ch.8:合格発表と振り返り、官庁訪問に向けて~独学で国家総合職【政治・国際・人文区分】受験・合格記~


・合格発表(5/28)

 人物試験から1カ月以上が空いて、ようやく合格発表です。
 大学受験を推薦でスキップした私にとっては、中学受験以来の将来に関わる合格発表。心臓がバコバコ鳴っていましたが、見るものは見るしかないのでとりあえず見ます。

 合格発表サイトを見ると、自分の受験番号があって安心します。見間違いだと嫌なので、すぐにパーソナルレコードから合格通知書をダウンロードし、ちゃんと合格していることを実感します。

 官庁訪問での採用/不採用にはあまり関係ないと言われているものの、やはり気になってしまうのが席次。
 私の席次は199人中10番台でした。

 私のこの一連のnoteをご覧になっている方はご存じかと思いますが、私はだいぶ詰んだ状況でこの試験に臨んだうえ、面接の手ごたえもあまりなかったので、思ったより席次が高くて少し驚きました。

・結局、合格要因はなんだったのか

 最終合格できたわけですが、結局、何が功を奏して合格できたのでしょうか。この分析はだいぶややこしくて、感覚として何(マインドなど)が良かったのかを綴るのと、結果を見てから事後的に何(具体的な対策)が良かったのか判断する2通りの分析観点があります。
 なので、ここでは個人の試験結果(成績)を見る前と見た後それぞれの感想(分析)を書き残しておこうと思います(結果を見てからだと、結果論に思考が引っ張られて感覚的な感想にバイアスがかかってしまうため)。

・感覚としての要因(成績開示前)

 まだ細かい成績を見ていないので何とも言えませんが、感覚としては以下の3点が良かったのかなと思います。

①思い込み
 私は、総合職試験といえば、準備に何千時間もかかって、ちゃんと予備校に行って、それでも落ちる場合は落ちる……そんな司法試験や公認会計士試験、もしくは国家総合職でも法律区分の難易度の試験を想定していました。

 なので、予備校にも行っていない私は、参考書を5周してようやくスタートラインに立ち、筆記についてもどんなテーマでも対応できるようになってようやく合格”可能性”が出るのだろうと思い、スー過去をわりとしっかり解き込んでいました。

 しかし、実際に中身をみれば、今年度の政治国際区分の一次受験者数を母数とした倍率は6.5倍で、しかも受験者全員が本気ではない(記念受験者もいる)でしょうから、実際に真剣に受験している人数を母数とするなら、3~5倍程度の倍率の試験だろうと思います。

 周りの受験者がどれだけ勉強しているのかわかりませんが、こうした事情を考慮すると、もしかしたら私の対策が思ったよりも十分だった可能性があります。つまり、「思い込みで難しい試験を想定していたため、結果としてしっかり対策できていた」ということが起きていた可能性があります。
 私はスー過去を3周すら終わらせずに試験に臨むことになって絶望していたわけですが、案外それで端から問題無かった可能性があります(あくまで可能性ですし体感の話なのでどう頑張っても断定はできません)。

➁学校の勉強
 私は推薦で大学に進学したので、私のGPAに後輩の推薦枠が懸かっているわけですし、私個人の性格としても学校の勉強はしっかりしておきたい派だったので、大学の授業内容をそこそこしっかり吸収していました。

 そこで蓄積された知識が、特に政治学、行政法、民法、経済学で役に立ったと感じています。
 試験本番で役に立った、というよりは、試験勉強の土台がそこそこできていたので、効率的に勉強することができたという感覚です。

③運
 元も子もないですが、事実としてそう感じているので書きます。
 ch.3でも書きましたが、国際関係の正答数が9/10は流石に勘が当たり過ぎています。もちろん、完全なあてずっぽうで当てた問題は無かったわけですが、特に、正解かどうか自信を持てなかった英文問題が良く当たっていた感覚です。
 
 その分、基礎能力の知識分野と数的処理であてずっぽうで解答した問題はことごとく外れたので確率は収束している気がしないでもないですが、比重の重い専門多肢で運が味方してくれた点は大きかったのかなと思います。

・試験結果から見た要因(成績開示後)

 6月18日から個人成績が開示されるので、それを見た後、結果的にどんな対策がどの試験(一次、二次、人物)に影響を与え、それが合格に寄与したのかを考えてみました。

①経済学と民法に手を出した(一次の多肢選択)
 「いや、以前の章の内容と矛盾してるやんけ!」と思われるかもしれませんが、これも「今となっては」感じることです。
 一次の自己採点をしたときにも感じましたが、専門多肢で捨てたはずの経済学と齧っただけの民法で4題分正答を勝ち取っているのが、思ったより効いています。

 経済学で得点できた理由はch.3で述べましたが、それとは別に、民法だったり経済学だったりに手を出してよかった理由があります。

 それは、「各分野の出題のなかで、一番簡単な問題で正答する」という戦略をとれるようになったことです。各分野3~5題の問題があるわけで、そのなかでも難しい問題からちょっとでも知識を持っていれば解ける問題までいろいろあります。
 多くの分野を浅く広くかいつまむことで、そうした簡単な問題だけに答えていく、という戦略が可能になります。僕の場合、それが経済学と民法でした。

 もちろん、だからといってただでさえ押さえるべき知識が膨大な試験範囲を、多くの科目を選択することで際限なく広げることは全くおすすめできません。ですが、予備科目として何か齧っておく程度の対応は、余裕があればある程度有効なのかなと思います。
 (もしかしたら予備校の人は全部やってるのかな?だとしたら恥ずかしいアドバイスとなってしまいますね)

➁公共政策に絞った(二次の専門記述)
 政治学科在籍のプライドをかなぐり捨てて、公共政策に振り切ったおかげで、A・Bどちらともそこそこの点数を取れたのかなと思います。

 分かっていたことですが、やはり二次の専門記述は相当配分が高いです。ここの対策において最もコスパの高い手段を選んで、瞬間最大風速的なパフォーマンスを出せたのが良かったのかなと思います。

・要らなかった対策は?

 では、逆に意味の無かった対策は何でしょうか。
 成績開示後の今思うのは、あんまり政策論文と面接対策に力を入れなくても、どうせ6点とC評価になるのだろうな、ということです。

 面接に関しては二次の筆記後なので対策に十分時間をかけられると思いますが、政策論文に関しては、専門記述の対策が本当にギリギリの人については、サラッと「お手本」の文章に目を通すくらいの対策で、5、6点は取れるのだと思います。

・官庁訪問に向けて

 (成績開示よりも官庁訪問のスタートが先なので、ここは「試験結果から見た要因(成績開示後)」よりも先に書いてます)

 さて、院進希望だった私ですが、最終合格してしまったからには官庁訪問に行こうと思います。もし希望省庁から内定を頂けない場合には大人しく大学院に行く、という算段です。
 (実質新卒チャンスが2回に増える(理系で院に行く友人談)のこの戦略は、大学院に行く気力と学力、資金があればそこそこ有効な気がしますね。)

 さて、官庁訪問をするにあたって唯一にして最大の問題は、私が全く官庁訪問の対策をしていないということです(デジャヴ)。

 ということで、(実はわけあって大型のプロジェクトと時を同じくして官庁訪問をすることを強いられた私ですが、)そのあたりの話はまた別のシリーズとして書こうと思います。

 ここまで一連のnoteを読んで下さった方、ありがとうございます。
 ch.1に書いた通り、この記事の目的は独学で合格を目指そうとしているどこかの誰かが参考にできるサンプル数を増やすことなので、少しでもその目的を達成できているようならば本望です。

 それでは、よければ官庁訪問編(仮)でまたお会いしましょう。


・追記、最後のアドバイス

 官庁訪問後に追記。
 こんにちは。官庁訪問を終え、無事某省から内定をいただけたタイミングの沖田です。本来は、官庁訪問で体験したことをこの先で綴ろうかと思っていましたが、諸事情あってそれはしないでおきます。
 
 最大の理由は、「省庁によって全く選考プロセスが異なるため、他省庁の体験記を読んでも全く意味が無い、もしくは勘違いを生んでしまいむしろ有害」であると思った点、「ネット上に公開する以上、そして相手(省庁・人事)がいる以上、私がどこの省庁に行ってどんな選考を受けたのかをつまびらかにするべきではない」と思った点、この2点によるものです。

 つまり、どこの省庁かハッキリ書かなければ意味が無いが、どこの省庁かハッキリ書けないので、体験記を書く意味が無いと判断したということです。

 官庁訪問に関するアドバイス自体はすでにネット上に転がっていますので、それらを参考にして対策してみてください。私も、それで内定に辿り着きました。

 最後に、ひとつだけアドバイスを書くなら、「官庁訪問は始まった段階で8割終わっている」ということです。

 この受験・合格記をお読みの方は、独学でどうにか試験合格、そして内定獲得を狙っているのだと思いますが、試験合格はただの入口に過ぎません。官庁訪問を終えた今、試験対策だけにあんなに熱くなっていた自分が恥ずかしいです。

 もう一度繰り返しますが、官庁訪問は始まった段階で8割終わっています。もちろん、これも省庁によるとは思いますが、その程度の差はあれ、説明会などで光る人材は官庁訪問前から「囲い込み」を受けるものです。
 そして、官庁訪問が始まったと同時に採用予定枠の8割が埋まり、実際に訪問期間中に選抜されて採用されるのは残り2割分でしょう。

 なので、適宜志望省庁の説明会・座談会・ワークショップに参加し、できれば職員訪問をするなどして予め人事と顔見知りになっておく、パフォーマンスを発揮してアピールをしておくなどしましょう。
 私はこうしたことを全くやっていなかったので、残り2割の枠を争う羽目になりました。

 それでは、最後までこの記事を読んで下さりありがとうございました。官僚を目指すどこかの誰か、ぜひ頑張ってください!

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