カブトムシの思い出
今年も夏がやってきます。
黒く、赤茶色の鎧(よろい)をまとったカブトムシは、幼少期から眺めていた昆虫図鑑の中でも憧れの的でした。
当時の図鑑では、分布域は本州以南であり、北海道の辺地では出会うことはないだろうと諦めモードでクワガタばかりを木々や水銀灯の下でせっせと捕えていました。
時系列に振り返ると、小学4年生(昭和56年)の1学期の終業式、7月24日の朝、水銀灯周辺の定期パトロールをしていた際の壁に、「ん、コウモリか?」と捕まえたのが、カブトムシの♀でした。これが初めてカブトムシとの出会いです。
やがて、中学生の頃、カブトムシの分布は黄金期に突入します。
父の実家の○○地区奥のヤナギ林にカブトムシがいるという噂を聞きつけ、夏の早朝に、やっぱり二日酔いであったろう叔父に連れて行ってもらい、数匹を捕まえることができました。
北海道のカブトムシは柔らかいヤナギにつくので、幹を蹴ると、簡単に雨のように落ちてきます。(ちなみに最初に落ちてくるのは振動で足をすくめるノコギリクワガタとアカアシ、ヤナギにほぼミヤマはいません)
しかしながら、その見つけた秘密スポットも、販売業者が出入りするようになり、やがて捕れなくなりました。
しょぼんとしていた翌年のお盆前の朝、墓地近くの林に連れて行ってもらいました、新規開拓です。
それでも、カブトムシを見つけることはできませんでした。
しかしながら、神様はぼくたち兄弟を見捨ててはいませんでした。
時期はお盆、北の辺地の墓地にも桃やブドウなどがお供えしてあります。果実ジューシーなそこを吸密しにカブトムシたちがわんさかと墓石たちの前に真っ黒に群れていたのです。
ぼくたちは墓石から墓石とめぐり捕り、まさに墓荒らしのようになりました。
立派で大きなものだけを選別し、30匹以上、捕まえたと思います。
後日談として、これらのカブトムシは近所の仲間たちにあげて、ぼくはヒーローとなりましたが、末弟が「これ、オレんだあ、おまえらやるよ~」と、大切に残していたカブトムシを彼の友人たちに振る舞っていたことを知り、まったく調子の良い奴だと憤慨しました。
カブトムシは材木についてきたり、ペットが逃げ出したりしながら、北海道の木材場や酪農・肉牛農家の堆肥などを利用して分布域を拡大させてきたのかも知れません。
カブトムシは樹木におらず、ナント、お墓のお供えものに群れていたというお話でした。
いまでは、どうなっているのでしょうか?知りたいものです。
カブトムシは人気がありますが、この北海道にはいなかった事例は、国内外来種とも言うべきでしょうか。
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