オキタシロウ
あの子が死ぬのを見て苦しむのと奴らを殺して今後苦しむの、どっちがいい? 湾岸戦争当時、修学旅行中に戦渦に巻き込まれ、イラク軍の絶対包囲網内に取り残された男子校生達。 最強のキルマシーンとして訓練を受け脱出後、日本で普通の学生生活を送っていた彼らの学校に米ロ日から狙われる異能力の少女が転校してきた。 各国から執拗に狙われる少女と、地獄の戦場を経験して尚お気楽さを失わない男子校生達の青春戦記。
現代の五反田から「オズの国」へ。ロスジェネ世代の現実逃避型冒険譚。 1985年に公開された映画「Return To OZ」 小学生の頃にこの作品を見た私は、オズの国に一度で良いから行ってみたいと思っていました。 月日は流れ、すっかりおじさんになってしまった今日この頃。今だにあの頃の夢が忘れられず、いっそ、”おじさんのまま”、「オズの国」へ行ってみることにしました。
「えー、では、エリサちゃんのー、ムサノ編入を祝して、カンパーイ!」 吉川がビールジョッキを掲げて音頭をとると、沖田、小坂、マユミ、そして、マユミとエリサのもう…
城内に突入した俺たちは、捕らわれていたサンサスの部下達を救出し、或いは、シャムの軍門に強制的に降っていたサンサス兵達をこちらに取り込みながら勢力を増やして、一…
ロシアからの直行便で成田に降り立ったその集団は、一見すると浅草にでも向かいそうな日本好きの旅行者風にみえた。そのほとんどが、アメフト選手のように肩幅が広く、日…
「メインシステム、セントウモードキドウシマス」 俺の後で突然、アーマードでコアな感じの戦闘ナビゲーショの音声がこだまする。 振り向くと、キッドのボディの色々な…
多摩川の方から登ってくる夏の強烈な朝日に目をしかめながら、沖田惣一は重い足取りでバスターミナルへと向かっていた。 高二の夏休み最終日。これが最後とばかりに大…
皆さんは、自分の死について深く考えたことがあるだろうか? 俺は今、落下するバニラトラックの中で死と直面せざるを得なかった。 死後の世界。 「死後の世界はあ~…
あー、火あぶりの刑ってこうするのね。なんか、ほんとむごいわー。 火あぶりの刑というと、魔女狩りとか、中世の西洋の絵画とかによく出てくる奴を思い浮かべるけど、…
カーレの中心街から少し外れた、レッドアイ達の居住区。 石材で作られた三階建てほどの建物が長く軒を連ね、日中でも路地にはあまり日が差さない。 人通りの少ないレ…
グレーとか灰色ではなく、その肌の色は”ねずみ色”と言うにふさわしい色あいだった。 全身は汚物にまみれ、絶えず強烈な悪臭を辺りにまき散らしている。 カーレの地…
「まず、カーレを逃れ、サンサス殿の城で体制を整えましょう」 「うがぁああああ~がうあー」 目立ちすぎるヒノノ二トントラック、キッドを隠すために入り込んだ、カーレ…
「これを抜ければ城の北門なんだな」 タクティカルライトで用心深く照らして、グールが飛び出してきた穴の中を見る。 ここ通って行くのやだなぁ。また噛まれたらことだ…
目を開けると、眉間の間に突き込まれようとしている鋭い剣の切っ先。 少しでもおかしな様子を見せれば、ロータグの鋭い突きが俺の脳天を突き通すだろう。 横で泣き叫…
「ウェスカァ~~~~!!!」 城内の広い階段下のフロア。洋館を思わせるそれっぽい雰囲気の場所で、思わず叫んでみた。 何事かと、サンサスとクーガ、白鬢老人と兵達…
コツコツとヒールの高い革のロングブーツを鳴らしながら、その魔女は俺達の前を行ったり来たりしていた。 すらりとした均整の取れた身体に、革製のズボンと銀の刺繍の…
背丈ほどもある長く黒い杖を、コツコツとならしながら、その魔女は俺達の前を行ったり来たりしていた。 黒色の鎧を全身に身にまとい、身長よりも高いハールバード(長…
俺とドラゴンを乗せて、爽やかな朝日の中をキッドは走り出した。 森を抜けると、また一面の麦に似た植物が地平線の向こうまで豊かに実り、風に揺れている。 しっかし…
2021年9月4日 01:07
「えー、では、エリサちゃんのー、ムサノ編入を祝して、カンパーイ!」 吉川がビールジョッキを掲げて音頭をとると、沖田、小坂、マユミ、そして、マユミとエリサのもう一人の同室の智子がグラスを掲げた。 フロアDJにリクエストが通っていたのか、乾杯と同時に店内が暗くなり、天井に大きく設置された星条旗の電飾が派手に光り出すと、インナーサークルの「Sweat 」が大音量で流れ出す。「なんで、ダイナでレゲエ
2021年9月4日 01:05
城内に突入した俺たちは、捕らわれていたサンサスの部下達を救出し、或いは、シャムの軍門に強制的に降っていたサンサス兵達をこちらに取り込みながら勢力を増やして、一気に城内のシャム勢力を席巻していった。 シャムがいなくなった軍勢は、指揮官をなくし、ほぼ烏合の衆と化しており、俺たちは難なくシャムの残兵力を駆逐、或いは、降伏させることに成功していった。 ところで、陸戦型バニラトラックであるキッドに、3
2021年8月25日 18:15
ロシアからの直行便で成田に降り立ったその集団は、一見すると浅草にでも向かいそうな日本好きの旅行者風にみえた。そのほとんどが、アメフト選手のように肩幅が広く、日本人よりはるかに体が大きいため、スポーツ選手団のようにも見える。 しかし、サングラスの奥に見え隠れするその眼光は異様に冷たく、周りにいる観光客はその集団が近づくと無意識に距離をとっているようだった。 遠巻きに見つめる他の観光客を気にする
2021年8月25日 18:04
「メインシステム、セントウモードキドウシマス」 俺の後で突然、アーマードでコアな感じの戦闘ナビゲーショの音声がこだまする。 振り向くと、キッドのボディの色々なところが割れ、引っ込み、付き出し、ものすごい勢いで、そう、 ”変形”を開始した。 あっけにとられて見守る一同。 れ、練習したんだなぁ… 呆れとも感心ともつかないつぶやきを発する俺。 僅か数秒の高速変形によりそこに現れたのは、ア
2021年8月25日 04:04
多摩川の方から登ってくる夏の強烈な朝日に目をしかめながら、沖田惣一は重い足取りでバスターミナルへと向かっていた。 高二の夏休み最終日。これが最後とばかりに大学部の連中と朝まで渋谷で飲んだくれ、田園都市線の始発でようやく二子玉にたどりついたところだ。「あー、始業式まで1時間くらいは寝られる…かな?」 徐々に気温と湿度が上がってくるのを感じながら、かすむ目でバス停の時刻表をのぞき込む。この時間
2021年8月25日 03:54
皆さんは、自分の死について深く考えたことがあるだろうか? 俺は今、落下するバニラトラックの中で死と直面せざるを得なかった。 死後の世界。「死後の世界はあ~るんです。死ぬのはち~っとも怖くないんです」 とか言っていた昭和の名優、丹波哲郎。知らない人は、お父さん、お母さんい聞いてみよう。 何かの昭和懐古番組でも見た気がするが、彼はお花畑を越えて大霊界に行けたのだろうか。 そうそう、デーモ
2021年8月25日 03:52
あー、火あぶりの刑ってこうするのね。なんか、ほんとむごいわー。 火あぶりの刑というと、魔女狩りとか、中世の西洋の絵画とかによく出てくる奴を思い浮かべるけど、実際に見るとなんかほんとむごい。 高々と組まれた木の十字架に、両手両足を太い鉄の杭で打ち付けられ、その下には大量の藁と木が詰まれている。 有名なのだと、「フォローミー!」でおなじみのジャンヌ・ダルクさんですかね。 ほとんどが、火を付け
2020年5月16日 18:07
カーレの中心街から少し外れた、レッドアイ達の居住区。 石材で作られた三階建てほどの建物が長く軒を連ね、日中でも路地にはあまり日が差さない。 人通りの少ないレッドアイ達が暮らすそのエリアはカーレの他の住人達はあまり近づかないようだ。 スライムイーターを倒した後、俺たちはレッドアイ達が持ってきてくれた変装用のフードをかぶると、一旦彼らの居住区に隠れることにした。 キッドは目立つので下水路に残
2020年5月3日 16:50
グレーとか灰色ではなく、その肌の色は”ねずみ色”と言うにふさわしい色あいだった。 全身は汚物にまみれ、絶えず強烈な悪臭を辺りにまき散らしている。 カーレの地下下水道。その高さは一〇メートル以上あるが、頭の上から生えた鼻のような呼吸器官を天井にこするようにして、その汚物の固まりのような生物はこちらに近づいてくる。 赤く腫れた目の縁から巨大な目やにが落ちた。 通称、汚物喰らい…スライムイータ
2020年4月23日 16:29
「まず、カーレを逃れ、サンサス殿の城で体制を整えましょう」「うがぁああああ~がうあー」 目立ちすぎるヒノノ二トントラック、キッドを隠すために入り込んだ、カーレ市街地地下にある巨大な下水路。 とんでもない悪臭が鼻をつくが、しばらくするとそれも慣れてきた。 周囲の警戒を行いつつ、俺は一緒に逃げてきたシャムの元部下達のリーダー、フランカーと今後の行動について作戦会議をおこなっていた。 フランカ
2020年4月13日 14:06
「これを抜ければ城の北門なんだな」 タクティカルライトで用心深く照らして、グールが飛び出してきた穴の中を見る。 ここ通って行くのやだなぁ。また噛まれたらことだし。「なんか他に抜け穴はないのかよ」 クーガの方へと振り返ったときだった。「おまえらが来るのが遅いので、こちらから来てやったぞ」 聞き覚えのある淫靡な美しい女性の声。 二股にわかれた階段上の広い踊り場で、キャバ嬢も更にビックリな
2020年4月6日 17:48
目を開けると、眉間の間に突き込まれようとしている鋭い剣の切っ先。 少しでもおかしな様子を見せれば、ロータグの鋭い突きが俺の脳天を突き通すだろう。 横で泣き叫ぶクーガと、必死で対抗魔法を唱え続けるサンサス。 頬に当てられたその手の感触が心地よくもう少しこのままでいようかなと思ったが、ロータグの眼がマジで怖い。「あ、ちょっとまった。大丈夫。なんない。グールになんない」 慌ててロータグの眼を
2020年4月5日 14:24
「ウェスカァ~~~~!!!」 城内の広い階段下のフロア。洋館を思わせるそれっぽい雰囲気の場所で、思わず叫んでみた。 何事かと、サンサスとクーガ、白鬢老人と兵達がこちらを見ている。 俺はそしらぬ振りで、MP5の弾倉を交換した。 ぶっちゃけ、城内は、怪しい洋館やラクーンシティなんかより、ひどい有様になっていた。 ノーム王の不死者と呼ばれるゾンビ達は、頭を吹き飛ばせば死ぬ点は一緒。なんだけど、
2020年3月31日 23:36
コツコツとヒールの高い革のロングブーツを鳴らしながら、その魔女は俺達の前を行ったり来たりしていた。 すらりとした均整の取れた身体に、革製のズボンと銀の刺繍の入った白いカットシャツ。赤い宝石と銀細工で装飾された革製の胸当てと手甲をつけ、腰には細身のレイピアを帯びている。 レイピアの柄には大きめの橙水晶。剣が魔法杖としての役目も担っているとみた。 女性にももてるんだろうなと思える男性的な美しい
2020年3月29日 00:13
背丈ほどもある長く黒い杖を、コツコツとならしながら、その魔女は俺達の前を行ったり来たりしていた。 黒色の鎧を全身に身にまとい、身長よりも高いハールバード(長い柄の斧)を持った兵士達が俺たちを取り巻いている。 俺はと言えば、後ろ手に木製の手錠をかけられ、膝をついて座らされてている。かかし娘もしかり。 ドラゴンはといえば、これまた魔力で封じられた黄金色の籠にいれられて地面に転がされていた。
2020年3月23日 12:04
俺とドラゴンを乗せて、爽やかな朝日の中をキッドは走り出した。 森を抜けると、また一面の麦に似た植物が地平線の向こうまで豊かに実り、風に揺れている。 しっかし、どうしようかなぁー。あの荷台の荷物。 バニラソングを止めることも忘れて考え込む俺。 そんなこんなでしばらく走っていると、どこからともなく、歌声が聞こえてきた。 この一見のどかな田園地帯をしばらく進んだところで、やつは天を見上げて陽