こちらは行ってみて感じてください。

案内された席に腰を下ろす。
店内はコンクリート張りに木のカウンター数席に、四人掛けのテーブルが二つ。
このところ16時間断食を実践中で朝食抜き。その上話しすぎて喉がからから。
しかもこのお店、緊急事態宣言下のため十四時~十八時までの営業に限られています。
言っている意味は分かるな……? この時点で20時間くらい固形物を口にしていないのです。

既に空腹の頂点を越し、何ならエネルギー不足からか力が抜けるほどの飢餓状態。
手に取ったメニュー表を食い入るように見つめて思いを馳せる……。

何だか頼みもしないのに味が出てきそうなくらいである。まぁ、嘘ですが。
それにしても、単語はともかく組み合わせがよくわからない。
たとえば『天然スズキのカルパッチョバーニャカウダサラダ仕立て』とか、意味は通じるけど想像できぬ。
『子羊の麻婆豆腐』なんてパワーワードもあるし、『ブルギニョン』って謎の言葉はともかく、粒貝のバター焼きとかマジ美味そう。
文字列だけで腹が鳴る空腹の極致のもやしは、連れと共にとりあえずオススメをご注文。

一品目は先ほど挙げた『天然スズキのカルパッチョバーニャカウダサラダ仕立て』です。
ことり、と置かれた皿を見て最初に持った感想がアクアリウムでした。
この綺麗な前菜に味の想像つかなさも相まってテンションアゲアゲ。
生魚と言えば醤油で育った日本人にはあまりにも衝撃的な一皿です。

さて、お味はと言うと、前菜らしくさっぱり。
癖のある白いバーニャカウダソースに、赤い柴漬けのみじん切りが食感と酸味のアクセントを足してくれる。
白身魚のスズキの淡い甘味を引き立てます。
奥に盛られたサラダも、それぞれの濃い緑の苦みと香りが大人の味覚を刺激する。
空腹だったことを差し引いても、美味しさの暴力に打ちのめされていきます。
まだ一品目なのに……と思っていると二品目が到着です。

『ゴッラータチーズとダークチェリー』
見た目はチーズの塊にオリーブオイルを掛けてチェリーと葉っぱを添えただけ。
うん、見たまんまですね。ですが味は別次元な物になりました。
とにかくチェリーの甘味みが強い。チーズも食感となんとも言えない風味が癖になる。
絡まるオリーブオイルがコクを増し、一緒に食べればデザートのような食感と甘味で頬を緩ませてきます。
いや、ほんとデザートですよこれ。そんな絶品の前菜でした。

三品目は絶対美味しい語感だけど味の詳細が予想できない『よだれ鴨』をチョイス。
大丈夫です。前述のカルボナーラは既に注文済みなのでもう少し出番待ちしてください。

さて、こちらは今までの二品と違い、見たことのある光景です。
しかし中央に鎮座する肉厚の鶏肉は鴨です。
強い弾力でもって歯の侵入を跳ね返しつつも肉汁を溢れさせ、幸福感・満足感を演出してくる。
重ねて感じるのは香ばしいごまの風味に、ネギの柔らかい中に微かな辛味。
傍に侍る丸ごとのナッツは、さらなる香ばしさとザクザクの食感に仄かな甘みを足してくる。
そして何より。あの鴨独特の臭みというか癖っ気が、これらの調和によって一切感じさせない。
この時点で十分な量を胃に満たしているにもかかわらず、思わず「おかわり」の声を抑えるのに苦労するほどの完成度。

もうね。よく見知った料理ですらこんなに化けると驚き疲れるくらいですよ!
ですがメインディッシュはこれからです。
次が長々引っ張っていた――

ついに『黒胡椒たっぷりのカルボナーラ』さん登場です。
パスタの姿は見えないほどの鉢いっぱいのソースが、胃の容量を心配させられる。
表面を覆う黒胡椒が舌への強烈な刺激を覚悟させられる風貌。
もはや担々麺って紹介された方が納得がいく光景です。
ソースを絡ませて混ぜながら皿に取り分けるとこの通り。

よかった。ちゃんとカルボナーラっぽいですよ!
恐る恐る口に頬張る。まずはガツンと見た目通りの濃厚さ。
確かに味は濃い……はず。だが、後味が軽く、さらりとした口当たりで舌をソースが滑らかに駆け抜ける。
黒胡椒の風味が鼻孔をくすぐり、後には心地よい爽快感と驚くほどのさっぱり感が残るのみ。
最初に挙げたカルボナーラの特徴とは真逆です。

最初から一筋縄ではいかないお店だとわかっていたはずが、目的のカルボナーラを口にして驚きを隠せない。
既に四品目とは思えない速度で食べ進められてしまう辺りが異常なのに、実はこの後にもう一品待ち構えているのです。

ここでまさかの大トリ、『フォアグラのソテーマルサラ酒風味しば漬けのピラフ』の登場です。
デザートだと思ったでしょ? 残念でしたー! ちなみに料理全てが一.五人~二人前ほどの量です。
ここまですべて完食済み……の五品目でフォアグラとか、控えめに考えても頭おかしいですね。

そしてこのフォアグラももちろん二人前弱……!!
かぼちゃのような鮮やか色合いのフォアグラがチャームポイントな一品です!
どう考えてもキャパオーバーなのに、こんなこってりしたものを頼んだのは何処の馬鹿なのか!
なんてバカやってないでしっかり混ぜ混ぜして――

もうね、とにかく香りがいい。
料理が到着して、蓋を開けた瞬間からめちゃくちゃいい香りなんですよ。
混ぜればさらに香りが立って、よそえばよだれがにじみ出る。
いや、どんだけ食った後だよって自分に突っ込むくらい、食欲を刺激されてる。

そして実食――!
ただただ、濃厚。強い香りと味、そしてフォアグラの濃厚な脂がしつこ――くないっ!?
そうなんです。色合いだけかと思っていた柴漬けの酸味が味をまとめて引き締めています。
この場面でさえ我が手と口の吸引力は衰えない。
気付けば一杯目はすぐに空になり、二杯目をけん制し合いながらよそう。
どう考えてもおかしい量が胃に入っていることに目を瞑りながら。

鍋が空っぽになっても放心状態で中空を見つめる二人。
ヤバイ。本当にヤバイ。語彙力が消失するほどの満腹感と満足感。
きっとこの順番で食べなかったらここまで胃に入らなかったでしょうね。
どの料理も味わい深く、知ってそうで知らない味覚を刺激してくれます。

ふと時計を見ると十六時半……まさか二時間半も席でワーキャー騒いでいるとは……。
ちなみにこの日一番最初の客で、一番最後のお客でした。迷惑ぅ!!

会計を担当された方に素直においしさを伝えると、笑顔で「めっちゃ食べてくれてましたもんね」なんて返されました。
多分最後の品は躊躇しながら出したんでしょうね。
こうして京都店弾丸ツアーは閉幕しました。
片道二時間かけていくだけの価値があると頷けるほどのお点前でした。
願わくば、コロナが終わってから観光含めていきたいものです。

参考までにお店の情報を掲載しておきます。
(※正確な情報が必要な場合は直接店舗にお問い合わせください)

店舗名:Bubblegum.(バブルガム)
住所:京都府京都市下京区柏屋町12
電話番号:075-585-5658
営業時間:18時~24時 (コロナ対策のため変動あり)
定休日:木曜日 (日曜営業)

公式SNS
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