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その「ジタバタ」は尊いですか?

こんにちは。okknです。

本記事は SHIROBAKO Advent Calendar 2020 12日目の記事になります。

SHIROBAKO Advent Calendarは2016年からリアルタイムで見続けておりましたが、参加するのは初めてとなります。
どうぞよろしくお願いいたします。

とりあえず、自己紹介をしてから本題に入りたいと思います。

■『SHIROBAKO』と私

2016年の春に誰かに勧められて、『花咲くいろは』のテレビアニメシリーズをTSUTAYAでレンタルしてきて見ていました。

それが見終わったあとにネットで『花咲くいろは』の情報について調べていたところ、「P.A.WORKSのお仕事シリーズ」なるものが存在していることを知りました。
当時はまだ『サクラクエスト』が放送前でしたので、2作品しかありませんでした。

『花咲くいろは』については青春と仕事に焦点が当てられ、面白いなと思っていましたので、第2弾である『SHIROBAKO』もきっと面白いだろうと思い、見始めました。

結果的に、(現時点において)人生で1番共感できるアニメに出会いました。

当時私は2度目の社会人人生、2年目に突入しようとしていた頃でした。
共感できた最大の理由は、主人公の宮森あおい(以下、みゃーもりと呼称)と図らずも同じような境遇にいたことです。
新人としての葛藤や自分の夢は何なのか、自分は何がしたいのか?
そういった言葉にできずに抱えていたものが映像として全て描かれていた事に、感銘を受けたことを未だに覚えています。

それ以来、『SHIROBAKO』を何度見たかわからないくらい見ました。
見るごとに新しい発見があり、そして自分が現実の仕事の場で成長するごとに違ったものが見えてくる。
SHIROBAKO Advent Calendarを読んで新しい考察を知り、またアニメを見てしまう。
本当に何度見ても飽きないアニメです。
いつしか私の中で1番好きなアニメになっていました。

それから4年弱が経ち、『劇場版 SHIROBAKO』を見るためにコロナ禍で閉鎖される直前の劇場へ足を運びました。

■『劇場版 SHIROBAKO』について思うこと

あらすじは書きません。
ここには『SHIROBAKO』を知り尽くした諸先輩しかいらっしゃらないと思っておりますので。
知らない方は是非是非TV版『SHIROBAKO』からご覧になってください。
他のサイトであらすじを読むだけなどもったいない!
是非ともTVアニメシリーズを通して、本編を見て欲しいです。
年明けには『劇場版 SHIROBAKO』の円盤も発売されますので。

さて、TV版『SHIROBAKO』が元気をもらえる作品とするのであれば、『劇場版 SHIROBAKO』はどん底から1歩踏み出す勇気をくれる作品であると思っております。
そもそも、『劇場版 SHIROBAKO』では武蔵野アニメーションがタイマス事変で落ちぶれたところから始まります。
最終的にはうまくいきますが、「うまくいくまでの過程」が本当に現実と何も変わらないなと感じました。
確かに一部デフォルメや誇張・アニメ的演出もありますが、それでも、です。

少し話が変わりますが、図らずも不幸なことですが、コロナ禍の辛い状況と合致していて、共感を得られやすかったと思っています。
現実とは、斯くも甘くはなく、ある日突然の何かによって運命は簡単に変わってしまうものです。
東日本大震災然り、リーマンショック然り、コロナ禍による経済活動の制限然り、会社での大規模な不祥事然り。
備えるにしても限界があります。

辛い状況に陥ったとき、人はしばしば歩みを止めてしまいます。
受け入れがたい現実に直面してしまったとき、希望を見いだせずに足がすくんでしまうからです。
最悪、鬱になって何もできなくなる、あるいは自死しようとすらしてしまうこともあります。

みゃーもりにとってのタイマス事変とは正に受け入れがたい現実だったと思います。
でも、辛い状況に陥ったとき、そこから脱するには「うまくいく」と信じるしかないのです。
『劇場版 SHIROBAKO』では一貫して「立ち止まっている場合ではないよ。うまくいくと信じて前に進もうよ。」というメッセージがこれでもかと散りばめられています。

それを端的に表すキーワードが、私は【ジタバタ】であると受け取りました。
ED手前に『劇場版 SHIROBAKO』の主張を端的にまとめた劇中劇のセリフがあります。

「ヘドウィックやラウルが教えてくれた。同じ日なんて無い、明日は違う日が来る。なのにどうしてみんな諦めるなんて言うんだ。」
「行こう、上手くいくかいかないかわからないけど、夢に向かって進もうよ」
「ジタバタと見苦しく、前に進もう」
「明日を目指して、ヨーソロー!」

思うに、『劇場版 SHIROBAKO』で言う「ジタバタ」とは悪あがきではないと私は思っています。
悪あがきとは、「してもしかたのないことをあせってあれこれと試みること」です。

■「ジタバタ」する準備は万端ですか?

ただ、「ジタバタ」をするためには準備が必要だと私は考えております。
「ジタバタ」をする前に必要だと考えている3つの項目を『劇場版 SHIROBAKO』の実例を交えながら記載していきます。

1.目標はあるか?

これがないと「ジタバタ」ではなく本当に悪あがきになってしまいます。
なぜなら、希望を見いだせない状況下で光明もなく行動し続けると、何をしても良くならないと思い込み、絶望してしまうからです。
なので、目標を定めて、少しずつ目標に向かって行動すべきです。

みゃーもりにとっての目標とは当然、お客さんに完成した良いアニメを見てもらうということです。
当初はどうしようか思い悩んでいましたが、丸川元社長の「アニメを作り続けるしか無い」という、背中を押してもらう言葉を受けて決意します。
平岡くんの「ムサニ、なんかうまくいくといいな」という言葉も私は好きです。

その後、「アニメを作りましょう」というミュージカルシーンをはさみ、劇場アニメを作る目標を定めましたね。

・・・

2.心の支えはあるか?

私は意外と忘れがちなことだと思っております。
辛いときに、「ジタバタ」をするためには莫大なエネルギーが必要です。
いわば、心の支えとはエネルギーを生み出すために必要な原動力です。
心の支えとは正直なところ、反骨心でも良いかなと思うのですが、どうなのでしょうか?

みゃーもりの場合は、丸川元社長だと思っております。
思い悩んでいたときに、話をするために行った場所は丸川元社長の場でしたし、完成して真っ先に想いを伝えに行った場所も丸川元社長の場でした。
宮井さんのポジションは心の支えというよりは、どちらかと言うと目標をともにする同志が正しいかと思っております。

・・・

3.経験+α

経験は平時からの備えとして重要だと考えております。
ある意味で当然のことだと思いますが、ピンチに陥っていきなり行動できる人はほぼいないと思います。
いわば、常日頃から避難訓練を行い、災害が発生したら行動できる準備を行っておくということです。
+αとはピンチに陥ったときに発揮される機転や経験に基づく勘のことです。

みゃーもりは5年目の社会人として、しっかりとキャリアを積んできていると考えております。
制作、デスク、プロデューサーとしての経歴がそのまま経験になります。

みゃーもりの経験を大いに見習いたい場面として、私は劇中劇製作の公開3週間前、信念の粘りのブラッシュアップをあげます。
この場面は、何か足りないという監督の言葉から始まりますが、似たような状況は過去にありましたね。
えくそだすの馬のシーンです。
このときは、作画のカロリーが高すぎることからなべPが無理だと判断しましたが、みゃーもりの粘りのアニメーター探しの末、杉江さんをサジェストすることで成功へと導きました。
1年目の泥臭いアニメーター探しは、みゃーもりの中では確実に成功体験として残っているはずです。
杉江さんという神がかり的な人物を探し当てることができたがゆえの成功でしたが、良き仕事人はプロジェクトを成功に導くキーマンになり得る、という良い経験になったことでしょう。

今度はみゃーもりがプロデューサーとなり、判断する側の人間になりました。
本シーンでは話の流れで劇中劇のラストをブラッシュアップすることに決めたようにも見えますが、私はえくそだすのときの経験を元にGOサインを出しと考えております。
(最終的には監督に投げましたが・・・。)

つまり、みゃーもりはなんとなくGOサインを出したわけではなく、良き仕事人ばかり集めた最良のチームなら確実にブラッシュアップを3週間で間に合わせられると判断したのだと思っております。
これが経験がなせる技ですね。

■「ジタバタ」をしないという選択肢もあるが・・・

私は辛い状況に陥ったときはやはり「ジタバタ」するべきだと思っております。
その理由としては3つあります。

1.目標に向けて努力をしていると時間は早く経つ

目標に向かって努力しているときは時間が早く過ぎていくことは、皆さんの人生の中で経験があるのではないかと思います。
辛い状況は意外と時間が解決してくれることもあります。
そうでない場合でも、何かをしていればクヨクヨしている時間が無いと思います。

そういう意味でも何もせずに無為に、暗いまま過ごすよりも、辛い状況の先の明るい未来に思いを馳せ、時間を過ごすことが有益だと信じています。

・・・

2.人生にとっても良い影響を及ぼす

「ジタバタ」したときに経験したことは、得てして人生で役に立つものだと考えます。
辛い時に経験したことはよく覚えており、それが後々何かの・誰かの役に立つことが多いです。

あと、辛かった状況のときよりも辛い状況はあまり訪れることは無いと、楽観的にもなれます。
また、辛かった状況のときよりも現状がどの程度辛いのかと比較することもでき、過去の自分が現状を乗り越える手助けをしてくれることもあります。

・・・

3.物事を前進させると成功する可能性がゼロではなくなる

これが一番大きいかもしれませんね。
何もしなければ成功する可能性はゼロですが、「ジタバタ」すると成功する可能性はゼロではなくなります。
可能性を捨てることは、私はあまりにももったいないことだと思っております。

■最後に

『SHIROBAKO』全編を通して、私は強く現実と結びついているアニメだなと思っております。
作り手の思いや水島監督の斯くあるべきという信念が感じ取れるようです。

翻って現実では、コロナ禍で様々な辛い状況が至るところで発生していることだと思います。
そんなときこそ「ジタバタ」するべく頭を働かす、誰かに相談すると意外と解決してしまうかもしれません。

なんて無責任な!!と思われるかもしれませんが、私は楽観的に生きてきた時間が長いので自ずとそういった思考になってしまいます。
「ジタバタ」することは大変かもしれませんが、「ジタバタ」した先の成長した自分に会えることを楽しみにして「ジタバタ」してみませんか?

「ジタバタ」するにあたり、信念をどうか曲げないで欲しいという「ジタバタ」しようとしている人への祈りの詞を引用して締め括ります。

また躓いて転がって、それでも砕けない
魂の色は何色ですか?

ReoNa 『ANIMA』より

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