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知床・遠音別岳

日程:2001年4月17〜18日
メンバー:Fさん、ぼく

 この週末、知床の中堅山岳で原生の自然地帯を残している遠音別岳(おんねべつだけ)にFさんと包まれてきました。
登頂はできませんでしたが・・・春浅い知床とは言っても、積雪期の沢コースを使用できないくらいに躍動的に春は訪れていました。
 昨日夕方、オホーツク海に沿う国道横の遠音別川河口にキャンプを設営し、満天の星空と絶え間ない怒濤のごとく聴こえる川の流れの環境の中、テントの中で至福のときを過ごしました。山の話はもちろん、工事入札のあり方など小難しい話までいろいろと語り合いました。山仲間(先輩)とのこうした話は、本当に勉強になります。

    Fさんのスゴイところは、「使いづらいものは、使えるようにする」という器用さを持ち合わせたプラス思考と知恵と工夫です。それらは仕事でも同じ考え方のようです。さらに、普段は家族サービスは本当にマメなお父さんです。

 今日は朝4時前に起床。テントの小さなベンチレーター(空気口)から外を覗くと晴れです。
真鯉林道は一部土砂崩れ箇所などもありましたが、林道に沿っている遠音別川はこの融雪期にも滔々とその冷たさを澄んだエメラルド色を湛えていて、その様相はなんとも美しいの一言です。
林道といっても崩れた砂岩や大きな石、倒木があり、生木の生えている路です。古の植林や除間伐作業での役目を引退した路の寂しさがあります。
山スキーをザックにくくりつけての歩行で、冬用プラスティックブーツの重たくタイトな歩行は疲れます。しかし横に水量を湛えて流れる川を見るたび、さかなを見たくてウズウズしました。
(※この川は北海道内水面漁業規則により周年禁漁)
前を歩くFさんのヒグマ遭遇回避のためのホイッスルが朝の森の空気に心地よくさわやかに響きわたります。
ほとんど雪がありません。
下を向けば、エゾシカのコロコロした糞だらけ、前方の斜面には群をなしたエゾシカたちがこちらを伺っては、白いお尻を見せてピョンピョン跳んでいきます。
沢に入るも積雪が一向になく、廃道状態の林道を、背負っている山スキーが木々に引っかかりながら苦闘し、黙々と歩き続けます。
 小休止の際にはコゲラ(鳥)がやってきてはぼくたちの目を和ませ、ドロドロの荒廃作業道の小さな水たまりではエゾアカガエルが盛んに産卵の真っ最中です。厳しい冬を越せなかったエゾシカの死骸もあります。野生だなあ、と思います。
春の陽射しをまとった遠音別岳の頂上を望めるやや沢より右岸の高い地点で、沢の積雪がないこと、望める稜線斜面のハイマツの露出が著しいことを理由に行動をそこで中止にしました。

    背負ってきたスキーをつけることなく、頂上への稜線に備えてのアイゼン (登山靴に装着するツメがついた用具)も使うことなく、片道約6kmの林道や沢内を歩いた春浅い知床を満喫し、最近、知床や斜里岳等のあちこちで頻出しているヒグマに怯えた山行となりました。
 下山は、2人で山でのトイレ問題などを深く?楽しく?おしゃべりしながら、春の日中の陽射しを背にうけて、てくてくと来た路を歩きました。 潮の香りが風にのってきました。

    乗ってきた車が、ぽつねんと待っていました。来週は、もう十分な積雪のない知床や斜里岳をあきらめ、大雪山・北大雪チトカニウシ山へと行くことにしました。
先月の知床岳は、あと最低1週間早く山行を実行したらよかった、今回はさらに2週間早く実行したらよかった・・・雪解けが早いことに、2人で反省してばかりです。
でも、今回も良い山行でした。

(カバー写真は雪解けの知床五湖です。御了承下さい)

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