なぜ命を支える仕事が薄給で、中抜き系の仕事が高給なのか
先日Xにて「なぜ命を支えるような仕事が薄給で、中抜き系の仕事が高給なのか」という素朴な疑問が炎上し発言者が鍵アカ化してしまった。
介護士、保育士、農業、酪農といった仕事は、人の命を支える極めて重要な役割を果たしている。しかし、これらの仕事は薄給で、それだけで生活するのが厳しい人もいる。一方、商社やコンサル、電通、パソナといった、なくてもよさそうな中抜き系の仕事は高給だ。なぜこんな逆転現象が起きるのか理由を考えてみる。
市場の需要と供給の問題
まず、需要と供給の法則が最大の要因だ。介護士や保育士の仕事は(やりたいかどうかは置いといて)普通の人間の能力を持っていたらできるもののため、その重要性に比して労働力が過剰になりがちだ。つまり、供給が需要を上回るため、賃金が低く抑えられてしまう。
一方、商社やコンサルティングの仕事は一般的な人間個人の能力の限界を超えた膨大な「量」と「質」を取り扱うため、高度な専門知識やスキルが必要であり、元から高い能力を持った人間が特殊な訓練を受けさらに能力を鍛えなければ生き残れない(もしくは超強大なコネがあるか)という限られた人にしかできないもののため、できる人が限られ、需要が供給を上回り、高い給与が設定される。
公共サービスの特性
また介護や保育、農業といった分野は、公共サービスの側面が強く、政府の補助金や規制に依存していることが多い。これにより利益を最大化することが難しく賃金が低く抑えられる傾向がある。逆に、商社やコンサルティング会社は自由市場の中で活動しており自分たちの価値を高く設定できるため、高給が得られる。つまり、いくら高額を設定しても、その希少性に加え、求める人がいるから成り立つのだ。
社会的評価の違い
社会的評価も賃金に影響を与える。介護士や保育士は、社会にとって非常に重要な仕事であるにもかかわらず「誰でもなれる」というハードルの低さから、その価値が適切に評価されていない。逆に、商社やコンサルティングの仕事は、高度なスキルと知識が必要とされるため、高い評価を受けやすい。
労働組合と交渉力
労働組合の存在も一因だ。高給取りの仕事に従事する人は強力な労働組合を持っていることが多く交渉力が強い。これにより、高い賃金や待遇を得ることができる。一方で、介護士や保育士、農業従事者は労働組合が弱かったり、そもそも存在しなかったりするため、賃金交渉がうまくいかず、低賃金にとどまる。
経済システムの歪み
最後に、現代の経済システムそのものが一因だ。資本主義の下では、利益を生み出すことが最優先される。そのため、直接的に利益を生まない仕事、例えば介護や保育といった仕事は低く評価されがちだ。一方で、商社やコンサルティングは直接利益を生み出す能力が高いため、高い評価と賃金が与えられる。
結論
介護士や保育士、農業、酪農といった仕事が低賃金にとどまる理由は、供給と需要のバランス、公共サービスの特性、社会的評価、労働組合の存在、そして経済システムの歪みといった複数の要因が絡み合っている。
しかし、これらの仕事は我々の生活に不可欠であり、その価値を再評価し、適切な報酬が支払われるような仕組みを整えることが求められているが、その仕組みを整えられる人間は(専門的で高度な知識が必要なので)極めて少なく、雇おうにも高給になるという問題がまた出てくる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?